大麻成分に含まれる化合物カンナビノイドには、心身のバランスを整え私たちの健康管理に役立つ成分がたくさん含まれています。今回は飲酒ダメージの回復やスポーツ負傷からのリカバリー、ヨガ利用まで大麻由来成分CBDのヒーリング効果についてご紹介します。
そもそもCBDって?
大麻から抽出される薬理成分CBD(カンナビジオール)は、大麻成分の中でも特に注目されるカンナビノイドの一つで、健康や医療界で現在注目されています。
一体CBDはどのような症状に、どのように利用するのが良いのでしょうか。CBDは、大麻由来の成分ということから麻薬にまつわるネガティブイメージを持つ人も多いのですが、精神作用のあるもう一つの大麻成分THC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なり、陶酔作用がなく安全性が高いことが証明されています。
大麻草とは、学問的にはカンナビス(Cannabis)という属名に分類される植物で、一般的にはヘンプやマリファナと呼ばれます。大麻草の花、葉、茎、種子などには前述のCBDやTHCに代表される「カンナビノイド」という物質が含まれており、これらを体内に取り入れることで様々な作用を引き起こします。大麻は古代から薬草として使われて来た歴史がある通り、使い方によっては様々な健康メリットを得ることができます。
また大麻草は成長が早く丈夫な繊維を生み出すため、ロープや布、紙の材料としても重宝されて来ました。
ただし大麻やCBD製品の生産・使用には法律上の制限があるため、十分な情報を得てから使用することが大切です。また治療目的の場合は自己判断での使用することは避け、医師や専門家と相談することをお勧めします。
日本では大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBDについては合法となっており、現在、がん治療などを目的にした医療大麻について規制緩和の動きが起こっています。
どんな作用があるの
精神状態に大きく影響を与えるTHC(テトラヒドロカンナビノール)と異なり、CBDは目立った依存性や中毒性がなく、日々の生活に安心して取り入れやすい成分です。
具体的にどのような働きをしてくれるのでしょうか。主だった作用としては以下のような項目があげられます。
ストレスや不安状態を緩和
安眠効果
痛み・炎症の緩和する
筋肉疲労の緩和
炎症・酸化による肌トラブルの緩和
依存症や中毒を緩和する
ある種のがん細胞の抑制や、がん化学治療の副作用の緩和
けいれんやてんかんの発作を抑える
神経保護
体のさまざまトラブルに効き目を発揮する仕組みは、CBDが体内に取り込まれた後に、エンドカンナビノイドと呼ばれる身体中に分布するバランス調整機能に働きかけるため。サプリメントや飲み薬のように服用するだけでなく、クリームなどの状態で肌に塗ることでも効果が現れます。
また、体の痛みのほかにもメンタル面の安定や不眠など、精神的な面のケアができる点も注目を集めています。トラウマ的な事件を経験した後に起こるPTSD(心的外傷後ストレス障害)にも、CBDには効果を発揮すると期待されています。これはCBDがストレスや恐怖に対する反応を和らげ、強い恐怖や無力感、不眠といったPTSDの症状を和らげてくれるためです。
二日酔いにもCBD?
お酒を飲み過ぎた後に翌日に起こる二日酔いは、頭痛や吐き気を引き起こしたり、だるさが抜けなかったりと一日を台無しにしてしまうことがあります。
アルコールは適度に楽しめばストレス発散やリラックスにつながりますが、量を過ぎると肝臓でアセトアルデヒドという有毒物質に分解され、頭痛、吐き気、嘔吐、脱水症状など様々な二日酔いの症状を引き起こします。ほかにもアルコールは胃腸の炎症を引き起こしたり、睡眠の質が低下させ、疲労感や集中力の低下を招きます。
このため古くからウコンやコーヒーなどのカフェイン類、栄養ドリンクといった二日酔いや悪酔い対策のドリンクが愛用されて来ましたが、最近ではCBDにも二日酔いを抑える効果があるのではと期待が高まっています。
アルコールとCBDを同時に摂取すると、アルコールのみの場合よりも血中のアルコール濃度が下がるという研究もあります。
またCBDは二日酔いにつきものの頭痛や吐き気、疲労感を緩和する働きも持っています。しかしCBDはお酒のダメージを全て帳消しにしてくれるわけではありません。最善策はもちろん飲酒を控えめにしたり水分を多めに取ることですが、困ったときの助っ人としてCBDを二日酔い対策に取り入れてみてもよいでしょう。
難病・重病患者のライフラインとなっていることも
CBDは、難治性てんかんの治療薬としても効果を発揮することが知られています。また、がんや多発性硬化症の疼痛治療薬「サティベックス(一般名:ナビキシモルス)」など、病気に伴う辛い痛みの管理にも大麻由来の成分が利用されています。
中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)の患者にも、大麻や大麻由来の成分が体を動かしやすくしたり、痛みを緩和するのに役立ちます。
国によっては大麻や大麻由来の成分の規制が厳しいため、医療の不平等が起こっていると指摘する声も上がっています。このため現在では医療用大麻を認可する国が増えており、日本でも大麻を原料とした医薬品を解禁する方向に動いています。
スポーツにもいい?
炎症を緩和することで体の様々な痛みを解消してくれるCBDは、スポーツ後の筋肉やスポーツ負傷のリカバリーにも効果を発揮し、プロアスリートの間でも愛用者が増えています。
選手の中には怪我の痛みを薬で抑えながらプレーを続けるうちに鎮痛剤の依存症となり、副作用に苦しむケースも多くあります。CBDはこういった中毒性の高い化学薬品の代替薬として使用することができる上、試合前のストレスや不眠状態を緩和してくれる効果もあるため一石二鳥。またタックルなどを行うアメリカンフットボール、ボクシングなどのスポーツで起こる脳しんとうの症状を軽減する効果もあります。
引退後にCBDのブランドを立ち上げるスポーツ選手も増えて来ました。
集中力と注意力を高める新しいアプローチ
CBDとヨガ、そしてメディテーションを組み合わせることで、集中力、注意力などを向上させるウェルネス・トレンドも広がっています。この組み合わせは安らぎ効果を高めます。大麻とヨガの関係は、古代インドにまでさかのぼることができるほど深く、この組み合わせは不思議なことではないのかもしれません。最近では、CBD製品を摂取してからヨガ教室に参加し、深いリラクゼーションや体の痛みやこわばりの緩和を目的としたレッスンも登場しています。
利用しやすくなったCBDサプリメント
CBDはオイルにブレンドされたものから、おやつのように食べられるグミ、清涼飲料水などの形で簡単に摂取することができるようになりました。
CBDの持つヒーリング効果は、今後ますます注目されていくことで様々な製品が登場しています。自分にあった製品を見つけて、忙しい日々のサポートとして役立ててみてはいかがでしょうか。
<参考資料>