【産業の背景とは?】世界市場での麻産業の動向

はじめに

人類の誕生よりも前に発生したとされる麻・大麻草は、麻縄を始めとして、私たちの生活に長きにわたって密接に結びついてきました。

しかし、蒸気機関の発明や石油産業の出現、さらには化学繊維の台頭もあり、一時は衰退していきました。また、20世紀の国際的規制により、麻薬として全面的に禁じられたことで、麻産業はこれまで市場を確保できずにいました。

それから時代は流れ、近年では麻の可能性が見直され始めています。規制緩和や法改正をする国や地域も見られます。徐々に麻畑が復活し、研究開発も盛んになりました。

今回は世界の麻産業の動向について、歴史的背景を踏まえて、確認していきましょう。

麻産業の変遷

  麻の発見と利用

  現在のゲノム解析研究では、3400万年前に野生の麻が発生したと明らかになりました。

麻を発見した私たちの祖先は、特徴を理解し、まず縄や衣服を作り、それから食料や宗教的活用へと幅を広げていきました。日本でも、縄文時代の遺跡から麻を使用した縄が発掘されています。

  14~16世紀の大航海時代には、帆船の帆布や縄、記録紙、ランプオイルに至るまで大活躍していて、麻は欠かせない存在となっていました。しかし、蒸気機関の発明後、徐々に陰りが見え始めます。

19世紀の産業革命で、綿花が繊維原料の中心となり、安価な麻は地位が低下します。
20世紀には、麻由来の医薬品が商品化されますが、ケシ由来のモルヒネとは対照的に不評に終わってしまいます。
嗜好品としても、酒・タバコ・コーヒーのビッグスリーにかなうことはなく、産業革命の影響もあり存在感が薄まりました。

  麻の規制

  20世紀、麻産業の衰退と同時に世界的な麻薬規制が始まります。
1925年の第二アヘン条約、1961年の国連麻薬に関する単一条約により、大麻草が全面的に禁じられました。

 第二次世界大戦後は、アメリカの影響で、一部の国以外では、薬効成分の少ない産業用途の大麻草であっても、栽培すら規制されました。唯一栽培を続けたのは、日本、フランス、旧ソ連、東ヨーロッパ諸国、そして中国です。

 日本が限られた制約の中とはいえ、大麻草栽培を継続できたのは、伝統的な麻産業を守るため、粘り強くアメリカと交渉した結果、1948年の大麻取締法を制定したからです。

北米
アメリカでは、独立宣言書の紙が麻紙だったと言われるほど、麻産業が盛んでした。
嗜好用としては、1910年のメキシコ革命により、アメリカでのマリファナ喫煙が広まりました。
しかし、1937年のマリファナ課税法により栽培が難しくなり、1961年には国連の麻薬に関する単一条約にて大麻が規制されました。

ただ、自由の国と謳うだけあり、ヒッピーブームの影響から社会に対抗する多くの若者たちを中心に、マリファナ喫煙の慣習は根強く残っていました。

カナダでは、1938年のアヘン&麻薬条例で禁止されました。

ヨーロッパ
第二次世界大戦後、旧ソ連下にあった東ヨーロッパ以外の国で、大麻草の栽培が禁じられました。
例外的にフランスのみ、紙パルプ用に栽培が続けられました。

中国
漢方としての活用もあった中国では、伝統的な麻文化がありました1985年に故呉の条約に署名し違法薬物と指定されました。

  麻の再発見

麻ブームが到来するきっかけとして、1973年のオランダでの個人使用の非犯罪化や品種改良の開始が一因となっているかもしれません。

それから20年後、1993年にイギリスでの大麻草栽培が復活したことで、大麻草の栽培や研究を各国が競い合うようにして盛り上がり始めます。

・ヨーロッパ
1993年のイギリスを皮切りにオランダやドイツでも限られた品種での麻の栽培が再開されました。
これらの背景には、環境面や健康面での麻の有効性が認められたことが考えられます。品種は限定されているものの、日本と違ってライセンスは不要で、花穂や葉を利用した多様な商品化も可能となっています。

・北米
カナダでは、ヨーロッパの動きを見て、1994年から行われた研究調査の結果、定めた条件のもと新たな麻産業がスタートしました。
 それと同時に、産業用大麻を新たに定義し、栽培から流通や分析までの細かい段階ごとにライセンスを設けました。また、2003年に医療用大麻、2018年10月に先進国として初となる嗜好用大麻の合法化が実施されました。
 世界で最も市場の大きなアメリカでは、1996年にカリフォルニア州の医療用大麻の合法化から始まり、州によっては利用が可能になっています。
 さらに、2014年にワシントン州やコロラド州等の嗜好用大麻の合法化が決まり、同年に産業用大麻の栽培も再開されました。

中国
ヨーロッパや北米での展開を察知した中国は、麻産業に力を入れています。その勢いは、現在の世界の生産量を半分占拠するほどです。経済格差問題や農業問題の対策として、政策を出しています。
 
現在麻産業が盛んな国・地域
研究・開発・需要の面でも麻産業が盛んなのは、北米やヨーロッパですが、生産量としては、やはり広大な敷地面積を誇る国がトップを走ります

  大麻草の栽培が合法な国・地域の生産量

・中国
2016年に、繊維用は2万2千ヘクタール、食用は6万ヘクタールと世界第一位の生産量です。

・ロシア
かつては96万ヘクタールあった面積から完全に消滅した麻栽培も、2007年の法改正により復活し、2017年には3,800ヘクタールまで回復しています。

・カナダ
1998年の栽培解禁後、食用分野では中国に次いで世界最大級の3万4千ヘクタール(2016年)まで成長しました。

・アメリカ
州によって産業用、医療用、嗜好用の大麻をそれぞれ合法化していますが、栽培面積は5千ヘクタールです。

・フランス
一度も栽培が禁止されることなく続き、2016年で1万4千ヘクタールをキープしています。

医療用大麻が合法な国・地域

麻は世界中の多くの国や地域で医学的に認められています。
実は、医療大麻のパイオニアと言われるのは、イスラエル。1963年から研究を始め、THCやCBDを解明し、合法化も一番のりで行っています。

日本でも厚生労働省の発表で「海外で承認前の薬であっても、安全性が確認できれば医療機関が治験で使うことを認める」とあり、前向きに進み始めています。

嗜好用大麻が合法な国・地域
嗜好用大麻はまだ少数の国や地域でしか許可されていません。
先進国として初めて合法化したカナダや州によっては合法化を行っているアメリカが話題に上ります。
北米では大麻の取引や吸引が横行しており、誰もが簡単に手を染めてしまう環境がありました。合法化することで、逮捕されてさらに貧困に陥ることの防止、大麻自体の品質の確保、さらには税収を得られることから合法化に踏み切ったとされています。

まとめ

これまで紆余曲折があった麻産業。これからも変わりゆく時代背景の中、流行り廃りに流されることなく、正しい情報を得て、正しく付き合っていきましょう。

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引用元

「産業用ヘンプの世界の最新動向」 加藤祐子

https://hokkaido-hemp.net/basic.html

http://waccamedia.com/environment/90

http://www.kvp.co.jp/news/20190116/

https://kai-you.net/article/60831

https://forbesjapan.com/articles/detail/18420

https://label-online.jp/%E5%A4%A7%E9%BA%BB%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E8%A6%8B%E9%80%9A%E3%81%97%E3%80%81%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%9A%84%E3%81%AA%E9%9C%80%E8%A6%81%E3%81%A8%E5%8B%95%E5%90%912020/

https://hempmags.com/international/179.htmlhttp://cannabis.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20180528163600-E58B5FB67156756A1AEF6628181C36D0B731B1B620BCB72E8B1FBC1AA4E60F1F.pdf

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