ストレスや不眠などざまざまな症状に効果が見られるという大麻由来成分のCBD(カンナビジオール)。現在は電子タバコのリキッドにも配合され、より親しみやすくなりました。しかし試してみたいものの摂取量やタイミングなど、ベストなさじ加減が分からないことが多いものです。今回はそんな不安を解消してくれる、目的にあわせて摂取量やタイミングを教えてくれる世界初の大麻投与デバイスがリリースされたニュースをお届けします。
毎回ベストなVape体験を実現
大麻草特有の成分のひとつCBD(カンナビジオール)を配合したオイルやサプリメントの存在が知られるようになり、海外だけでなく日本でも利用者が増えています。
このCBDは精神的安定や睡眠向上、痛み軽減などに役立つとされ、高濃度のCBDは医療にも利用されるなど、様々な可能性を秘めています。
ベープ(VAPE)ペンと呼ばれる携帯電子デバイス用のリキッドにこの大麻成分を配合した商品の利用者も増えているといいます。
これらのリキッドを利用する際、気になるのはその摂取量です。どのくらいの量をどのように摂ればいいのか。自分にとってベストな効果を得られる摂取法を見つけるまでに試行錯誤がつきものでした。
こういった不安を解消するため、大麻リキッド摂取を毎回ぴったりベストな体験になるようコントロールしてくれる喫煙デバイス「MODE」が2021年1月に米国で発表され、注目を集めています。
海外では日本では麻薬成分として禁止されているTHC(テトラヒドロカンナビノール)が配合されているリキッドもあり、含有量が把握しにくいこともありデバイスが商品やユーザーにあわせて適量を調整してくれるという安心機能は、大麻業界ににとって追い風になります。
世界的パンデミックにより史上初の完全オンライン開催となった米国のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)でデビューした同デバイスは、世界初のスマート大麻投与デバイス。連動するスマホアプリと共に紹介され、大麻喫煙をより快適で効果的にしてくれる2021年大麻テックの主力商品としてデビューしました。
この「MODE」は、ワイヤレスイヤホン・ケースのようなスタイリッシュで丸みを帯びた形状が特徴。ユーザーがミリグラムまで用量を調整できるタッチスライダーがついており、その人に合った吸入量を調整するためのセンサーが装備されています。このデバイスにカートリッジを差し込み、気化したリキッドを吸引します。市販されている500種類以上の大麻成分入りカートリッジに対応しているので、お好みのブランドを選んで楽しむことができます。
喫煙中には穏やかに振動することで、いつ吸入を停止し、いつ吐き出すのがいいかをお知らせ。子供がうっかり触ってしまった時も安全なように、デバイスロック機能も装着されています。連動するスマホアプリは、ユーザーがお好みの投与プランや製品情報、フィードバック、パーソナライズされた推奨事項、消費分析を全てチェックできるコントロールダッシュボードを備えるなど、まさしくスマート家電そのもののスペックです。
「MODE」の共同創設者・CEOであるイジー・カーシュは、「私たちはミリグラム単位の蒸気投与量を提供するために数十のプロトタイプを作成し、ユーザーに完璧な投与量をうち出すための技術を完成させました。全てのカンナビス・ユーザーにより快適でコントロール可能な初めてのデバイスを作り上げました」とコメントしています。
医療ニーズにも対応
米国では医療用マリファナは全50州のうち35州で合法となっており、15州が嗜好用大麻も合法化しています(※2020年時点のデータ)。タバコやアルコールのように成人のみを対象としており、課税管理制度を導入して研究や教育に役立て、法整備や品質を規制することで若年層の濫用を防ぎ犯罪組織の資金源を断つという姿勢を取っています。
日本では大麻=嗜好用ドラッグ、危険薬物のイメージがまだつきまといますが、大麻喫煙や大麻から抽出された薬理成分カンナビノイドは難治性てんかん、アルツハイマー病、癌、クローン病などの治療や症状改善に使用され、不安神経症や睡眠障害に苦しむ人々に投与する治療もおこなわれるなど期待の成分として研究が進められています。
カンナビノイドの中には日本では禁止成分とされているTHC(テトラヒドロカンナビノール)も含まれていますが、日本でも使用が合法になっている成分CBD(カンナビジオール)と組み合わせにより相乗作用が生まれ、従来の医薬品では対応が難しい一部の難病により高い効果を発揮することも分かってきました。
また麻自体もサステナブルな作物であり食料から建材までかつ様々な分野で製品化できる自然素材であることから再評価され、産業界でも注目されています。
嗜好用だけでなく医療目的でも使用される大麻成分は、我々が病院で処方される従来の医薬品や市販薬と同じく、用法や用量を守り、安全に摂取する必要があります。
今回の大麻用スマートデバイスの登場により、医療・嗜好用の両方で安心して大麻カートリッジのよる吸引が可能になったというわけです。
大麻の2大薬理成分について知る
大麻に含まれるカンナビノイドと呼ばれる生理活性物質カンナビノイドは100種類以上あり、中でもTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)の2つが広く知られています。いずれも人体にあるカンナビノイド受容体を刺激することで様々な作用があらわれますが、その作用は大きく異なります。
THCは多幸感、幻覚、鎮静、抗不安、鎮痛などの薬理作用を発揮し、大麻吸引の時にいわゆる「ハイ」の状態を生み出します。一方CBDの方はTHCのような向精神作用はありませんが、鎮痛作用や抗けいれん作用,食欲増進作用,抗炎症作用といった薬理成分が認められています。
電子タバコ(Vape)やサプリメントに配合されるCBDは医薬品に比べると低濃度ですが、心身をリラックスさせたり、不安や心配、ストレス状態、不眠などを改善してくれる効果があるといわれ、パンデミックの起こった2020年以降、さらに需要が増えています。また海外で販売されているVapeリキッドの中には、CBDだけでなくTHCも配合されている商品も存在しています。
日本国内でも大麻成分配合のVape用リキッドが販売されていますが、THCを含有する商品は麻薬及び向精神薬取締法で麻薬指定されているため違法になります。国内ではCBDのみが配合された商品が合法に販売されていますが、個人で海外から購入したり国内に持ち込む際には法律に触れる成分が入っていないかチェックするなど注意が必要です。また化学合成された粗悪なCBDを使用した商品も存在するので、信頼できるメーカーから購入することもポイントです。
大麻成分は個人によって使用感は異なるほか、用量によっても感じる効果は異なります。デバイスを利用するなどして自分にあった量を知り、毎回同じ効果を得られるよう量や摂るタイミングをコントロールすることで、大麻への理解もより広まっていくかもしれません。大麻成分は万能薬ではありませんが、適切な用量・方法で摂取することで、心身の向上に役立ってくれることでしょう。
<参考資料>
https://www.cnet.com/health/mode-cannabis-dosing-device-lets-you-personalize-each-hit/
(モードの小売価格は100ドルで、ウェブサイトで現在予約注文が可能。出荷は2021年前半に開始とのこと。)