「嗅ぎタバコ」に分類される無煙タバコ、スヌース。最近では、ニコチンの代わりに麻の成分を含むオールナチュラルの製品も登場しています。本稿では大麻由来の成分CBDによるリラックス効果にプラスαして、スパイスやフルーツ、ミントなどを使ったカラフルな刺激が楽しめるスヌースについて紹介します。
再評価されるスヌース
タバコには様々な種類がありますが、喫煙をするほかにもタバコを鼻や口に直接ふくんで味わう、嗅ぎタバコや噛みタバコと呼ばれるタイプがあります。どちらも長い歴史を持ち、19世紀ごろまではタバコ業界で半数ほどのシェアを占めていたといいますが、その後、葉巻や紙巻きたばこがポピュラーとなっていく中で、これらのタバコの存在は次第に忘れられていきました。
しかし世界的に嫌煙ムードが高まるにつれ、煙が出ず周りに嫌がられることがないタバコとして口に含んで楽しむ噛みタバコが再注目されています。電子タバコのようにオフィスや飲食店など室内での使用ができないシーンでも、チューインガムやリフレッシュ用のミントタブレットと同じように楽しむことができ、周りの目を気にする必要もありません。煙も匂いも出ないため、禁煙場所でも安心して使用できるのが噛みタバコのメリットです。
噛みタバコは最近では「スヌース」や「ポーチ」と呼ばれることが多く、タバコ葉入りの小さなティーバッグのような袋を口にふくんでフレーバーを楽しみます。チューインガムのように噛むことはせず、上唇と歯茎の間に挟み、口の中でポーチから成分がゆっくり染み出してくるのを味わいます。口の中で溶け出したニコチンは唇や歯茎の粘膜を通って血流に入り、喫煙と同じ効果をもたらします。
ニコチンなしでも楽しめる
このスヌースを利用して、依存性の高いニコチンを含むタバコの代わりに健康効果とリラックス効果のある大麻成分CBD(カンナビジオール)を配合した製品が登場しています。
ストックホルム生まれのブランド「ヴーン・イノベーション」は、大麻成分の一つであるリラックス効果の高いCBDを使ったスヌース・ブランドの1つ。プレミアムCBDブランドの「スペクトラム・リーフ」と提携し、ニコチンフリーの天然でビーガン仕様、そして煙のでないスヌースを共同発売しています。精神作用を引き起こすTHCは含まれておらず、マリファナ喫煙で引き起こされる陶酔作用、いわゆる「ハイ状態」を引き起こすことはありません。また体内に吸収されやすいナノ注入麻をブレンドすることでバイオアベイラビリティ(※)の高いCBDポーチを作り出すことに成功しています。
フレーバーはタンジェリン、ウィンターグリーン、クール・スペアミント、ピンク・グレープフルーツと、どれも試してみたくなるラインアップです。ポーチは缶入りで全てラボでのテスト済み。成分詳細も全てオンライン上で公開されています。
※バイオアベイラビリティ
人体に投与された薬物のうち、どれだけの量が全身に循環するのかを示す指標のこと。
なぜCBDを配合するのか
「タバコの代わりに大麻成分」と聞くと、お酒を飲むように大麻のハイ状態を楽しむためと誤解されることもありますが、CBDには精神を高揚させたり酔いをもたらす作用はありません。
CBDの主な作用はリラックスや不眠緩和、痛みの解消といった効果で、副作用もほとんど見られないため、お菓子やドリンクやサプリメント、コスメなど様々な製品に配合されるようになっています。一息つきたい、リラックスしたいといった目的にも向いており、タバコよりも身体へのダメージがなく依存性もありません。「やめたくてもやめられなくなってしまう」「切れるとイライラする」といったマイナス面がなく安心して使うことができます。
似て非なる成分・CBDとTHC
日本の法律では、麻の花、葉、未成熟の茎から抽出したCBDは規制され、成熟した茎と種から抽出されたCBDだけが認められています。また原料やCBD製品を輸入する際には、日本で厳しく規制されている成分THCが除去されている事を証明する必要があります。
この陶酔作用をもたらす成分THC(テトラヒドロカンナビノール)は、CBDと構造は似ているものの原子配置が異なり、体内に取り入れたときの作用も大きく異なります。
よく知られているのは鎮静や向精神作用ですが、ほかにも痛みを緩和したり食欲を増進させたり吐き気を抑える効果も見つかっています。
このためドラッグとして嗜好用に利用されるだけでなく、がん患者の痛み止めや化学治療の副作用を抑える目的で使用されるケースもあります。一長一短ある成分ですが、CBDと同じく医療効果が認められており、医師の処方箋を受け病気治療に使うこともできる国や地域も増えているのです。
これらの麻由来カンナビノイドは体内に取り入れることで人体に備わったエンドカンナビノイドシステム(ECS)という身体機能を調節するメカニズムに働きかけ、効果を発揮します。
このECSは代謝や消化、睡眠、気分、免疫、心肺機能、体温維持など様々な機能を調節しており、麻由来のカンナビノイドも体の様々な部位で効果を発揮することができるのです。
まとめ
ニコチン依存を減らしたい場合にも、電子タバコに代わるCBD摂取法を探している人にも、タバコなしのCBDスヌースは便利な嗜好品です。
口に含んで使用するので、歯茎トラブルなどを抱えている人は症状を悪化させないための注意が必要ですが、リラックス用やタバコの代用にポケットにひとつ忍ばせておけば、心強い味方になってくれるのではないでしょうか。
<参考資料>