毎年4月20日は世界大麻デー。世界各国の愛好者たちが集まり各地で様々なイベントが開催されます。でもなぜ4月20日なのか、その由来をご存知ですか?
マリファナと「420」という数字の関係
420(フォー・トゥエンティ)はアメリカでは大麻を表すスラング。
70年代に生まれたこの俗称から「4月20日は世界大麻デー」と定められたのですが、その由来についてこれまで様々な説がささやかれてきました。
ある人はマリファナ所持の警察コードだといい、ある人はマリファナ精神活性化合物THCに420の化学物質が含まれているためだとし、ボブ・マーリーの命日にちなんでいるとか(実際には5月11日)、短編小説の一文からという説、そしてヒトラーの誕生日を祝っているのだという人までいます。
この「420」の由来が解明されたのはわりと最近のこと。
1971年、米カリフォルニア州サンラファエル高校に通っていた男子5人グループが「近くの沿岸警備隊にいる知り合いがこっそり大麻を育てているらしい」という情報を手に入れ、海岸警備隊員自身が描いた地図を持って放課後の午後4時20分にキャンパスにある化学者ルイ・パスツールの像の前で待ち合わせ、大麻を手に入れに行くことにしました。
自分たちのことを「ウォルドス」と呼んでいたこの友達グループは結局どこに大麻があるのか見つけられなかったというのですが、その後も「4時20分に像の前で」という暗号はそのまま「420(フォー・トゥエンティ)」としてマリファナの合言葉になり、その後カリフォルニアから全米、そして世界に知られるようになったといいます。
2012年になってメディアに身元を明かした5人組ウォルドスは、当時の手紙や秘密の地図を公開。彼らの主張がすべて本当かどうかはさておき、マリファナ雑誌「ハイタイムズ 」から「ニューヨークタイムズ」など様々なメディアに取り上げられ大麻カルチャー界のちょっとした有名人になりました。
現在では彼らのウェブサイト「420ウォルドス」で「ウォルドス」の歴史を紹介し、Tシャツや時計、タバコの巻紙などオリジナルグッズの販売が行われています。大麻解禁の動きが加速している米国らしいエピソードです。
「ピザと一緒に大麻をオーダー」の日も近い?
米ニューヨーク州では2021年4月から娯楽用大麻を3オンス(85.05グラム)まで合法的に所持できるようになったばかり。先ほどの「午後4時20分」は大麻愛好家の一服タイムとしても知られています。
様々な大麻商品やサービスが登場する中、デリバリー大手の米ウーバーCEOのダラ・コスロシャヒはインタビューで「近い将来アルコール飲料を配達するのと同じ感覚で大麻をデリバリーしたいと考えている」と語っています。米連邦法の整備が整い、大麻をとりまく法律がクリアになればデリバリー需要はさらに増えていくはずだというのです。
米国では州によって差はあるもののマリファナ製品の配達をすでに許可しているエリアもあります。現在カリフォルニア、ネバダ、オレゴン州では、21歳以上であれば大麻の配達サービスが利用できます。すでにEmjayほか専業デリバリー大手がおり、競争もはじまっています。
4月20日、世界の大麻デーはどんな感じ?
ウルグアイに続いて国ごと大麻を合法化したカナダでは、この4月20日「大麻デー」に毎年大規模なイベントがおこなわれます。全体的な雰囲気は大麻をみんなで楽しむ野外音楽フェスティバル。屋台などもたくさん出店し、マリファナ入りのお菓子やドリンクなどを楽しむことができます。
合法化の進む米国でも、カリフォルニアやコロラド州などで同様のフェスティバルが行われます。また新型ウィルス蔓延でフェスティバルが軒並み中止となった2020年には、ストリーミングサイトを利用しオンラインでバーチャル・フェスティバルも行われました。
嗜好用大麻は合法化されていないのにもかかわらず半分合法扱いという立場をとるイギリスでも、ロンドン中心地のハイドパークなど大規模な公園で愛好家が集まり集会が行われます。周りは煙で視界がかすむほどですが、警備にあたる警官も、トラブルを起こしたり公然と売買をしたりしない限りはパーティを容認し見守っています。
合法ヘンプ新興国のタイにカフェ登場
東南アジアのタイでも医療大麻が合法化され、2021年2月からは花と種子以外のカンナビス及びヘンプの部分が医療、医薬品、健康食品などの分野で商業利用できるようになりました。
ここでは2021年の世界大麻デーに合わせて、首都バンコクの中心地に大麻カフェ「GTG cafe」がオープンしました。GTG cafeでは大麻から抽出される健康成分カンナビジオール(CBD)入りのドリンクやお菓子がメニューに登場。
ミャンマー、ラオスに近いタイ北部のチェンライで栽培された国産大麻を使用しており、リラックス効果に特化した大麻株を栽培する農場を所有しています。これらの植物は、チェンライ・ラチャバト大学とも提携し、医療や食用目的でカンナビノイドを生産するためにも利用されているとのこと。
初心者へのおすすめメニューは麻の風味が感じられるミルクアイスティーです。ほかにも大麻を配合したチョコレートや抹茶味のクッキー、CBDオイルを配合したコーヒー、CBD配合バターを使ったクロワッサン、アイスクリームなど美味しそうなメニューが揃っています。
まとめ
フェスティバルやコンサートだけでなく、解禁を求めるデモ行進や集会も行われる4月20日。オリジン・ストーリーが「高校生たちの待ち合わせ時間」だったとは驚きです。
大麻研究を行う大学機関などでは、大麻のメリットを支持する研究例は多くあり、健康的効果や社会的な観点からも、少なくとも非犯罪化すべきだとする声がたくさんあり、世界大麻デーも年年々盛り上がりを見せています。アルコールのように未成年への規制や運転への規制などを整備しつつ、合法化に向けて動いているイギリスやタイのような国も多いようです。
喫煙だけでなく手軽に楽しめるお菓子やカフェメニューで麻の効果を実感し、安心で美味しく健康やリラックスに役立てることができる社会まで、あと少しなのかもしれません。
<参考資料>
https://www.cnbc.com/2021/04/12/uber-ceo-says-company-could-get-into-cannabis-delivery.html
GTG cafe
https://www.timeout.com/bangkok/restaurants/gtg-cafe