【歴史】日本人の暮らしに溶け込む、食料としての麻

日本人にとって、麻との関係は縄文時代からずっと続き、麻は、衣食住すべてに欠かせないものでした。

麻といえば、衣服などの繊維製品、紙やロープや網などの生活用品などを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、昔から、麻は食料としても利用されてきました。

特に、麻の実は、そのまま食べたり、食用油として利用してきました。昔ながらの食べ方から、スーパーフードとして脚光を浴びている食べ方まで、ご紹介しましょう。

日本人は、麻のすべてを利用してきた!

麻と一言で言っても、大麻(ヘンプ)、苧麻(ラミー)、亜麻(リネン)などに大別できます。日本では、麻といえば、ヘンプ、ラミーを主に栽培してきました。

日本人は、麻の茎(繊維部分、木質部分)、種、葉、花穂、根といったすべての部位を活用し、茎の繊維部分は衣料、紙、断熱材、プラスチックの原料となり、茎の芯部分は家畜の敷料や建築材料として、麻の種子(実)は、食品、食用油、化粧品、バイオ燃料などに使用します。

感謝して、すべてのものを利用し尽くす、日本人らしいあり様です。

日本人は、「麻の実」をこうして食べてきた!

麻の実の栄養

麻の実には、人間の体内では作り出すことができない、必須脂肪酸と必須アミノ酸が含まれています。

さらに、麻実油には、不飽和必須脂肪酸であるリノール酸と、αーリノレン酸が含まれています。

現代人にとって、麻の実は、とても有用ですが、紀元前3000年ごろの中国で、すでに麻の実の効用を理解していたことが、「神農本草経」の中で、「麻仁(まじん=麻の実)は、体や内臓を修復し、体力の根元となる活動力を増す。久しく服用すると体が肥え、不老神仙となる。」と書かれていることからわかります。

七味唐辛子

七味唐辛子といえば、うどんやそばには欠かせない香辛料です。七味というぐらいですから、七種の香辛料が配合されています。

店や地方によって、若干の違いがあるかもしれませんが、唐辛子、山椒、麻の実、黒ゴマ、けしの実、青のり、生姜などです。七味唐辛子の中で、一番大きな粒が、麻の実です。

いなり寿司

いなり寿司の形は、地方によって四角(俵型)か三角に分かれます。「西の三角、東の俵型」と言われています。

さらに、甘辛く煮たお揚げの中の酢飯の具材も東西によって異なります。関東では、酢飯だけかゴマやレンコンなどだけのシンプルさです。関西では、酢飯の中に、ニンジンやシイタケなどいろんな五目が入ります。そして、欠かせないのが、麻の実です。プチプチというか、ガリッガリッという食感が癖になる美味しさです。

がんもどき

がんもどきというのは、豆腐をくずし、その中にひじき、人参、しいたけ、銀杏、麻の実などを入れ、山芋などを繋ぎにして、丸めて、油で揚げたものを言います。麻の実のプチプチ感が病みつきになります。

漢字では、「雁擬き」と書くこともあり、もともとは、精進料理(もどき料理)で肉の代用品として作られました。関西では、「飛竜頭(ひりょうず)」または、「ひろうす」とも呼ばれています。

スーパーフードとして注目のヘンプフード

日本人は、昔から麻の実などを食べてきましたが、最近は、スーパーフードとして注目されています。ヘンプフード、ヘンプシード、ヘンプオイルという名前を聞かれたことがあるかもしれません。

ヘンプシード(ナッツ)

ヘンプシードとは、前章でご紹介した麻の実の硬い殻を取り除いたものです。硬い殻は、それはそれで独特の食感がありましたが、最近、硬い殻を取り除く技術が開発されました。殻を取り除くことによって、食品加工や調理がしやすくなりました。ナッツのような味が、サラダやお菓子にピッタリです。

前章でもご紹介したように、麻の実は、人間にとって必要な栄養素の宝庫ですから、どしどし取り入れたいですね。ヘンプシードを使ったレシピもどんどん紹介されています。

ヘンプオイル

ヘンプ(麻)の種子から取れる油脂で、麻実油、大麻油、ヘンプシードオイルなどとも言われます。オイルは、必須脂肪酸を8割も含むという特徴があり、人間の体が必要とするバランスに優れています。

ドレッシングやお菓子作りなどの食用の他、ボディーケア製品、潤滑油・塗料などの工業用途にも使われます。

ヘンプパウダー

ヘンプパウダーとは、麻の実を丸ごと粉砕したパウダーです。麻の実の栄養をそのまま、食べることができます。必須アミノ酸、必須脂肪酸、ミネラルなどをバランスよく含んでいます。

スムージーなどの飲み物に混ぜたり、サラダやシリアルに振りかけたり、お菓子作りなどの材料にプラスするなど、工夫次第でいろいろ使える重宝なスーパーフードです。

なぜ、麻婆豆腐に「麻」という漢字が使われているのか?

今回の記事からは、少々横道にそれる感がありますが、日ごろ、疑問に感じておられる方もおられるかなと思い、麻婆豆腐の麻についてまとめました。

麻婆豆腐の麻は、なにか麻と関係があるのでしょうか?答えは、ノーです。麻婆豆腐の麻は、「痘痕(あばた)」という意味で、麻婆とは、「痘痕のばあさん」という意味になります。麻婆豆腐は、四川省成都市の痘痕のばあさんが作って、それが中国全土に広まったということから、名づけられました。

まとめ

麻といえば、洋服などの衣料品が、真っ先に浮かぶかもしれませんが、意外に、日本人の食生活に麻は、溶け込んでいたのですね。

さらに、新しい可能性を秘めたスーパーフードとしての麻も、ぜひ、試してみてください。

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