みなさんは「グリーンラッシュ」という言葉をご存じでしょうか?
ゴールドラッシュ、シリコンラッシュに続いて、大きな経済変化、新たなビジネスチャンスとして、近年期待が高まっているのが、麻産業です。
一度規制されて危険なイメージが出来上がってしまったものに対して、慎重な姿勢を続ける日本ですが、海外では最先端の麻産業が競われています。WHO(世界保健機構)も有効性を認めているほどです。
今回は、今まさに成長している新しい麻産業と今後の展開について学んでいきましょう。
最先端の麻産業
「グリーンラッシュ」は欧米諸国を中心に盛り上がっています。
中でもアメリカでは、ビールやタバコの嗜好品業界の大手企業が、大麻ビジネスを始める等、先頭を走っています。大麻の栽培技術を活かしてコーヒー栽培を行っているのはカリフォニア州。熱帯地域の植物を原産地にあるような従来の病気がない地域で栽培する等、面白い取り組みが活発です。
ただ、かつて、世界的な大麻の規制を行い、日本の麻産業の衰退にも影響を与えたのがアメリカだと思うと皮肉なものですね。
・注目のCBD:カンナビジオール
医療用として利用されていたCBD(麻に含まれる薬効成分)ですが、近年では一般向けにも多くCBD製品が商品化されています。
医療から派生した不眠対策やリラックス効果のある製品に始まり、健康・美容にもいいとして、世界中でブームになっています。抽出されたオイルの形だけでなく、サプリメント、クリーム、お菓子(グミやチョコレート)となっても販売されているため、生活に取り込みやすくなっています。
品質が高いことで人気のスイスのブランド「Cibdol:シブドル」では、犬・猫のペット用にも製品開発がされました。
日本では大麻草の花穂と葉は法律で禁止されているため、他の部位から抽出されたCBDオイルで、かつTHC:テトラヒドロカンナビノール濃度が基準値より低いものだけが販売されています。しかし、茎や種子から抽出されるCBDオイルは、花穂から抽出されるCBDオイルと比べると、圧倒的に量が少なくなります。
嗜好用大麻の合法化
カナダでは、2018年10月に先進国では初めて、世界ではウルグアイに次いで2番目に、国単位での嗜好用大麻の合法化に踏み切りました。医療用大麻は2001年にすでに合法化されていましたが、嗜好用大麻の解禁は、現地ではお祭り騒ぎになるほど、大きな話題となりました。
実際に街中にある販売店に足を運んでみると、日本人が持つこれまでのイメージとは大きく異なります。清潔感もおしゃれ感もある店内で、カジュアルな装いの若者からビジネスマン風の紳士まで、自分にあったマリファナを買い求めています。日本では違法なドラッグが、カナダでは大人の嗜みです。
マリファナの喫煙が横行していたカナダでは、違法大麻の所持を取り締まるだけで、数百億円の費用が掛かっていたと言われています。合法化することによって、認可を受けた業者が市場を管理でき、税収を得られること、大麻自体の品質の確保、犯罪件数の減少、闇ルート・業者の排除を図りました。
ただ、手放しにマリファナという娯楽が解禁になったわけではありません。一度に所持できるのは30グラムまで、栽培できるのは1家庭で苗木4本まで、未成年に販売した場合は最大14年の禁固刑となっています。
古くから相撲や能の文化界でも活躍していた麻。最近では、観賞用として、大麻草の盆栽まで出現しています。欧米諸国では盆栽を「BANSAI」と呼び、芸術として広く受け入れられています。成長が速く、気候も選ばないため、大麻草は盆栽に適しているのかもしれません。
もちろん、日本では許可なく大麻草を栽培できないので、現物にお目にかかることはできません。写真で見る限り、とても風情のある素敵なアートですので興味のある方は調べてみてくださいね。
麻産業の市場と成長
現在、49か国が大麻由来の製品を認めています。
・アメリカの市場
今回は、需要も市場成長率も高いアメリカを例に見てみましょう。
2016年で約778億円の市場規模となっています。その用途の内訳は、ボディケア用品24%、食品19%、CBD製品19%、工業用18%、衣料品14%、サプリメント4%、その他2%です。ボディケア用品やCBD製品等、今後も成長が予想される比較的歴史の浅い用途の割合が大きいことが分かります。(ヘンプビジネスジャーナルより)
アメリカの嗜好品市場では、ワイン約7兆円、タバコ約9兆円、ビール約13兆円と言われています。それに対して非合法のマリファナが、なんと、約5兆円。今後合法化が進むことで、数十兆円にまで成長するのではと期待されています。
2018年で約1兆1000億円、2019年で約1兆3200億円の売り上げが、マリファナビジネスデイリーが発表しています。予測として、2023年には3兆円に到達すると見込まれています。
別の調査では、現在推定される世界規模での大麻市場は、約8,400億円とされています。年平均成長率は、60%と予測がつき、2021年には約3.5兆円、2026年には約5.4兆円と計算されています。
まとめ
アメリカを筆頭に、各国で新ビジネスが展開される麻産業。今後の経済成長も見込まれています。
嗜好品などに関しては日本から参入することは法律上難しいことが多いですが、CBD関連製品は日本に確実に普及しているので、時代に取り残されないよう、情勢や動向を見守っていく価値はありそうです。
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引用元
「産業用ヘンプの世界の最新動向」 加藤祐子
http://www.kvp.co.jp/news/20190116/
https://kai-you.net/article/60831
https://forbesjapan.com/articles/detail/18420
https://hempmags.com/international/179.html
https://www.womenshealthmag.com/jp/beauty/a63872/cbd-20180504/