世界の国々の平均寿命ランキングで、日本の男女別平均寿命は、2018年の統計では、女性が香港に次いで2位、男性は、香港、スイスに次いで3位になり、男女とも、過去最高を更新しました。日本は、世界の中では、長寿国の一つでしょう。
しかし、世界の中には、ある特定の地域が、際立って長寿である場所があります。長寿村と言われています。その地域は、なぜ、長寿なのでしょうか?長寿の秘密に迫ります。
世界5大長寿村に共通する長寿の秘密
世界には、他に比べて、元気に長生きする人たちが多く暮らす地域があり、一般的に「長寿村」と言われています。
世界5大長寿村とは?
国際自然医学会会長森下敬一博士の研究によりますと、100歳を超える長寿者が多く暮らし、その割合が日本の何十倍にものぼり、要介護状態などのお年寄りがほとんどおらず、多くの方が元気に暮らしている地域が、世界中に5か所あるそうです。
- コーカサス地方(旧ソ連):カスピ海と黒海に挟まれた地域
- フンザ(パキスタン):パキスタン北西部に位置する地域
- ビルカバンバ(エクアドル):南米エクアドル南部の山間部
- 新疆(しんきょう)ウイグル:中国北西部
- 巴馬(ばーま):中国最西部
5大長寿村にみる長寿の秘密
前項でご紹介した、世界の名だたる長寿村は、大都会やその近くになく、山岳地帯や辺境部にあり、食生活も決して豊かとはいえません。そんな5大長寿村に共通する長寿の秘密を探ってみましょう!
コーカサス地方は、伝統的発酵乳、ヨーグルトで有名です。フンザは、氷河が溶けたミネラルたっぷりの飲み物と食べ物、ビルカバンバでは、酸素が豊富な水と、脂肪と塩分が少ない食事、新疆ウイグルでは、なんでもよく食べ、体を動かす生活、巴馬では、自生する麻の実が健康の秘訣と考えられています。
それぞれの地域には、特有の食物がたしかに存在し、それらがよく食べられています。しかし、それらに加えて小食であること、菜食が多いこと、腹式呼吸でよく笑うこと、よく働き、よく動いて筋肉を使う・・・などが共通項として考えられます。
現代を生きる私たちの暮らしぶりとは、ほぼ真逆と言ってもいい生活ぶりです。
巴馬(ばーま)の長寿の秘密
世界5大長寿村の一つ、中国の巴馬について、詳しく見てみましょう。
巴馬ってどこにある?
巴馬は、中国広西チワン族自治県の北部に位置しています。1971㎢の面積の中に、12の民族が住み、人口は約27万人です。
地形は、高い西北面から、東南面に向けて傾斜しています。平均海抜が800~1200mと高地です。典型的なカルスト地形で、ほとんどが石灰岩の山ばかりです。巴馬周辺には、大きな鍾乳洞があります。山がちの地形、石灰岩がほとんどの痩せた土地で、耕作地は昔から少ない場所でした。
巴馬が長寿なわけ
巴馬に住んでいる人々がなぜ、長寿なのでしょうか?一つの原因が、というよりさまざまな要因が相互に作用しあって、効果を上げているのではないでしょうか?
その中でも、研究者たちは、以下の5つの要素に注目しています。
- 長い日照時間
新陳代謝を促進し、免疫力を高める効果があります。
- きれいな空気
北京や上海、東京などの大都会に比べると、空気がきれいです。マイナスイオンの量が多く、高血圧、喘息、不眠症、関節炎などに効果があると考えられています。
- きれいな水
きれいであることに加えて、石灰質の土壌のため、ミネラル分が豊富で、Ph7.5ぐらいで弱アルカリ性の水です。
- ミネラル分の多い土壌
地下には豊富な鉱物質が含まれ、特に、マンガン、亜鉛などの微量元素も多く含まれています。
- 地下の高い磁界
巴馬の地下の高い磁界は、体のバランスを最適に保つことに役立っています。
以上のようなことが、巴馬の生活環境です。都会で忙しく暮らす私たちには、夢のような環境です。
世界有数の長寿の村、巴馬の人たちが食べているのは?
ヘンプシード
最近は、ヘンプシードなどとおしゃれな名前で呼ばれるようになりましたが、ヘンプシードとは、麻の実のことです。巴馬は、痩せて、海抜が高いため、穀物の栽培には適していませんが、大麻が巴馬の岩場に自生しています。巴馬では、火麻と呼ばれ、日常の食卓ではいつも食べられています。
日本でも、麻の実は、漢方薬の原材料として有名で、「麻子仁(まにしん)」と呼ばれています。中国では、古くから、不老長寿の秘薬とされてきました。
火麻の栄養価はとても高く、抗酸化物質である「カンナビシンA」が含まれています。これは、老化の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。
巴馬の長寿者の食事調査研究では、1日45g、年間15~20㎏の火麻を摂取しているということがわかりました。
巴馬の長寿には、豊かな自然に加えて、不老長寿の秘薬とされてきた火麻の摂取が大いに関係しているようです。
ヘンプオイル
ヘンプオイルとは、ヘンプ(麻)の種子から取れる油脂のことで、麻実油、大麻油とも呼ばれます。
巴馬の麻の実は、中国の他の地域より実は小さいですが、栄養価が高いことが特長です。もともと、火麻油には、必須脂肪酸であるオメガ3と、オメガ6が理想的なバランスで含まれ、ビタミンEも豊富です。
火麻を搾った麻の油も、巴馬では、よく食べられています。巴馬の人たちは、香ばしい火麻油をおかゆにかけて食べています。
巴馬の長寿の秘密は、彼らが常食している火麻とその油の摂取にも大いに関係していることがわかりました。
まとめ
人は、だれもが、健康で長生きしたいと望んでいます。世界各地に存在する長寿村の人たちの暮らしから、健康で長生きのヒントを探ってみました。
特に、巴馬の人たちが常食している麻の実、麻の実油は、私たちの食生活にも活用できそうです。ぜひ、参考にしていただき、私たちも、健康に長生きしたいものですね。
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情報引用元
世界長寿ランキング:https://www.asahi.com/articles/ASL7N51XSL7NUTFK01Y.html
世界5大長寿村:https://genkiseniorclub.com/post-2551/
コーカサス地方: https://neoinspire.net/cooccur/
フンザ、ビルカバンバ:http://www.compassion.co.jp/column/health/health008
新疆ウイグル:https://www.ab-road.net/asia/china/hotan/guide/news/15032.html
巴馬:http://j.people.com.cn/95952/7621954.html
https://www.chinatrip.jp/blog/show-518.html
世界中の長寿郷に学ぶ健康寿命120歳説:https://genkiseniorclub.com/post-2551/
巴馬の人たちが食べているのは?:https://www.club-willbe.jp/column/bama/index.html
http://www.hemp-revo.net/report/1102.html