【米国2大学による研究】CBDが新型ウィルス感染によるダメージを抑制

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、多くの人を救おうとワクチンの開発や予防策等の研究が急ピッチで進んでいます。そんな最中である2020年10月、米国の2大学による研究により、カンナビジオール (CBD)が新型コロナウィルスの感染によって起こる肺へのダメージを抑えるという研究結果が報じられました。

CBDは新型コロナウィルスの症状を改善するのか

新型コロナウイルスCovid-19に感染すると、発熱、咳が止まらない、痰が絡む、喉が痛い、倦怠感といった症状が見られることが知られています。特に呼吸器系の症状は顕著に見られ、悪化すると肺機能が衰え息苦しくなったり呼吸困難に陥り死に至ることも。このため重症患者には酸素マスクや⼈⼯呼吸器を装着する処置がとられています。

様々な治療法やサポートの研究がすすむ中、大麻由来の成分カンナビジオールが、COVID-19が引き起こす肺の損傷を抑え症状を軽減してくれる可能性が明らかとなりました。

カンナビジオール (CBD)とは、大麻から抽出される天然カンナビノイド成分の一つです。麻に含まれる100種類以上もある化学物質カンナビノイドの中でも医療に応用できる作用が非常に高い成分として、世界の数多くの研究所でリサーチが進められています。重度のてんかん治療薬や抗がん剤の副作用緩和剤として、アメリカやカナダ、イギリスをはじめCBDを利用した製薬がすでに処方が可能となっている国もあり、サプリメントとしての商品も数多く発売され巨大マーケットとして成長を続けています。

米国2大学による研究

今回、米国のジョージア歯科大学(DCG)とジョージア医科大学(MCG)が行った研究によると、CBD治療が過度の肺炎を軽減し、肺機能の改善、より健康的な酸素レベル、および呼吸困難症候群で起こる典型的な肺ダメージの一部の修復を可能にすることが報告されました。

研究チームによると、CBDには肺に損傷を与え患者の命を奪うサイトカインストームを抑える働きがあるとのこと。サイトカインストームというのはCOVID-19のほかにもSARSやMERSなどのコロナウイルスによって引き起こされる呼吸器疾患の一般的な合併症のことです。実験ではCBDを投与することで体内の炎症を軽減する「アペリン」と呼ばれる内因性ペプチドのレベルが増加し、このサイトカインストームが抑制されました。

心臓、肺、脳、脂肪組織、血液の細胞によって作られるペプチド(=※タンパク質やアミノ酸の仲間)の一種であるアペリンは、血圧と炎症の両方を低下させる重要な調節因子です。測定の結果、呼吸困難症候群(ARDS)のモデルではペプチドの血中濃度がゼロに近かったのが、CBD投与後では20倍に増加したと報告されています。

<※>ペプチド
一般的に、2~50個程度のアミノ酸がペプチド結合したもの。仲間であるタンパク質やアミノ酸とは異なる作用があることが研究により解明されています。様々なタイプがありますが、体内で重要な働きをするものは生理活性ペプチドと呼ばれ、血圧降下・抗酸化・ホルモンや免疫調整、血栓抑制、ミネラルの吸収促進など重要な働きをします。

CBDが体内炎症の鎮静をサポート

CBDはどのようにして体に働きかけるのでしょうか。
アサ科1年草である大麻草(学名: カンナビス・サティバ・L.)には、カンナビノド類、テルペン類、フラボノイド類、フェノール類などを含めて数百種にのぼる化合物が含まれています。その中でもカンナビノイドと呼ばれる生理活性物質は104種類あり、研究により薬理作用が見つかったものや、生合成の由来や作用がまだ分かっていないものまであります。研究が最も進み、また広く知られているカンナビノイドは、マリファナの精神高揚成分として知られる有名なTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)と向精神作用のないCBD(カンナビジオール)です。

医薬品やサプリメントとして体内に取り入れられたCBDは、人体の持つエンドカンナビノイド・システム(ECS)という身体調節機能に働きかけて様々な作用を起こします。
エンドカンナビノイド・システムとは人体の状態を一定に、つまり健康に保つために働き続けているシステム。暑くなったら汗をかいて体温を一定に保つ、病原体が侵入したら熱を出し排除しようとするなど、生存のために機能している重要なシステムです。

このエンドカンナビノイド・システムは身体の細胞に神経伝達物質という信号を送って調節の指令を出します。人間の体は脂肪酸をもとに「内因性カンナビノイド」と呼ばれるエンドカンナビノイドを作り、これを通してして特定の細胞に指令を出しています。内因性カンナビノイドとして分かっているのは「アナンダミド(N-アラキドノイルエタノールアミン/AEA)」と「2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)」の2つ。
人間の体内には、CB1受容体・CB2受容体という2つのカンナビノイド受容体があり、これらの内因性カンナビノイドがこの受容体と結合することによって、さまざまな作用を引き起こす仕組みになっています。
そして医薬品やサプリメントで使用されるCBDは自然由来の植物性カンナビノイド。体内で生成される内因性カンナビノイドの補助・ブースト役として働いてくれることが分かり、さまざまな研究が進められているのです。

大麻医療のさらなる可能性

多くの人々の命を奪うCOVID-19ウイルスは体内のACE2受容体(アンギオテンシンインベルターゼ)を介してヒト細胞に侵入します。呼吸困難症候群ARDSを使用したマウス実験ではウィルスによってアペリンのレベルが大幅に低下しましたが、 CBD投与によって免疫反応とアペリン値、酸素レベルと肺の腫れやダメージなどが正常化しました。

CBD、アペリン、新型コロナウィルスの相互作用についての理解が進み、CBDがアペリン値を調節し、呼吸器系のダメージを抑えることが分かったことは朗報です。しかしまだまだ最先端の分野であり不明な点も数多く残っています。適正量は・副作用は・サプリメントとして利用するだけでもある程度の効果が得られるのか・他の呼吸器系疾患にも同様に有効なのか…など、さらなる研究が期待されるところです。

しかしCBDはすでに鎮痛作用や炎症抑制作用が確認されています。健康サプリやスポーツ系サプリ、美容やペットの健康など様々な用途で利用されていることからも、今後も大麻医療の可能性はさらに広まっていくのではないでしょうか。

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<参考資料>

CBD reduces COVID-19 lung damage with protective peptides
https://www.healtheuropa.eu/cbd-reduces-covid-19-lung-damage-with-protective-peptides/103374/

CBD could treat inflammation caused by COVID-19, study shows
https://www.drugtargetreview.com/news/74599/cbd-could-treat-inflammation-caused-by-covid-19-study-shows/

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