【アジアの麻】韓国の麻織物について知ろう

食べ物やK-POP、旅行などを通して、韓国の魅力を知る人が増えました。それに従って韓国の今だけでなくその歴史や伝統、クラフトの美しさに魅了される人も増えています。今回は美しい韓国伝統布の麻(モシ)についてご紹介します。

韓国で愛される麻

麻織物は日本でも伝統工芸品として古くから大切にされてきましたが、お隣の韓国でも同様に独自の発展を遂げてきました。韓国では麻布は「モシ」と呼ばれ、苧麻(ちょま、ラミー)の繊維をつむぎ平織りしたものを指します。麻布は背の高い苧麻を切り、茎と葉を手で取り天日で乾燥させ水に入れて絞る作業を繰り返して繊維を細く裂き、目の細かく白い糸を作り出します。手間ひまかけ作り上げた糸を織り機にかけ、糊を塗りながら布にしていくのです。

韓国の伝統的な衣服を韓服(ハンボク)と呼びますが、暑い季節には風通しが良い麻や苧麻などの素材が伝統的に使われてきました。涼しげでシャリシャリとした手触りは、夏の服にぴったり。ほかにもモシを使ったのれんやコースターなどの小物が旅行土産として人気になっています。以下では、韓国の伝統品として知られる麻織物「ジョガクボ」と「ポジャギ」についてご紹介します。

抽象画の美をたたえるジョガクボ

端切れを縫い合わせて作った韓国の伝統パッチワーク「ジョガクボ(またはチョガッポ)」。残った布地の切れ端を縫い合わせてふろしき(ボジャギ)などを作るために生まれました。マルチカラーの組み合わせが美しい調和を生み出し、抽象画のような趣のあるデザインから、単色を組み合わせた現代的でミニマル・デザインまで様々な種類が見つかります。現代美術家のモンドリアンやパウル・クレーの作品を連想させることも多い、絵画のような美しさが魅力的です。

麻布で作られるジョガクボの特徴は美しい透け感。また、独自のトリプルステッチの縫い目が枠のような効果を生み出し、ブロッキング・カラーのデザインを生み出します。小さな端切れを集めて縫い合わせコースターやマットにしたものはお土産やギフトとしても喜ばれています。
他国にみられるパッチワークと異なり、一重で仕上げられているものが多く羽衣のような軽さと涼しげな趣があるのも特長です。光を通す姿が美しく「布のステンドグラス」と称されることも。素材は麻のほかにも綿、絹、さらには紙などを使って作られることもあります。

その歴史はとても古く、朝鮮王朝(1392〜1910)の間、織り物や刺繡などの家事に従事していた女性が質素さを追求し衣服や布団を作った際に余った生地を集めたり、古くなった服を分解しきれいなところを取って正方形または長方形にして縫い合わせていったことから生まれました。もともと質素さと生活の知恵から生まれた布が美しい工芸品として評価されるようになっていったのです。

現在は伝統工芸として作られるほかにも、テキスタイルアーティストが「チョゴリ」「バジ」といった韓国の伝統服にジョガクボスタイルを用いた斬新なデザインを発表したり、ほかの韓国伝統と組み合わせたモダンアートを生み出したりと、さらなる進化を続けています。

福を呼ぶポジャギ

「ポジャギ」は日本の風呂敷やふくさと同じく、物を包んだり覆ったりちょっとしたバッグ代わりに利用する布を指します。現在では洋風のライフスタイルが定着し、実用よりも飾って楽しむグッズが増えているようです。麻布から作られることが多く、小さなサイズの布をせいろの中に入れ蒸し布としても使うこともあるそう。

物を包んでおくと福を呼び込むといわれるポジャギは縁起物としても親しまれてきました。伝統的には食事を覆ったり、服を包む、本を包む、お金を包むなど様々に用途が分かれており、それぞれに名前が付けられています。また冠婚葬祭用など様々な用途にも分かれており、一針ずつ丁寧に手作りされたポジャギには、作る人の心と奥ゆかしさが込められているようです。
前述のパッチワーク「ジョガクボ」で作られたポジャギは透け感が美しいためタペストリーやカーテンのようにして飾ったり、テーブルランナーとしても活躍してくれます。

ソウルで韓国麻をもっと知ろう

韓国と麻の魅力をもっと知りたくなったら、コリアンタウンを訪れるだけでなく、いつかは本場ソウルの国立民俗博物館を訪れてみたいものです。朝鮮王朝を代表する宮殿・景福宮(キョンボックン※)の敷地内に位置するこの博物館は、韓国の歴史と生活文化を学ぶことができる貴重な施設。韓国の芸術・工芸品に造詣の深かった柳宗悦(やなぎ むねよし)が大正時代に設立した朝鮮民族美術館がルーツとなっています。

※景福宮(けいふくきゅう、キョンボックン)
朝鮮王朝の太祖・李成桂が、1395年に高麗の首都を開京(現・開城)から漢陽(現ソウル)に移した際に建てた王宮。

韓国布ファンなら農耕生活を営んでいた朝鮮時代(1392~1910年)の生活を垣間見ることができる第二展示館をのぞいてみましょう。麻という作物が衣食住に渡って人々の暮らしに貢献していた様子をかいま見ることができます。また韓国人の一生をテーマにした第三展示室では出生から葬礼まで、人生の節目をイベントにそって追う仕立てになっており、韓国の伝統衣装についてくわしく知ることができます。
また景福宮の敷地内では伝統的な韓服を来て歩くことも可能です。敷地内には衣装レンタル屋がたくさんあり、女性用だけでなく男性や子供用の衣装も揃っています。京都を和服で歩く感覚で、歴史と風情ある古宮を散策することができます。

お土産には人気の韓国グルメの他に、ポシャギ風のデザイン小物やテーブルクロス等を手に入れるのもよいものです。

まとめ

麻の魅力と麻のある生活を知ることで、人類の歴史に密接に関わって来た天然素材について改めて意識することができます。成育の早い麻は多作が可能であり、綿と比べて化学肥料や農薬をほとんど使わずに栽培できるため、サステナブルな素材としても現在再評価されています。麻製品を生活に取り入れることでさりげなくエコにも貢献できる。そんなところも麻の魅力です。

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 引用元 

<資料>

ポジャギ
https://www.vam.ac.uk/articles/jogakbo-traditional-korean-patchwork?gclid=Cj0KCQjwit_8BRCoARIsAIx3Rj46i1bCfgz-GKKVCAP7DBluSGaDnnJZF8BdKXTFISCwQLoYUUooSMcaAti0EALw_wcB

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<資料>
国立民俗博物館
https://www.konest.com/contents/spot_mise_detail.html?id=1926

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