最近発表された研究によると、ヘンプ成分が育毛に効果があることがわかりました。特に男性の脱毛症に大きな効果が見られたと報告されています。
抜け毛・薄毛はどうしたら治る?
髪の毛がどんどん薄くなってしまうAGA(遺伝型の型脱毛症)は多くの男性を悩ませています。家族や友人に心ないことを言われたり、人目が気になって仕方ない人も多いのではないでしょうか。
脱毛症は男女ともに起こる症状ですが、男性では頭のてっぺんとおでこ部分、女性は頭頂部に起こりやすくなります。
薄毛は「男性ホルモン」「遺伝」「頭皮の血行不良」「ストレス」「栄養不良」などによって起こると言われます。また頭皮は皮膚よりも皮脂などの分泌が多く、夏は汗で毛穴が詰まってしまうこともあり、これらが抜け毛の原因となることもあります。
数々の増毛法、サプリ、植毛など様々な対処法があるものの、決定打となる対策が見つかっていないのが現状です。しかし遺伝だからと諦めてしまうのは早すぎます。最近の研究によると、ヘンプ由来の治療薬が、薄毛を改善する可能性があることが分かってきました。
ヘンプのヘアケアで薄毛が改善
International Journal of Technology(国際技術ジャーナル)に掲載された研究には、脱毛症「AGA」で悩む 男女31 人の被験者が参加。 ヘンプ由来の局所的な治療薬を1日1回、24週間にわたって使ってもらったところ。被験者の髪の成長が促進され、AGAの症状が改善されたといいます。
被験者は年齢が31歳から65歳の男性15人と女性16人が参加、うち27人が白人で、2人がアジア人、1人が「混血」という人種構成でした。6か月間の治療後、脱毛の最も進行した部位の髪の本数をカウントしたところ、すべての被験者において毛髪再生がみられたといいます。
この毛髪再生レベルは、31.25%〜2000%増とされ、平均は男性で246%(15.07本/cm2の増加)、女性では127%(16.06本/cm2)と男性により効果が現れました。副作用はみられず、被験者全員がその結果について「幸せ」または「非常に幸せ」と評価しています。
研究者たちは「正確なメカニズムは不明」と述べながらも、大麻に含まれるTHCV(テトラヒドロカンナビバリン)とCBDV(カンナビジバリン)という生理活性成分が最も関与している可能性が高く、CBD(カンナビジオール)も一部役割を果たしていると考えています。
このヘンプ抽出成分は、現在脱毛症の治療に使用される局所ミノキシジルと経口フィナステリドとは異なるメカニズムで作用するため、これらの現行薬と併用することができ、相乗効果も期待されます。ただし、この組み合わせの安全性と有効性についてはさらに研究をするべきであるとコメントしています。
カンナビノイドと髪の健康
ヘンプに含まれるTHCV、CBDV、CBDなどの生理活性成分は人体の持つエンドカンナビノイドシステム(ECS)と関わることで効果を発揮します。
エンドカンナビノイドシステム(ECS)は生体内の重要なシステムです。細胞の健康を維持し、過度の酸化ストレスに対抗する役割を持っています。
このシステムはいくつかの受容体で構成されており、その中にはカンナビノイド受容体1および2(CB1およびCB2)、一過性受容体電位バニロイド-1(TRPV1)、および一過性受容体電位バニロイド-4(TRPV4)が含まれています。ECSは、皮膚の体温調節など、さまざまな生理学的プロセスに関与していて、特に皮膚内のさまざまな細胞には、CB1およびCB2受容体が存在しており、これらは毛包細胞にも見つかります。
毛包は毛根を生成・保護して抜けないようにする、毛髪が育つうえで重要な役割を担っています。毛包の成長サイクル(成長期、退行期、休止期)はTRPV1という受容体によって制御されています。この受容体は、毛母細胞ケラチノサイトに存在します。
つまり、ECSは細胞の健康をサポートし、毛包の成長をコントロールする役割も果たしています。そして、カンナビノイドがこのプロセスに影響を与える可能性があるのです。
医療界で注目されるカンナビノイド
薄毛に関しての研究は始まったばかりですが、大麻に含まれるカンナビノイドは、医療分野ですでに幅広い用途に使用されています。
例えば前述のTHCVには、例えば血糖値を調整し食欲を抑制する効果やストレス緩和、抗炎症、抗けいれんといった効果、CBDVには抗けいれん作用、神経保護効果や不安の軽減、睡眠の改善といった作用があります。
また最も広く健康効果が知られているCBDは、抗炎症、不眠やストレスの緩和、リラックス効果のほか、鎮痛作用、抗不安作用、抗てんかん作用、抗がん作用、制吐作用など様々な作用があり難病治療の医薬品やサプリメントに使われています。
大麻草は古代から薬草として使われており、中でも1960年代のラファエル・メコーラム博士によるカンナビノイド研究をきっかけに大麻医療は大きく発展しました。
現在はがん、痛みや吐き気のコントロール、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、関節炎、てんかん等の発作などにカンナビノイドや医療大麻が使われています。
また、カンナビノイドは炎症を鎮める効果があり、肌のトラブル解消をサポートします。最近ではCBDを含む化粧品やシャンプーも市場に登場しており、肌と頭皮は似たような組織であるため、スカルプ(頭皮)ケアや薄毛対策にも期待が高まっています。
薄毛・抜け毛対策に最新情報をチェック
薄毛治療の新たな道が開けるかもしれないヘンプ成分の活用。この最新研究は、薄毛に悩む男性にとって希望をもたらしてくれます。
頭皮を清潔に保ち、栄養バランスを整え、十分な休息を取るといった基本的な習慣に加えて、CBDなどのカンナビノイドを含むヘアケア製品を試してみるのも頭髪トラブルを抑えるサポートになってくれそうです。
<参考資料>