【麻産業へ参戦する方法】収穫後の大麻草の加工

近年話題のグリーンラッシュと言われる新ビジネス。主に嗜好品としての大麻、マリファナを用いた産業で、危険なイメージを持たれることが多いと思います。しかし、大麻草自体は、工業や健康・美容関連等、様々な分野で重宝されています。今後も大きな成長が期待されているのが麻産業です。

もちろん日本には大麻取締法という規制があるので、欧米諸国と全く同じようにビジネスを展開するということはできません。

今回は、国内で生産された大麻草を加工することで、麻ビジネスに参入する方法についてまとめています。工芸作物とされる産業用大麻草は、収穫後、茎を皮と芯に分けたり、搾油したりと加工が必要になります。

大麻草の種子を加工する

種子採取用の大麻草を収穫後、穂から分けた種子は、固い殻に覆われています。そのままの状態のものが麻の実で、古くから七味唐辛子に使われ、茎から取れる繊維は神事にも用いられてきました。近年ではヘンプシードと呼ばれ、世界中で栄養価の高いスーパーフードとして注目を集めています。ちなみに私たち日本人が普段口にしている七味唐辛子の中の麻の実は、ほとんどが中国からの輸入品です。こちらは免許を持っていない人物が麻の実から大麻草を栽培することがないように、加熱処理がされています。

麻の実から圧搾して抽出した油を麻の実油やヘンプシードオイルとして、こちらは食用だけでなく、ボディオイル等の美容製品や燃料としても使われるようになりました。

さらに、固い殻をはがす技術が開発されてからは、殻を取り除いた後のヘンプシードナッツ、脱脂して粉砕したヘンプシードパウダーとなり、幅広く用いられやすくなっています。

大麻草の茎を加工する(繊維やオガラを生成する)

・大麻草の茎の表皮(繊維)

大麻草の茎は、収穫後に発酵や、皮と芯の引きはがし等の処理をされて、精麻と呼ばれる繊維素材となり、美しく光沢を放ちます。これは日本特有の伝統的な加工技術によるものです。上質なものほど滑らかでより一層輝きます。

農家から出荷された精麻から糸を作るには、まず精麻を煮立たせて柔らかくします。その後水で洗い流して濁りを落としたら、風通しの良い室内に干して乾燥させます。ほぐしていくと徐々にブロンドヘアのような状態になります。これがヘンプスライバーと呼ばれる繊維の束です。そうしてようやく糸をよる(ねじる)作業に入ります。

こうしてできた麻糸から麻布や衣服へと商品化されていきます。ただ、大麻草から精麻、精麻からヘンプスライバー、ヘンプスライバーから糸へ加工していく過程で、成功するのは10%程度で、どうしてもロスが出てしまいます。そのため、実際は、中国からの輸入で賄っているのが現状です。

また、精麻を作る過程でそぎ落とされるカスは、オアカ(麻垢)と呼ばれ、これも立派な材料になります。ヘンプスライバーと一緒に加工されて、ヘンプパルプになり、独特の味わいを持つ麻紙に生まれ変わります。

・大麻草の茎の芯(オガラ)

精麻を生成する作業で残った、大麻草の茎の芯部分を乾燥させたオガラ(麻幹)もまた汎用性の高い材料です。

砕いて麻チップに加工されると、ヘンプボードやヘンプクリート等の建築材料になります。さらに細かく粉砕し、粉状に加工されるとヘンププラスチックやヘンプペレット等の工業材料になります。

また、オガラ自体もよく燃えるので松明にすることもできます。炭化されると爆発力のある麻炭になります。アルコール発酵されるとエタノールに、ガス化するとBTL(合成液体燃料)にも様変わりします。

種子と茎以外の部位を適切に廃棄する

大麻草の葉や花穂、そして未熟な茎は、一般的に薬用成分が高いため、栽培者は適切に処分しなければなりません。特別に都道府県から許可を得ている場合以外は、敷地内から持ち出すこともできません。

そのため、間引きのために刈り取った未熟な茎や葉、収穫時に必要な種子や成熟した茎を取り出した後の残った部分は、全て焼却や埋没等の方法で廃棄を行います。

海外では、このような事例もあります。ニュージーランドやインドネシアでは、違法な大麻草を警察が押収し、焼却処分していたところ、焼却炉から立ち上る煙により、近隣住民がハイになったり、ぐっすり眠り込んでしまったり、まさに大麻草の効能が現れたのです。大麻愛好家たちが、煙を求めて警察署の焼却炉に集まるという事態も起きかねません。本末転倒ともいえる問題です。

街中にある警察署と広い面積の麻畑では、事情が違いますが、大麻草の処分に際しても、十分に注意が必要だということがよくわかります。

まとめ

現段階では、栽培した大麻草から利益を生み出す商品に変換する加工の過程は、まだまだ発展途中です。規制が多い中、農家や加工会社ごとに大麻草の新たな可能性を見出そうと創意工夫がなされています。

国内では限られた栽培農家の数では生産量が追い付かず、輸入品に頼る場面もあります。また、伝統的に受け継がれた手法で、手間暇かけて上質な素材に仕上げていくには、大麻草についての認識を変えていくことや麻産業の普及が課題と言えます。

今後さらに大麻草の研究が進み、新たな形で加工・商品化され、大麻草の別の一面に触れられることが楽しみでもあります。

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引用元

http://www.hemp-revo.net/report/1108.html
大麻草を栽培するための許認可について~大麻取扱者免許取得に挑戦する前にの巻~
麻の総合利用研究センター

https://agri-biz.jp/item/content/pdf/4615?forward=%2Fitem%2Fcontent%2Fpdf%2F4615
産業用ヘンプの世界の最新動向
加藤祐子

https://hokkaido-hemp.net/business.html
ヘンプのビジネスモデル (一般論)
北海道ヘンプ協会

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/kanouseihoukokusyo.pdf
北海道における産業用ヘンプの作 物 と し て の 可 能 性検 証 報 告 書
北海道産業用大麻可能性検討会

http://www.hemp-revo.net/report/0510.htm

日本のバイオマス利用促進シンポ ~農業国フランスから学ぶの巻~
麻の総合利用研究センター(LCDAの元CEOインタビュー)

ヘンプ(大麻)糸の原料・加工方法について(徒然と..)

http://www.hemp-revo.net/report/0302.htm
麻の実を食べよう ~はじめての方への巻~
麻の総合利用研究センター

https://dream-lover.me/taima.html
大麻という植物

ヘンプ糸づくりの決め手となる『ヘンプ・スライバー』

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