心身の健康を整えてくれるだけでなく、その美肌効果でコスメ業界でも人気の大麻由来成分CBD(カンナビジオール)。今回は大麻の持つウェルネス成分の源となる物質CBG (カンナビゲロール)とCBDの関係、そして優れたスキンケア効果について紹介します。
健康&美容ケアの万能選手CBD
太古の時代から薬草や食料、そして繊維の材料として栽培されてきた大麻草。テクノロジーの進歩により現在その謎が解明されつつあり、大麻草から見つかった数百を超える物質のなかから、人体の健康に役立つ効成分がたくさん見つかっています。中でも100種類ほど見つかっている生理活性成分カンナビノイドは現在様々な研究が進められ、医療やウェルネス業界やコスメ業界でも注目の成分になっています。
カンナビノイドの中でも健康管理や痛み止め、病気の治療に効果を発揮する万能選手CBD(カンナビジオール)は、精神作用・習慣性や依存性・などの副作用もなく安心して利用することができます。大麻成分として知られているTHC(テトラヒドロカンナビノール)と違って精神作用を引き起こす心配もなく、WHO(世界保健機関)も2017年にCBDの安全性について発表しています。また2018年にスポーツ大会でのドーピングを取り締まるWADA(世界アンチ・ドーピング協会)の禁止薬物リストから外れたことで、アスリートの間でも一気にファンを増やしました。
CBDの主な効果は
リラックス効果や不安の軽減
安眠サポート
炎症と痛みの緩和
といったもの。そのほかにも抗酸化作用、皮膚、神経の保護作用、抗てんかん、抗酸化といった有益な作用が期待されています。体内だけでなく肌の炎症も抑えるのでスキンケアにも効果的で、海外はもちろんのこと、大麻由来成分の使用に消極的だった日本でも、CBDを配合したサプリメントやドリンク、コスメがしだいに話題となっているのです。
あらゆるカンナビノイドの源、CBG (カンナビゲロール)とは?
大麻草に含まれている生理活性成分カンナビノイドは、まずはCBGA(カンナビゲロール酸)と言う形で存在し、大麻草が成長していく過程でそれぞれのカンナビノイドの前駆体が作られていきます。CBGA、THCA、CBDAなどの前駆体は最終的にTHC、CBDといったカンナビノイドに変換されますが、CBG (カンナビゲロール)はあらゆるカンナビノイドの原点となる前駆体分子として「すべてのカンナビノイドの母」と呼ばれています。
これらのカンナビノイドは1964年にイスラエルの研究者イェヒエル・ガオーニ氏とラファエル・メコーラム氏によって初めて発見され、医療効果が高いことから注目を集めるようになりました。大麻の品種によって異なりますが、一般的にCBDは成長した大麻の10~20%程度含まれているのに対して、CBGは1%未満しか含まれておらず、抽出が難しいカンナビノイドであると言われています。また収穫量を増やすためには早い時期に収穫する必要があるとされています。
美肌の心強い味方!日焼けダメージと肌老化から肌を守る。
CBGは希少なカンナビノイドであり、抗炎症、抗てんかん、抗うつ、神経保護効果、そして鎮痛効果があるとされています。また、優れた抗菌性もCBGの特長の一つです。
CBGはCBDよりも中枢神経系に対する鎮静作用があり、喜びやモチベーションを高め、食欲と睡眠のバランスを整え、よりリラックス効果があると言われています。しかし、大麻の精神作用を引き起こすTHCとはことなり向精神作用はなく、日常生活に支障をきたすことはありません。
2021年に発表された研究では、CBGには皮膚の炎症や発赤(はっせき・皮膚が赤くなること)の出現を軽減し、肌のバリア機能を改善するなど優れたスキンケア効果が注目されました。
アンチエイジングにはビタミンAの誘導体である「レチノール」と「ビタミンC」が効果的といわれますが、UVA(紫外線A波)による肌の炎症を防ぐためには、CBGはビタミンCよりも効果的であるという研究結果もあります。日焼けダメージから肌を守り、美肌を保つためにも、CBGは心強い味方となるでしょう。
CBGの様々な健康メリットとは
全てのカンナビノイドは、人体に本来備わっているエンドカンナビノイドシステム(ECS)と呼ばれるバランス調整機能を介して心身に様々な作用を与えます。
副作用が少ない CBGはCBDと同じくがんの疼痛や関節炎のような強い痛みを抑える鎮痛剤として使用されることがあります。
またマウス実験ではCBGは炎症性腸疾患(IBS)、緑内障、ハンチントン病に対する効果が見られました。ブドウ球菌感染症を引き起こす黄色ブドウ球菌(MRSA)のメチシリン耐性株に対する抗菌特性があることがわかり、将来、細菌感染症の治療にも役立つのではと期待を集めています。
CBG製品は現在のところ、含有量が少ないために非常に高価です。しかし植物に頼らずに含有量の少ないカンナビノイド(レアカンナビノイド)の量産し研究できる精密発酵技術(※)の進歩により、生産は年々簡単になってきています。現在、大規模な臨床研究を行うための基盤作りが進行中です。
※精密発酵技術=微生物が麦芽やブドウの糖分をアルコールにかえるように、微生物(細菌や酵母など)を利用して、食品や医薬品、燃料など様々な物質を作ることができる技術のこと。
まとめ
CBGは人気のCBD配合オイルのブロードスペクトラム、フルスペクトラムといったタイプのオイルの中にも微量に含まれています。これらのカンナビノイドは、それぞれが組み合わさることで相乗効果を発揮するともいわれています。
自分のライフスタイルに合わせて、これらのサプリメントをスキンケアに取り入れ輝く美肌作りを目指してみてはいかがでしょうか。
<参考資料>
https://www.mdpi.com/1420-3049/27/2/491/htm
https://practicaldermatology.com/news/is-cbg-the-next-cbd-for-skincare