1990年代にバブルが崩壊してからというもの、日本国内において「失われた30年」などと呼ばれる空白の時間は、いまだ埋められることがありません。令和の時代になっても景気は長らく低空飛行を続けており、景気の回復どころか、世界的な疫病の影響などもあり経済はますます落ち込んでいくことが予想されています。
まして日本は、2016年の時点で27.3%の高齢化率となっている超高齢化社会です(内閣府の平成29年版高齢社会白書による)。今後ますますの高齢化と少子化が見込まれている中、経済が上向きになる可能性はどんなに前向きに見積もっても決して高いといえないのが現実でしょう。
経済的にも情勢的にも苦しい状況にある日本において、大麻産業が経済の一端を担う可能性はどのくらいあるのでしょうか。
大麻の市場規模
大麻カルチャーのメッカであるアメリカでは、コロラド州での大麻合法化を皮切りに、他州でも大麻の合法化が進みました。これにより米国内における大麻市場がみるみるうちに拡大し、グリーンラッシュと呼ばれるほどの勢いで市場規模の拡大とともに雇用の創出、ビジネス、投資が世界規模で勢いよく進んでいます。
大麻商品の市場を専門的に調査する米ブライトフィールド・グループによると、大麻市場における売上高のおよそ90%を米国市場が占めており、今後その規模はいっそう拡大していくことが予想されています。
2021年には世界的な大麻市場が314億ドル(およそ3兆5,700億円)にまで成長すると予想されています。
ちなみに2020年、日本国内においてハンバーガー業界の市場拡大が注目されました。このときに予想されたハンバーガーの国内市場規模は、前年の3.4%増の7,302億円です。大麻が世界規模で展開されているとはいえ、3兆5,700億円の大麻市場がいかに巨大かがわかります。
日本における経済的影響
日本では第二次世界大戦後に大麻取締法が施行されてから、大麻の所持や売買などが取り締まり対象となっています。そのため、すでに規制緩和された諸外国のように勢いのある市場の拡大と経済的成長には期待できません。
一方で、大麻の可能性が世界的に注目されると同時に、日本国内においても違法性のない大麻成分(カンナビノイド)が注目されるようになりました。代表的なのがカンナビノイドの一種であるCBDを含む製品です。
CBDはすでに国内の医療機関に多く採用されており、リラックス作用のある嗜好品としてもCBDオイルや電子タバコ用リキッドなどとして流通しています。
大麻製品の大手メーカーとビールの大手メーカーの提携などにより、今後はビールなどアルコール飲料のほか健康補助食品、スキンケアなどの分野でも、大麻製品がもりあがっていくことが予想できます。
しかし超高齢化社会である日本においてもっとも大きな影響力を持つのは、やはり医療機関におけるカンナビノイドの採用でしょう。
医療機関で扱われる大麻製品
大麻由来の成分であるカンナビノイドは、大きく三種類に分けられます。一つはTHC(テトラヒドロカンナビノール)、もう一つはCBD(カンナビジオール)、そしてこの二つ以外のものです。
THCは精神作用があるため日本では法律で規制されていますが、精神作用がほとんどないとされるCBDとその他のカンナビノイドについては取り締まり対象となっておりません。
日本国内における一部の医療機関では、違法性がなくかつさまざまな作用に期待できるCBDを含む製品を取り扱っています。今後CBDを取り扱う医療機関はいっそう増えていくでしょう。海外において、CBDががんや不眠症、嘔吐、てんかん、糖尿病、関節炎、疼痛、虚血性心疾患、認知症、自閉症スペクトラム、うつ病、不安障害、統合失調症、その他自己免疫疾患から希少疾患まで幅広い病態に効果が認められているのがその理由です。
体調の改善を望む人が多い超高齢化社会において、さまざまな疾患を改善する可能性を持つカンナビノイドは、本来であればほかのどの国よりも歓迎されるべきものではないでしょうか。
ひいては医療機関におけるCBD製品の採用と導入が、この超高齢化社会においてもっとも大きな市場を形成する可能性があるのです。
まとめ
大麻を厳しく取り締まる法律をはじめ、大麻に対する世間の誤解や偏見がなくならない限り、グリーンラッシュを足掛かりに日本が不景気から抜け出すのは難しいかもしれません。
しかし世界的に加速しているグリーンラッシュの恩恵が日本にまったくないわけでなく、CBDを採用する医療機関は増加傾向にあります。高品質なCBDオイルも一般に流通するようになり、商品も徐々に多様化してきています。
医療機関に採用されるだけの可能性を秘めたCBDに求められる今度の課題は、大麻に対する誤解や偏見の払拭でしょう。
日本人が大麻に対する先入観や固定観念を捨て、それが持つ可能性に対しフェアに思いを馳せられるようになったとき、日本経済もようやく空白の時間を脱するのかもしれません。
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情報引用元(参考文献、URL、URKページ タイトル記載)
https://job-medley.com/tips/detail/904/
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