【地球の環境問題へ挑戦】砂漠化対策への麻植物の可能性

深刻な砂漠化

砂漠化というと、アフリカのサハラ砂漠や中国のゴビ砂漠のような景色を思い浮かべると思います。あるいは、風の谷のナウシカに出てくるような砂漠かもしれません。砂漠化とは、気候変動や人間の営みを含む種々の原因による土地の劣化と定義されています[図1]。

農地としては絶望的な土地と言ってもいいかもしれません。結果として、生物学的にも経済的にも損失があります。70年代から人間による砂漠化が国連の議題として取り上げられ、よくテレビ番組でもその過酷な現状を目にした人も多いかもしれません。事実、砂漠化により、世界の陸地面積の1/4、世界人口の1/5に(悪)影響を与えています(UNCCD、1994)。これが、90年代の報告ですから、現在はもっとひどい状況かもしれません。草木も生えない、ひび割れた地面の映像を見たことあると思います。これも定義としては砂漠です。悲しいことに、主に過耕起や過放牧、燃料収集、森林伐採、効果的でない灌漑や土地管理の慣行など、持続不可能な人為的活動が原因です。

砂漠化を止めるのは良いことなのか

確かに、アフリカでの砂漠化を止めようとしたときに、その反論として、砂漠があるから、大西洋とインド洋間での地上の金属など海洋に必要な材料が運ばれているということです。また、砂漠にも砂漠の生態系があるのだから壊していいものか、不注意によって塩害がおこるということも考えられます。それも一理あるでしょうが、その代償は人に対して言えば非常に過酷なものと言わざるをえないでしょう。主な環境影響として、水の利用可能性の恒久的な不均衡、土壌の損傷、鉄砲水の増加、河岸生態系の喪失、植生パターンと構造の変化、生態系の収容力の悪化が挙げられます[1]。砂漠化を緩和するための選択肢の一つとして、乾燥地資源への悪影響が少ない代替的な生計手段を導入することや、土壌特性を回復させ、生物多様性を高める可能性のある植生被覆を導入して、これらの土地に経済的機会を創出することが挙げられます[2,3]。

麻植物は砂漠化を救うヒーロなのか

ただ、緑地化するだけでは経済的な損失は防げないために、何年もかかる緑地化において賛同して取り組んでくれる人はいないでしょう。これは、海外のNGO関係で働く友人から聞いた話ですが、彼はコートジボワールで青年海外協力隊として働いていた時のアフリカ人の気質を話してくれました。コートジボワールでは、天然ゴムとカカオの生産で有名ですが、一度ゴムの価格が落ちて経済が少し傾くと、自分の農地をすべてカカオにし、その逆も然り。これはアフリカ人のステレオタイプで話しているのではなく、同じ経済基盤で同じような土地を持っていたら、どんな人でもそうしたくなるでしょう。こういった現状を考えると、すぐに経済に繋がるようなものでないとなかなか人は動いてくれないでしょう。作物の生産が多くの地域で雇用と所得を維持しているにもかかわらず、土地の集中的な利用は、土壌の栄養分や水の枯渇、劣化や汚染につながる可能性があります。これらの影響は、特に水不足の地域では非常に重要であり、農業、工業、都市化の間での土地と水の競争が環境砂漠化につながっています[4]。持続可能な多作物である必要があります。そういった意味で、現在、食べ物としてだけではなく、繊維や油など幅広い使用用途もち、扱いやすい麻植物は有望な植物の一つであることは間違いありません。事実、年間降水量が100 ml程度の土地ですら栽培の実例があります。その後、肥沃な土への改質としての利用も考えることができます[5]。

作物としての麻植物

天然繊維を原料とする作物への関心が高まっており、その結果、生分解性やリサイクル可能な素材の市場が拡大しています。その栽培が持続可能で経済的に成り立つようにするためには、投入量の少ない適切な繊維作物を選択する必要があります。ジュート、麻、ケナフ、サイザルなどの作物は主に繊維含有量のために栽培されています[図2]。

この内、サイザル以外は麻植物です。最良の繊維作物は一般的に一年草であり、限界地や砂漠化した土地、劣化した土地で栽培されると、土壌の肥沃度と構造を向上させ、土壌の有機物含量を増加させ、浸食を抑制し、生物学的および景観の多様性を高めることができます。一般的に、これらの作物は確立コストが低く、他の食用作物や経済的に価値のある非食用作物との輪作システムの下で栽培することができます。輪作にそれらを挿入することで、長期的に収量と収益性を向上させ、病気や雑草を抑制し、昆虫や他の害虫の侵入を制限し、窒素の代替源を提供し、土壌の有機物を増加させ、土壌の浸食や栄養素や化学物質の流出を減らし、地表水の汚染の可能性を減らすことができます。選択された作物が、繊維とバイオエネルギーの両方のバイオマス源となる場合には、さらなる利点が得られます。

例えば、麻植物のケナフは、水の利用可能性に関連して日和見的であると記述されており、水が制限されていないときには、気孔コンダクタンスおよび蒸散速度が高く、水の利用可能性が制限されているときには、気孔コンダクタンスおよび蒸散速度が著しく低下します。
この特徴は、水不足の地域で調査された作物に関連する形質です[6,7]。

まとめ

砂漠化に対して、様々な取り組みがなされている中、経済的にも影響力を増してきた麻植物という選択肢もまた有効かもしれません[8]。

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引用
[1] Barbero-Sierra, Celia, Maria-Jose Marques, and Manuel Ruíz-Pérez. “The case of urban sprawl in Spain as an active and irreversible driving force for desertification.” Journal of Arid Environments 90 (2013): 95-102.
[2] Chiaramonti, David, et al. “Energy crops and bioenergy for rescuing deserting coastal area by desalination: Feasibility study.” Bioresource Technology 72.2 (2000): 131-146.
[3] Qadir, Mansoor, et al. “Non-conventional water resources and opportunities for water augmentation to achieve food security in water scarce countries.” Agricultural water management 87.1 (2007): 2-22.
[4] Barbero-Sierra, Celia, Maria-Jose Marques, and Manuel Ruíz-Pérez. “The case of urban sprawl in Spain as an active and irreversible driving force for desertification.” Journal of Arid Environments 90 (2013): 95-102.
[5] Danalatos, N. G., and S. V. Archontoulis. “Growth and biomass productivity of kenaf (Hibiscus cannabinus, L.) under different agricultural inputs and management practices in central Greece.” Industrial Crops and Products 32.3 (2010): 231-240.
[6] Fernando, A. L. “Environmental aspects of kenaf production and use.” Kenaf: a multi-purpose crop for several industrial applications. Springer, London, 2013. 83-104.
[7] Patanè, C., and O. Sortino. “Seed yield in kenaf (Hibiscus cannabinus L.) as affected by sowing time in South Italy.” Industrial Crops and Products 32.3 (2010): 381-388.
[8] Barbosa, Bruno, et al. “Wastewater reuse for fiber crops cultivation as a strategy to mitigate desertification.” Industrial Crops and Products 68 (2015): 17-23.

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