おなじみの和風から洒落たレシピまで、美味しく食べられるヘンプシード。その栄養価や使い方についてご紹介します。
ヘンプシードは食べやすい万能スーパーフード
大麻草の麻の実=ヘンプシードは古代から世界中で繊維や食料として栽培され、昔から食べられてきた素材です。「麻の実って大麻の実?食べても大丈夫なの?」と不安に感じる人もいるかもしれませんが、実は日本でも古くから親しまれてきた食材。よく知られているのは七味唐辛子に入っている麻の実で、昔から日本で食べられてきた八穀である「稲・黍(きび)・大麦・小麦・大豆・小豆・粟(あわ)・麻」のうちのひとつです。カリカリとした食感が魅力ですが、砕いたり皮をむいてある商品であれば消化もしやすく、ゴマのような感覚で食事に振りかけたり気軽に食生活に取り入れることができます。
クセがないので和洋食、そしてお菓子などほとんどの料理に加えることができるのも魅力です。
またヘンプシードはサステナブルなスーパーフードです。タンパク質や必須脂肪酸(オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸)、不溶性食物繊維、ビタミン、ミネラル(鉄・銅・亜鉛・マグネシウム)をなどを良く含みます。中でも必須脂肪酸は油の中に含まれて、体内では作ることができないので、食べ物からバランスよく摂取する必要がある大切な栄養素です。
ヘンプの特性
麻は農薬や肥料なしでも育ち、少量の水しかない痩せた土地にも根を張り土壌を改善してくれると言われています。また生育がとても早く約90日で収穫することができるため、サステナブル=持続可能な天然資源として再注目されるようになりました。
世界に様々な種類がある麻科の植物からは医療や工業用繊維、紙、衣類、建材、医薬品などを生産することができます。また産業用麻=ヘンプから抽出された薬理成分CBDは不眠改善や炎症の緩和など健康に役立つ様々な効果が報告されており、食べ物からコスメ・トイレタリー用品まで現在様々な商品化が進んでいます。
麻に含まれる薬理成分ですが、向精神作用があるTHC(テトラヒドロカンナビノール)や、現在注目の成分CBD(カンナビジオール)など100種類を超える薬理成分が含まれており、それらの相乗効果を利用することでパーキンソン病やアルツハイマー病、多発性硬化症(MS)、ガンやエイズに至るまで、様々な難病治療やつらい症状の緩和に役立つことも明らかになってきています。
ヘンプを取り入れたい理由
ヘンプシードは雑穀としてそのまま食べるだけでなく、水とブレンドすることで豆乳のように植物性ミルクを作ることもできます。良質の脂肪分も含まれており、チーズやアイスクリーム、バターや調理用オイルなどを作ることも可能です。動物性食品に比べ消化吸収にも速やかに行われ、消化器官への負担も少なくてすみます。 加熱をせずに摂取しても消化しやすいのも特徴です。ミルクや麦・大豆のようにアレルギーやGMO(遺伝子組み換え作物)などの問題がなく、大量の農薬を使わなくても育つため安心して食べられることも、食料として現在注目される理由の一つです。
また、ヘンプシードに含まれる食物繊維の大半は不溶性食物繊維から構成されていて、腸内活動をスムーズにし、排泄を促進する作用があります。腸内では酵素、ビタミン、ホルモンなどが生成され、免疫力にも大きく影響を与えていることが近年の研究で明らかになりました。このため腸を整え、腸内細菌の餌にもなる繊維質は5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」といわれるほど重要視されるようになっています。
しかし日本人の食事摂取基準では1日における食物繊維の推奨摂取量は成人男性で20グラム以上、女性で18グラム以上とされていますが、目標値をクリアできている人はなかなかいません。繊維質が豊富な野菜やナチュラル食材を積極的に取り入れ、意識して腸内環境を整えることで、健康だけでなく美肌や活力アップにもつながるのです。
ヘンプシードごはんを作ろう
実際に食生活にヘンプシードを取り入れたいと思ったら、まずはゴマのようにして使うのが簡単でおすすめです。
- 粉砕されたヘンプシードを塩と合わせ、ご飯やおにぎりに振りかけゴマ塩のようにして食べる。
- 野菜のきんぴら、冷奴などに振りかける。
洋風がお好みなら、朝食のオートミールやトーストに振りかけたり、サラダにトッピング、スムージーやカレー、スープの具に加えても美味しくヘルシーに楽しめます。
またスイーツに加えるなら、パンケーキやマフィン・クッキーなどに小麦粉に大さじ2、3杯加えると、おいしいヘルシーおやつの出来上がり。パン生地にも混ぜ込むことができます。
<フムスの調理例>
そして料理好きにはちょっとお洒落なレシピをおすすめ。イスラエル、レバノン、トルコ、ギリシャなどの中近東や地中海沿いの広い地域で食べられている伝統的なディップ「フムス」にヘンプシードをプラスしたレシピをご紹介します。フムスの主原料はひよこ豆。良質なたんぱく質を摂取することができるので、ベジタリアンが多い欧米では人気の定番料理です。ヘンプシードを加えることで、さらに栄養価が加わります。
<材料>
- 水煮缶のひよこ豆 250g
- 皮むき済みのヘンプシード 75g
- にんにく 2かけ
- レモン汁 半個〜1個分(好みで調節)
- レモンの皮すり下ろし 少々
- 練りごま 大さじ6
- ヘンプオイルかオリーブオイル 大さじ2
- 水 大さじ4
- 塩 小さじ1
- コリアンダー・パウダー 小さじ1
<手順>
- にんにくの皮をむく
- レモンを絞り皮をすり下ろす
- 缶入りひよこ豆を水切りする
- 材料を全てフードプロセッサーやハンドブレンダーで混ぜ滑らかなペースト状にする。
- クラッカーやパン、野菜スティックなどを添えていただく。
ブレンダーがない場合は、ニンニクをみじん切りにした上でフォークの背などで全ての材料を潰してペースト状にすることもできます。
美味しくヘルシーに楽しもう
食わず嫌いのままいるのはあまりにもったいないヘンプシード。冷蔵庫に入れておけば1年以上保存が効きますが、時間に伴い風味が変化していきます、様々な料理に活用して、美味しくヘルシーな生活に役立ててみてください。
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<参考資料>
Medical News Today :What are the health benefits of hemp?
https://www.medicalnewstoday.com/articles/308044