ヘンプを楽しむファームステイ

大麻の持つ健康効果が知られるようになり、過去数年で大麻のイメージは大きく変わりつつあります。欧米の大麻メーカーでは、大麻の魅力をもっと知るためのユニークな農園ツアーを開催しています。

ゆったり楽しむ滞在型ホリデー

ファームステイとは、農場に滞在しながら動物の世話をして卵採りや野菜摘みの手伝いなどを体験できる旅行スタイルのこと。農園や近郊のコテージに滞在し美しい自然を楽しむことができます。普段の旅行ではできない体験を味わえるのが何よりの魅力。観光スポットを慌ただしく廻るツアーとは対極にあるホリデーの形です。

これらの旅行スタイルはアグリツーリズム、グリーンツーリズムとも呼ばれて、自然派やエコ派、そしてユニークな体験をしたい旅慣れた人々の間で人気となっており、近年では海外の大麻農園にも同様のツアーが登場しています。

イタリアの美しい自然の中で学ぶサステナブル事業

イタリア南部プーリア州にある大麻農園「カナプーリア」では、5月から8月にかけて「Cana Puglia Experience：the live Hemp」と呼ばれる大麻ファーム体験ツアーが開催されています。

これは大人も子供も楽しめる農園ファームツアーで、イタリア南部の美しい自然に囲まれ大麻の持つサステナビリティの可能性に触れることができるエコ体験ワークショップ。大麻・CBD関連ビジネスで起業して、これから仕事に携わる人のために、専門家を招いた麻素材を利用したい人向けのワークショップも開催されています。

料理から建築まで、ワークショップで学ぶことができるジャンルはさまざまです。
例えば大麻種子＝ヘンプシードを使った料理を学ぶコースでは、栄養豊富なヘンプシードの魅力と美食大国イタリアの魅力を同時に学ぶことができます。ヘンプ・カフェやレストラン開業を目指す人はもちろんのこと、イタリアンテイストあふれるヘンプ・ディッシュを学ぶにはうってつけ。テイスティング・タイムには参加者との楽しい交流時間も待っています。

またヘンプ製コンクリートや麻繊維を用いた建材・断熱材について学びたい人のためのコースも用意されています。基礎理論から演習までを網羅しており、気候変動問題や省エネのため、今後ますます増えていくエコ建築を学ぶことができる貴重なワークショップです。

イタリアでは小麦価格の下落や気候変動により土地が乾燥するといった問題を抱えているため、南部を中心にヘンプ生産に切り替える農家も増えています。イタリアの田舎をめぐるワイナリーツアーのように、農業と地域活性化の後押しもしてくれる大麻アグリツーリズムも今後増えていくのではないでしょうか。

健康のためリーズナブルなチョイス

大麻ツアーが人気を博しているのは、珍しい体験であるだけでなく良質の大麻を比較的安価に入手できるというメリットがあるためです。

米国では医療用や嗜好用の大麻が合法化されている州も多く、これらの州ではレクリエーション成分であるTHC（テトラヒドロカンナビノール）が一定基準を下回る大麻であれば、年齢制限など一定のルールに従いながら法に触れることなく服用や吸引が可能になります。

2018年に大麻所持と栽培が合法化されたバーモント州では商用販売の自由化が進み、ヘンプ農園に滞在して旬の花穂を自分で摘み、乾燥工程などを経て持ち帰る「マイ・ヘンプ・ツアー」を提供する農園も登場しました。

またアイオワ州のある農園は向精神作用を引き起こすTHCをほぼ含まない、ヒーリング効果が高いカンナビゲロール（CBG）株を栽培し医療大麻の「ピック・ユア・オウン（PYO）＝自分で収穫」サービスを行っています。CBG株には様々な健康効果が期待できるもののまだ価格が高いため「店で買うより自分で収穫した方がリーズナブル」と人気となっています。

リラックスと健康効果が高いカンナビジオール（CBD）ブームが加熱気味のなか、より希少なCBG株に特化することで上手に差別化を図った例です。