【実は日本人の暮らしに深く根付いている】「浄めるもの」「魔除け」としての麻

 日本では、大昔から、麻が大いに利用されてきました。もともと、日本には古代から、大麻が自生していましたが、日本で栽培されている大麻は、有害物質が少ない品種だと言われています。
 成長が早く、害虫にも強い麻は、古くから日本人にとって、神聖なもの、魔除けになるものとして生活の中で活用されてきました。日本人の暮らしに溶け込む、なじみ深い麻を取り上げます。

子どもの成長を願って

「虫がつかず、丈夫でまっすぐに成長する」麻のように、子どもに成長してほしいという親の願いを込めて、子どもの節目節目に、麻が登場します。まずは、誕生シーンからです。

へその緒を麻糸で縛る!

 出産は、こともなく終われば、ただただめでたいということで済みますが、昔は(今でも)、お産というのは、まさに命がけでした。出産は、大量の出血を伴うこともあり、産の穢れは、死の穢れより強いと言われました。

 妊娠5か月目で締める岩田帯に使われた麻ひもを、無事に生まれた赤ちゃんのへその緒を縛るのに使いました。麻のように、すくすくと丈夫に育つようにという願いが込められています。

産着には、麻の葉模様

 親が子どもの健やかな成長を願うのは、昔も今も、変わりません。とりわけ、現代のように医療が進歩していない昔の親の願いは、切実なものがあったと考えられます。

 麻のように、丈夫にすくすくと育つようにとの親の願いをこめて、産着には、麻の葉模様が多く用いられました。親の思いほど、ありがたいものはありません。

麻の葉模様の背守り

背守りとは、小さな子どもの着物の背につける魔除けの刺繍のことです。江戸時代からの風習で、大人の着物には、背中に一本の縫い目があり、その背中の「目」が魔物ににらみを利かせ、寄せ付けませんが、小さな子どもの着物には、縫い目がないため、魔物をにらみつける目として縫い付けられたのが、背守りです。

背守りに麻の葉模様が多く用いられるのは、成長の早い麻の強い生命力にあやかって、子どもが元気に育つようにとの親の願いが込められています。

暮らしの中の麻、日本の伝統文化の中の麻

(かつては、日本人の暮らしに欠かせなかった蚊帳)
 古代より、日本人とともにあった麻ですので、暮らしの中に、伝統文化の中に、根強く息づいています。そんな麻の数々をご紹介しましょう。

下駄の鼻緒

昔は、下駄の鼻緒には、本麻紐が用いられていましたが、現在では、「ナイロン麻」と呼ばれる素材に取って変わられています。

 確かに、ナイロン麻は、本麻紐に比べて、強度の面では優れているのですが、本麻紐の方は、素材に伸びがないため、一度すげると、緩むことなく、最初に履いた状態のまま最後までぴったりとフィットした状態を保つことができます。

 一時は、ナイロン麻に押されていた本麻紐の鼻緒ですが、徐々にその素晴らしさを見直す人が増えています。

蚊帳

 現代の住空間では、なかなかお目にかかれなくなった蚊帳ですが、かつて、蚊帳は、日本の夏の風物詩でした。

 最近では、蚊を殺すための殺虫剤や防虫剤、エアコンに頼らず、窓を開けて、涼しい自然の風を取り入れることができる蚊帳のある暮らしが見直されてきています。

 また、麻は、電気を通しにくく、古代の人が雷から身を守る最適の繊維でした。雷が鳴ると、蚊帳の中に逃げ込んだと、おばあちゃんが話してくれたのも、懐かしいです。

横綱の化粧まわし

 日本の国技、大相撲には、ファンの方も多いでしょう。最近は、大相撲人気で、年配の方だけでなく、若い女性にもファンが増えてきています。

  現在、大相撲の横綱が締める綱は、外側が晒木綿の布ででき、中に麻の紐と銅線が入っています。そして、三本の綱が三つ編み状にしっかりと編まれています。この麻ひもを作るのは、力士たちです。「麻もみ」といいます。

 横綱の綱には、神様が宿ったと言われ、縁起がいいものとされています。

花火

「花火と麻?」って不思議に思われた方も多いかもしれません。打ち上げ花火の割火薬には、麻炭が今でも使われています。割火薬とは、酸素を供給して燃焼を促進させる酸化剤と燃焼しやすくする可燃剤に別れますが、麻炭は、可燃剤になります。

麻炭は、木炭のような硬い炭ではなく、柔らかくパウダー状のもので、着火がよく、爆発力が強くなるそうです。

日本の夏の夜空を飾る打ち上げ花火にも、麻が使われていたんですね。きれいに開いた花火を見るとき、少し麻のことに思いを馳せてみませんか?

神社と麻

日本人の多くは、初詣をはじめとして、家族そろって、神社にお詣りに行きます。また、お宮詣りに始まって、七五三、入試の合格祈願、結婚式など、人生の節目節目に神社に祈りを捧げます。

 神社にお詣りするとき、大きな鈴を鳴らしますが、その鈴縄は、麻の繊維でできています。また、神社の神主にお祓いをしてもらう際に、頭上で左右に振られる「おおぬさ」も、榊の枝に紙垂(しで)を麻ひもで取り付けています。

また、神様の依り代として麻は使われます。新天皇が初めて行う大嘗祭に調進される麄服(あらたえ)も、大嘗祭において、皇居東御苑に新しく建てられる大嘗宮の中心となる悠紀殿、主基殿それぞれの神座に、「神のより代」として2反ずつ供えられます。麁服とは、阿波忌部氏が織った麻の織物のことです。

「神のより代」とは、端的に言うと、神様が降りてきて、宿る場所ということです。つまり、大嘗祭においては、麁服は、大嘗祭を見守り、司る神様がおられる場所となります。

このように、神社や神事と麻は、とても密接な関係にあります。

まとめ

 さまざまな麻が、日本人の暮らしの中に、親しく愛着をもって根付いていたことがわかっていただけたと思います。
ただ、生活の西欧化、近代化とともに、麻が追いやられてしまっているということも現実です。
 今や、エコという観点からも注目を集めている麻ですので、麻の良さが再認識され、今まで以上に大活躍できる環境が整うことを期待します。









引用元

日本人の良識としての麻(大麻)栽培:https://www.fsight.jp/articles/-/43663

赤ちゃんのへその緒を縛るのがこの岩田帯に使った麻紐:https://ameblo.jp/k-konnothalasso/entry-10592100405.html

一衣舎の風 大麻のこと:http://ichieya.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-d636.html

AO daikanyama 背守り産着:
https://shop.ao-daikanyama.com/c/kids/baby-underwear/112103649?gclid=CjwKCAjwjLD4BRAiEiwAg5NBFm7CJ69WMQvuNI7pPIpd7EpwoZUCcads7g2yTQ0VwXxNH14a30y1GhoCY9EQAvD_BwE#&gid=1&pid=1

丸屋 花緒の麻紐の取替えについて:https://www.getaya.org/hanao/asa.html

麻の力の不思議:http://www.honmono-m.com/asa/entry16.html

大和蚊帳:https://www.yamatokaya.jp/

これが横綱の綱です!:https://news.1242.com/article/113198

麻炭の世界はすばらしい:http://www.hemp-revo.net/report/0105.htm
Wikipedia 大嘗祭:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%98%97%E7%A5%AD
Wikipedia 依り代:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%9D%E3%82%8A%E4%BB%A3

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