食べたい時にお気に入りレストランのメニューを自宅まで宅配してくれるデリバリーサービスが人気ですが、英国ではデリバリー大手との提携で、自宅から大麻製品をオーダーできるようになりました。
フードデリバリー会社と人気ブランドがコラボ
パンデミックの影響で、自宅で手軽にレストランの味が楽しめるフードデリバリーサービスの利用者が増加しています。日本ではウーバーイーツや出前館などがポピュラーですが、英国ではカンガルーがマスコットのデリバリーサービス「Delivero (デリバルー)」が大人気。アプリを通して数千のレストランからの好きなメニューを選ぶことができ、これまで出前をしていなかったレストランの食事も楽しめるようになったことで、英国人の食生活を大きく変えました。
現在ではペットフードや花、お酒、風邪薬などの医薬品、プレゼント、スーパーからの食料品など、食事以外でもいろいろなものが手に入るマルチサービスに発展しましたが、最近では話題のCBDがオーダーできるようになったことで話題を呼んでいます。
コロナで人気急上昇
取り扱いが始まったのは、英国の人気CBDブランドの一つ「Love Hemp (ラブ・ヘンプ)」の製品です。同グループはオイル、スプレーなどのCBDアイテムを含む40以上の製品を扱い、全国展開のドラッグストア「Boots ブーツ」、健康食品店の「Holland&Barrett(ホランド&バレット)」、大手スーパーチェーン「Waitrose(ウェイトローズ)」などでも取り扱いのあるよく知られたブランドです。
コロナ禍による3回の長期ロックダウンを経験した英国では、不安や不眠に悩む人が多くウェルネス製品に注目が集まり、同社でも過去1年で売上が40%も増加したと報じられています。
楽しみたい時に気軽にオーダー
この試験サービスは2021年のクリスマス休暇シーズンにロンドン南部のクロイドン地区でまずスタートし、「デリバルー」のアプリ経由でCBDオイルやスキンケア用品、CBDグミなどの製品を注文できるようになりました。試験サービス期間が終わった後は、2022年内に全国展開でのオーダーが可能になるという、ファンには嬉しい展望が待っています。ネットスーパーが普及する中、自宅を出ることなく、たった数十分の待ち時間でCBD商品が手に入るようになるのです。
最近では世界のヘビー級チャンピオンで五輪金メダリストのボクサー、アンソニー・ジョシュアとブランド・アンバサダー契約を結び、アスリート向けの商品のコラボ開発を発表したラブ・ヘンプでは、700万人を超えるデリバルー利用者をターゲットに今後広く事業展開をしていきたいと語っています。
CBDに期待できること
CBD(カンナビジオール)は大麻草の中に含まれる化合物カンナビノイドの一種で、不安やストレス状態、不眠症の緩和、炎症や痛み止め、ストレスの緩和などの効果が報告されている期待の成分です。精神を高揚させる作用はなく副作用もほとんど見られないため、日本を含め多くの国でも合法とされていて安心して使うことができます。
また原材料となる大麻草=産業用ヘンプは大量の農薬や肥料、水を必要としない、丈夫で環境に優しい植物で、成長過程でたくさんの二酸化炭素を吸収するエコ作物として注目されています。またその種はヘンプシードと呼ばれ、食用や産業利用されています。栄養価が高く、健康食として獲れる人も多く、必須脂肪酸をバランスよく含んだスーパーフードとして紹介されていることもあります。
他にも大麻の有効成分は重度のてんかんや一部のガン、うつ病などにも効果があることから医薬品としても国内で研究が進んでいます。また米国の大麻解禁の動きや、近年のコロナ禍でCBDの不安緩和やリラックス効果が注目され、世界で大きく売り上げを伸ばしました。
どんな人におすすめ?
CBDは様々な用途に安心して使うことのできる成分です。基本的な効果は精神的な緊張状態の緩和や、炎症と痛みの緩和。
このため
ストレスを溜めがち
イライラしやすい
よく眠りたい
スポーツ後のリカバリーを早めたい
関節痛などの痛みがある
といった人に向いています。もちろん不調の原因には様々な理由がありますから、専門家への相談も必要ですが、サポート役、日々のブースト役として取り入れることができます。
英国の大麻事情ってどんな感じ?
英国では大麻喫煙は精神作用を引き起こす成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が含まれているため違法です。しかし警察の取締りはそれほど厳しくなく、未成年者の喫煙や公の場所での喫煙や売買、トラブルを起こさない限りは個人利用に関しては黙認ムードがあります。
毎年大麻フェスティバルも開催され、会場の公園などで参加者が公然と大麻を喫煙することもあるのですが、警察は警備のため見守っているのみで、暴力事件など騒ぎをおこさない限り、集会を解散したり参加者を逮捕したりといった取締りはなく、いたって平和なムードの中行われます。
このようなムードの中、大麻草成分CBD(カンナビジオール)への意識も非常にオープンでポジティブです。街中やショッピングモールにもCBD専門店ができドラッグストアやコンビニ、スーパーなどでも取り扱いがあるなど健康成分の一つとして市民権を得ています。
まとめ
取り扱い商品は増えているものの、フードデリバリー会社が大麻製品を配達するというのはまだ珍しいこと。米ウーバー社も米国での採用を検討中とのことですが、まだ実用には踏み切っていないようです。
嗜好用大麻が合法となっている米国カリフォルニアでは2020年、大麻配達アプリEazeを使って8秒に1回マリファナの注文が行われたと報じられています。
「欲しい時にすぐに手に入る」サービスが進化する中、ドローンがCBDオイルをお届けしてくれる時代も、もうすぐやってくるのかもしれません。
<参考資料>
https://deliveroo.co.uk/menu/london/purley-oaks/love-hemp?day=today&geohash=gcpujwutj5ds&time=ASAP