映画や音楽、文学など、さまざまなカルチャーにおいてたびたび大麻が登場するアメリカは、1970年代にはすでに大麻の規制を緩和していた大麻先進国です。
アメリカ合衆国はその名の通り、州と呼ばれる50もの独立した自治体の集合体で、それぞれの州によって法律が異なります。たとえばミシガン州では「消火栓にワニをつないだら違法」、カリフォルニア州では「ホテルの部屋でオレンジの皮をむいたら違法」といった具合に、にわかに信じがたいユニークな法律が定められている州も。
もちろん大麻にかんする法律も州ごとに異なっており、アメリカで初となる嗜好大麻の私的使用がワシントン州で2012年に認められてから、他の州も後に続くように続々と大麻合法化へと舵を取りました。
アメリカの大麻にかんする各州の現状をお伝えします。
大麻が合法化されている州
現在、アメリカで嗜好大麻を含め大麻が合法とされているのは、ワシントン、オレゴン、ネバダ、カリフォルニア、アリゾナ、モンタナ、コロラド、サウスダコタ、イリノイ、ミシガン、メーン、バーモント、マサチューセッツ、ニュージャージー、アラスカの計15州です。さらに医療大麻が認められているのがユタ、ニューメキシコ、オクラホマ、ノースダコタ、ミネソタ、ミズーリ、アーカンサス、ルイジアナ、ミシシッピ、フロリダ、オハイオ、ウエストバージニア、ペンシルバニア、ニューヨーク、デラウェア、ニューハンプシャー、ロードアイランド、コネチカット、メリーランド、ハワイの計20州。さらに大麻の有効成分の一種であるTHCの含有量を規制する形で医療大麻を合法化しているのが、ワイオミング、カンザス、テキサス、アイオワ、ウィスコンシン、インディアナ、ケンタッキー、テネシー、アラバマ、ジョージア、ヴァージニア、ノースカロライナ、サウスカロライナの13州で、これら医療大麻を許可している州のうち、15州では嗜好大麻が非犯罪化となっています。すべての州を合算すると嗜好大麻や医療大麻を合法化している州は48にも上り、大麻を禁じている州は今ではアイダホとネブラスカの2州だけになりました。
アメリカを構成する全50州のうち、大麻を実質的に解禁しているのが30州、そのうち医療大麻を認めているのが18州、規制しているのが2州というのが現状です。
アメリカ全土を統括する法律である連邦法においては、現在も大麻を規制対象としています。しかし2020年12月には、アメリカ国内において大麻を非犯罪とする「マリファナ機会再投資・犯罪記録抹消法」が連邦議会で可決されました。この流れに乗り、近いうちにアメリカ全土で大麻が非犯罪化(実質的な合法化)されることが予想されます。
アメリカ国内での「大麻」の立ち位置
アメリカやカナダでは、数十年も前から大麻文化が大衆に根付いていました。ミュージシャンや不良少年などが大麻を吸って遊んだり、一般市民がリフレッシュにと大麻を楽しんだりするような光景を、昔のアメリカ映画やドラマなどで見たことがある人も少なくないはずです。大麻はアメリカの陰と陽を表す一つのシンボルでした。
もちろんアメリカ国内で、大麻が問題視された時代があったのも事実です。大麻は向精神薬などハードドラッグの入り口となりやすいことがメディアで取り沙汰され、社会問題化したこともあります。現代においても大麻のそうしたネガティブなイメージを持つ人が少なくないのは、こうした時代に無意識的に養われた大麻へのネガティブなイメージが原因でしょう。
また、大麻がゲートウェイドラッグになるケースがあるのも事実であり、嗜好大麻の流通を懸念する意見もあります。
しかし時代の流れはそうした過去をへて、今まさに医療大麻の可能性、つまり人類の幸福に大きく寄与する可能性へと目線をシフトしてきました。この流れはアメリカを含む欧米から始まり、いまや世界各国に広がっています。
アメリカ国民の大麻に対する考え方
現在、アメリカでは医療大麻はもちろん、嗜好大麻の賛否も積極的に議論されています。ニューヨーク州に代表されるように、州知事が嗜好大麻の合法化に積極的なケースも少なくなく、医療の場だけでなくライフスタイルの場で大麻が語られる機会が増えてきたのがここ数年の傾向です。
とはいえもちろん、アメリカ国民すべてが大麻に寛容なわけでなく、先述した理由などから大麻に否定的あるいは慎重な姿勢を見せる有識者や研究者などもいます。いずれにせよそれは、大麻に対する先入観やイメージでなく、科学的な根拠や実績など客観的なデータと可能性を考慮してのまっとうな議論です。こうした議論が社会的な場でたびたび行われるのも、やはり大麻先進国アメリカならではなのかもしれません。
まとめ
大麻先進国であるアメリカの大麻カルチャーは、世界で最先端を走っています。つまりそれだけ早く大麻のメリットが人々に還元され、大麻にかんするインフラが整備されていくということにほかなりません。この先アメリカ人が、誰よりも早く大麻によって難病を克服したり、幸せな人生を送ったりする可能性が高いということです。
嗜好大麻の是非はともかく、医療としての大麻を少しでも早く整備できるよう、日本がアメリカに追従する日はいつかくるのでしょうか。
合わせて読みたい記事はこちら↓
情報引用元(参考文献、URL、URKページ タイトル記載)
https://toyokeizai.net/articles/-/387609
https://www.mashupreporter.com/house-passes-bill-decriminalizing-marijuana/
https://hypebeast.com/jp/2020/12/us-house-of-representatives-marijuana-decriminalization-news