【世界が注目!】英国のメディカルCBD最前線

はじめに

近年、さまざまな研究が進み注目を浴びているCBD(カンナビジオール)。麻から抽出される生理活性物質の一つであるCBDには、痛みや炎症の緩和、不安解消など様々な症状に効果があることが報じられ、日本でもウェルネス界の新しいサプリメントとして関心を持つ人が増えています。

様々な可能性を持つCBDですが、医療の最前線ではどのように使われているのでしょうか。今回はカンナビノイド研究における先進国の一つ、英国のメディカルCBD事情についてご紹介します。

医療用の大麻製剤は英国から生まれた

麻科の植物に含まれる薬理成分カンナビノイドを使った医薬品開発で最も知られているのは、英国のバイオ医薬品企業GWファーマシューティカルズでしょう。

1998年にジェフェリー・ガイ博士とブライアン・ホワイト博士によって共同設立された同社は、2003年に多発性硬化症の治療薬「サティベックス」を開発。THCとCBDを含むこの経口スプレー薬剤は一度は英国で認可申請を却下されたものの、2005年にはカナダにおいて世界で初めて承認を受け、販売がスタートしました。

その後2010年に入って本国英国でも認可され、2011年以降には他のヨーロッパ諸国でも処方が可能になりました。サティベックスは、その後がん疼痛治療剤としても有効であることが認められています。

また2015年に入り同社は「ドラべ症候群」や「レノックス・ガストー症候群」といった難治性てんかんの治療薬となる「エピディオレックス」を開発。2018年には米国薬物施行局(DEA)に認証された初の大麻由来の処方薬となり、日本でも治験への動きが進行中です。

名門オックスフォード大もカンナビノイド研究に着手

カンナビノイドの医療使用の研究が進むうち、多発性硬化症、てんかん、がんに伴う痛みの軽減や抗がん剤の副作用の緩和、関節炎など疾患の治療、総合失調症状やうつ病、不安障害といった精神疾患を改善するなど、大麻成分の医療的価値を裏付ける研究が数多く出てきました。

また一般消費者向けにもCBDを使ったさまざまな製品が発売されるようになり、健康サプリメントとしても注目を集め大麻市場は大きく動き始めます。

2017年になり、英国の名門大学オックスフォード大学とベンチャー投資会社であるキングスレー・キャピタル・パートナーズ社は、新しい研究プログラム「オックスフォード・カンナビノイド・テクノロジー(OCT)」を共同設立。
人体がもともともつ身体調節機能エンド・カンナビノイド・システムの仕組みを探り、植物性カンナビノイドの生物学的そして医学的可能性を調査し、治療分野における大麻のメリットを探る研究に乗り出しました。

自身もオックスフォード大出身であり、母親を肺ガンでなくした経験を持つキングスリーの会長兼マネージング・パートナーであるニール・マハパトラ氏は、英国におけるCBDマーケットの成長を知り、さらなる医学的研究が必要であると感じ医療用大麻市場に乗り出すことになったとコメントしています。

 2018年の医療大麻合法化のきっかけは

このようにカンナビノイド研究の盛んな英国ですが、2018年11月に入り、医療目的での大麻製剤利用が初めて全国的に合法化され、より患者の手に届きやすくなりました。

法改正のきっかけとなったのは幼い子どもたちのエピソードでした。

深刻なてんかん症状を持ち、家族が海外で入手した医療用CBDオイルに頼るしか手がなかった2人の男児が政府によってこのオイルの利用を禁止され、命に関わる苦境に追い込まれたことが報じられたのです。ニュースを知った国民の間からは「それはおかしい、あまりにも残酷だ」と大きな抗議活動が起こりました。

その後、内務省では医療大麻にまつわる規制の見直しを発表。その結果、医療大麻には治療上のメリットがあり、安全基準を満たした製品であれば医師による処方を可能にすべきだとの結論が出されました。

現在の英国では

  • 深刻なてんかんを患った子供
  • がんの化学療法の副作用により嘔吐や吐き気をもよおしてしまう成人
  • 多発性硬化症(MS)によって筋肉が固まった成人

上記への医療用CBDの処方が可能になっています。

大麻医療クリニックもオープン

またこの法改正を受け、2019年には英国初の薬用大麻の専門クリニックが英国中部マンチェスターにオープンしました。

ここでは関節炎、神経炎症、けいれん、てんかん、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などについて医師と相談することができ、専門医が大麻ベースの医薬品を必要に応じて合法的に処方できるようになっています。

現在のところ医療用CBDの処方は全ての人が受けられる訳ではなく、また費用も決して安くはありませんが、慢性的疾患などに苦しみ既存の治療オプションでは効果が得られず困り果てた人々の救世主となっています。

実際に、難病指定の遺伝病エーラス・ダンロス症候群を抱え痛みと吐き気と嘔吐に苦しんできた女性が医療用CBDを処方され劇的な改善を見せるといったポジティブなニュースが報告されており、今後も期待が高まります。

世界初!新生児へのカンナビノイド治験がスタート

2020年に入り、さらにセンセーショナルなニュースが報じられました。
英ノーフォークのノリッチ大学病院では世界初となる、新生児を対象にしたカンナビノイド治験をスタートしたことを発表。

これは低酸素脳症をかかえる赤ちゃんへの新治療法として行われているもので、治験者第一号となったのはノリッジ病院で2020年3月に緊急帝王切開によって誕生した男児オスカー君。薬剤はすでに特殊なケースのてんかんの治療薬として使われているものですが、生まれたばかりの赤ちゃんへの投与は世界で初めて。新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)による発作を抑え、脳損傷のリスクを低減するのが目的となっており、不安を抱える多くの親たちの希望の星となっています。

まとめ

英国でのメディカルCBD事情についてご紹介しました。

ほかにも2020年1月からはイングランドで「エピディオレックス」が保険診療として認可され、レノックスガストー症候群、ドラベット症候群を患う2歳以上の子供に対して、CBD治療薬をこれまでよりも安価に処方できるようになるなど、医療最前線は常に進化を続けています。

CBD市場は過去10年間において着実に成長を続けており、医療目的の大麻・そして大麻由来製剤の使用については規制の緩和・合法化が進むことはかなり確実でしょう。

医療大麻を必要としている患者にいち早く、より安全な治療が届けられるよう、さらなる研究の加速が待ち望まれています。

合わせて読みたい記事はこちら↓
引用元

GWファーマシューティカルズ 開発、投資

GW Pharmaceuticals サイト 
https://www.gwpharm.co.uk/

 OCT情報
https://www.oxcantech.com/

英国名門オックスフォード大が大麻の医学的効能の研究に着手
https://www.medical-cannabis-project.jp/oxford-university-studies-cannabis/ (日本語)
https://www.ox.ac.uk/news/2017-03-15-cannabinoid-biomedicine-research-programme-launched (英語)
https://www.oxcantech.com/news-article/the-university-of-oxford-and-kingsley-capital-partners-announce-ground-breaking-cannabinoid-biomedicine-research-programme

テレグラフ紙とイブニングスタンダード紙https://www.standard.co.uk/tech/oxford-cannabinoid-technologies-medical-cannabis-a3905676.html
https://www.telegraph.co.uk/news/2017/03/16/oxford-university-launch-medical-marijuana-research-programme/

新生児・治験
https://canex.co.uk/medical-cannabis-trial-in-the-uk-becomes-first-to-recruit-baby/
https://www.thescottishsun.co.uk/news/5641430/british-baby-cannabis-medicine-anti-seizure/

英国初の薬用大麻の専門クリニック
https://www.manchestereveningnews.co.uk/news/greater-manchester-news/britains-first-specialist-medicinal-cannabis-15947611

抗てんかん薬クロバザム配合のエピディオレックスを処方
https://www.bmj.com/content/367/bmj.l7065

アーカイブ