英国で、食品規制当局が市販のCBD入り製品に含まれる推奨量を大幅に変えたことで、業界に波紋が広まりました。ウェルネス目的でCBDを使用する場合、どのくらいの量がベストなのでしょうか。
人気成分CBDのメリットとは?
CBD(カンナビジオール)は、古代から薬草として使われてきた大麻草から抽出される成分の一つで、健康上のメリットがたくさんあることが知られるようになりました。同じく大麻成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なり精神活性作用を持たず、安心して使うことができるのも人気の理由の1つです。
体内のバランス調整機能に働きかけ炎症や不安、ストレス、睡眠障害、慢性疼痛など、さまざまな健康の問題に対して効果を発揮するため、新薬やウェルネス成分にオープンな欧米ではとくにポピュラーになっています。すでにオイル、カプセル、クリーム、ドリンク、グミなどさまざまなタイプが市販されています。
医療分野での利用が増える中、CBDを健康サポート成分として日常生活に取り入れる人も増え、欧米ではスーパーマーケットやドラッグストアで手軽にCBD製品が入手できるようになりました(18歳以上が対象)。これは、CBDのリラックス効果や不眠症やストレスの軽減効果が、現代社会でストレスの多い生活を送る人々にマッチした結果だといえます。また2018年に米国で産業用大麻の栽培に関する規制が緩和されたことも、CBDの普及に大きな影響を与えています。
新ガイドラインの裏側には
CBD(カンナビジオール)はTHCやアルコールと異なり、車の運転などに影響を及ぼさない安全な物質と言われています。しかし英国では2023年秋、食品規制機関のガイダンスが変更され、CBDの推奨摂取量が大きく下方修正されました。新しいガイドラインによると健康な成人の1日のCBD推奨量は10mg。これは5% CBDオイルの4〜5滴分に相当します。
2020年の時点では、CBDの1日の許容摂取量が70mgとされていたことを考えると、これはかなり大幅な変更です。
制限が引き下げられた背景には、CBDが急速に人気を集めすぎ、行政当局がより慎重になったためだと言われています。
しかしこの変更はあくまでもガイドラインであり、スーパーでは依然として10mgを超えるCBD配合製品が販売されています(アルコールと同じく18歳以上が対象)。また「CBDの平均摂取量は1回あたり20~40mg」というデータもあります。
CBDを摂取することは一般的に安全とされていますが、専門家は「健康にいいから」と大量のCBDを長期間にわたって摂取し続けた場合、肝臓への負担や甲状腺の機能に影響を及ぼす可能性があるとの懸念を指摘しています。
推奨量を超えるCBD製品を撤去する制限がないことから、今回の変更は健康成分であるCBDを適切に摂取することの重要性を強調し、大きな危険性があるわけではないことを示しています。つまり推奨量の変更は「何事もほどほどに」という注意喚起の意味合いが強いと言えるでしょう。
CBDの多彩な利用法
CBD(カンナビジオール)は、日常生活にさまざまな方法で取り入れることができます。以下殿は代表的な摂取方法をご紹介します。
CBDオイル
CBDオイルは、舌の下に垂らすか、飲み物や食品に混ぜて摂取できます。舌の下に垂らす場合、数滴から数滴の量を使用し、効果を高めることができます。また、アルコールにCBDを溶かしたチンクチャーも、オイルと同様に摂取できます。
カプセル
CBDカプセルや錠剤は、正確な量を摂取するのに便利です。これらはサプリメントのように摂取できます。
食品とドリンク
CBDは食品や飲み物に混ぜて摂取できます。例えば、CBDを添加したコーヒー、グミ、スムージー、チョコレートなどがあります。
肌への塗布
CBD配合クリーム、ローション、バームなどは、特定の皮膚トラブルや筋肉、関節の痛みを和らげるために肌に直接塗布できます。
蒸気吸入(ヴェイピング)
CBDを含む電子タバコリキッドを吸引する方法もありますが、適切な機器と知識が必要であり、摂取方法には注意が必要です。
CBDの摂取方法は、個人の好みや状況に合わせて選ぶことができます。また、CBDの効果は個人によって異なるため、初めて使用する場合は、1日に3〜10mg程度から始め、効果が感じられない場合に、少しずつ使用量を増やしていくのがベストです。
またCBDを初めて使用する人はオイルやカプセルタイプなど、1日の摂取量が10mg未満に調節できる製品から始めることをお勧めします。
効果を感じることができる量は体重や症状によってかなり変わります。使用前にその製品に適した使用量を確認したり、病気治療など医薬品と併用する場合は特に医師との相談が大切です。
CBD大国アメリカのガイドラインは?
アメリカ合衆国では大麻合法化が進行しており、各州で異なるルールが存在します。しかし、CBDは規制の対象外であるため全国的なガイドラインは存在しないのが英国と異なるところです。新しい技術や製品の発展にオープンなアプローチをとる米国と比較して、英国は安全性を重視し、CBDに対する考え方もより保守的になっているようです。
またアメリカでは、大麻の合法性とCBDの使用に関する規制も州ごとに異なります。大麻が完全に合法な州もある一方で、アイダホ州、アイオワ州など一部の州のように、CBDの使用に関しても様々な制限をかけているエリアもあります。州をまたいだCBD製品の移動は一般的には認められているものの、エリアごとに規制が異なるため、法律に触れないためにも、移動先での合法性について最新情報を確認することが大切になります。
まとめ
ウェルネスに興味を持つ多くの人々にとって、CBD摂取量のガイドラインは非常に有用です。CBDの効果は個人差があり、製品の濃度や品質も異なるため、信頼性のある高品質な製品を選び、最適な使用量を見つけることが重要です。
CBDの健康メリットを最大限に受けるためにも、正しい情報を収集し、自分にあった摂取量を見つけてみましょう。
<参考資料>
https://www.thegrocer.co.uk/drinks/cbd-brands-hit-by-new-lower-daily-dosage-guidance/684173.article