今、大麻に由来するカンナビノイドの医学的有用性に世界中が注目しています。
医療の発達や経済の発展への期待から世界的に大麻の規制緩和が主流となりつつある現代において、我が国日本は時代の流れに取り残されつつあるのが現実です。
なぜ日本は、グローバルな大麻産業や医療大麻に大幅な遅れをとっているのでしょう?
大麻由来の商品を目にする機会が増えるにつれ、そして大麻という薬草を知るにつれ、日本と諸外国の大麻に対するイメージや取り組みなどの差に疑問を感じずにはいられません。
「大麻=いけないもの」という認識を、私たちはどういうふうに解釈するべきなのでしょうか?
「大麻」という誤解と偏見
もともと日本は生粋の産業大麻大国で、麻産業が昔からさかんでした。麻が神事に用いられたり産業品として活用されたりするだけでなく、七味唐辛子にわかるように麻の実(大麻の種)は七味のうちの一味として、料理にも活用されてきたのです。
それにもかかわらず大麻文化が定着しなかった理由の一つとして、日本国内に自生する大麻草の品種(性質)があげられます。
そもそも国内の在来種は諸外国のそれと品種が異なり、多幸感をもたらすカンナビノイドの含有量が圧倒的に少ないとされています。そのため日本において大麻草はもっぱら、麻素材の産業品として用いられてきました。
また、日本では大麻やその他のハードドラッグが混同され、一律に「薬物はダメ」と認識されており、正しい薬物教育が実施されていません。大麻を取り締まる法律と覚せい剤など向精神薬を取り締まる法律が別々に施行されていても、その理由や由来などについて知る人はごく一部だけでしょう。臭いものにフタをするではありませんが、こうした国民性や社会・教育状況が、大麻の理解を難しくしている原因でもあるようです。
大麻を理解するには
日本では大麻に関する実践的な研究がほとんど行われていないのが実情ですが、海外はそうではありません。むしろ医療での可能性への期待が高まるにつれ、積極的に研究が行われるだけでなく法律の改定も行われてきました。インターネットにより広く情報が共有される現代において、大麻に関する現実的な情報やデータは医療大麻や大麻産業など大麻にまつわるあらゆる機関や媒体で開示されています。
そうした情報を選りすぐり、知識をアップデートすることで古来より人類とともにあった大麻草への理解が深まるはずです。
そのためにはもちろん「大麻は毒」「大麻は危険な薬物」といった偏見や誤った常識にとらわれない知見を持つことが大切です。
専門家にとって大麻はどういう存在か
大麻に対して、アレルギー反応のように拒絶反応を起こす人がいまだ少なくありません。それは、大麻への無知によって引き起こされる現象です。そしてここに、一般人と専門家の大きな意識の乖離を見ることができます。
医療や大麻産業などにかかわる専門家にとって、大麻はどういう存在なのでしょう?この問いの答えとしてもっともわかりやすいのが、日本における大麻を取り巻く環境の変化です。
ほんの十数年前まで、大麻は日本国内においてアンダーグラウンドなカルチャーとして、一部の層に支持されていました。かつては大麻の種子が店頭で販売され、大麻を吸引するための喫煙具などを専門的に扱う専門店も少なくなかったのです。
しかし時代の変遷とともに大麻を取り巻く環境は一変し、現在では大麻の種子の輸入や販売が取り締まり対象になりました。それとともに大麻を嗜好品として使用するいわゆる反社会的な因子は減り、それと反比例するかのように医療現場で大麻由来の成分が利用される機会が増えてきました。その代表的なカンナビノイドがCBDです。
現在、日本国内における大麻のイメージや役割は、十年数前のそれと一変しています。2015年には日本臨床カンナビノイド学会が発足し、医療や福祉の発展を目的に日本国内におけるカンナビノイドの研究を進めています。
さらにアメリカやカナダ、ブラジルなどでカンビノイドの医学教育を展開しているMM411(Medical Marijuana 411)が先述の学会と提携し、日本国内においても継続医学教育認定委員会(ACCME)が認定する医療用大麻の学習プログラムが実施されるようになりました。
少なくとも時代とともに大麻を取り巻く環境は確実に変わってきたのです。しかし、実際にそれを使用して医療に助けられたり救われたりする私たち自身が、いつまでも大麻に偏見や誤解を抱いていては規制緩和や実用化は夢のまた夢となってしまうかもしれません。
まとめ
大麻は正しく使えば薬になりますが、誤った使い方をすれば毒にもなります。それは酒類に含まれるアルコールや、外科手術などで使われる麻酔なども同様です。いずれもメリットとデメリットを正しく理解して、初めて意味のある使い方ができます。
私たちはいま、大麻の価値観がグローバルに変わろうとする時代の節目を目撃しています。そう遠くない将来、難病を含める病の多くが大麻の作用により改善したり緩和したりするかもしれません。
病に苦しむ人の顔に笑顔を取り戻せる可能性と、その可能性を無視して今日も誰かがどこかで苦しみ続ける可能性。
あなたの視線の先にあるのは、どちらの可能性でしょうか。
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