米国のファースト・ネセシティ(First Necessity)社 が、オハイオ州のヘンプ・プログラムの下で製造された初のCBD経皮パッチをリリースするというニュースが報じられました。
経皮パッチのメリット
米国オハイオ州、クリーブランドに拠点を置く企業ファースト・ネセシティ(First Necessity)社 が、オハイオ州のヘンプ プログラム下で製造された製品としては初となる医療目的CBD経皮パッチをリリースするというニュースが報じられました。CBDとは「カンナビジオール」の略で、大麻に含まれる健康効果が高いとされる薬理成分の一つです。
経皮吸収パッチまたは経皮吸収治療システム(TTS)と呼ばれる医薬品は、タバコをやめたい人が使うニコチンパッチのように、絆創膏のようなパッチを直接皮膚に貼る薬剤投与の方法の一つです。有効成分は皮膚から吸収され、毛細血管を通じて血管に入り全身を循環しながら体全体に分布して効果を発揮します。
経皮吸収型パッチには
①成分が皮膚からゆっくり吸収され持続的に効果を発揮する
②血中の薬品濃度が安定し長時間維持できる
③貼るだけなので使用が簡単
④有効成分が体内に吸収されやすい
といったメリットがあります。
例えばCBDオイルで口から摂取するよりも、経皮パッチの方がより緩やかで持続した効果が得られるといいます。また上腕部などに貼ったパッチを目にすることで服薬していることを確認できるといった利点も。パッチ素材にアレルギーがあり、かぶれなどのトラブルを起こすケースを除いて、安心して使用できる手段のため、一般向けCBD商品の中にもパッチ型が見られるようになりました。
こんな効果がある
話題のウェルネス成分CBD(カンナビジオール)ですが、一体どんな効果があるのでしょうか。CBDとは自然の麻に含まれるカンナビノイド成分の1つで、100種類以上あるというカンナビノイドの中でTHC(テトラヒドロカンナビノール)と共に最もよく知られている成分です。
これらの成分は、人体が持つ身体機能のバランスを整える体内のECS(エンドカンナビノイドシステム)に働きかけ、それぞれの効果を発揮します。
CBDの場合は
体内の炎症とそれに伴う痛みを鎮める
自然治癒力を高める
リラックス作用で不安や緊張状態、不眠などを緩和
といった効果が期待できるといわれます。現在ではサプリメント、食品、化粧品など多岐にわたる分野で注目を集めているのです。
このCBDやTHCなどの大麻由来成分を原材料にした、MS(多発性硬化症)や重度のてんかん治療薬も海外で承認され治療が行われており、病気に伴うつらい症状の緩和に利用する人も増えています。副作用がほとんど見られない点でも、安心して使用することができます。精神を高揚させる作用も持つTHCが含まれていない限り日本でも合法的に販売・使用ができ、サプリメントやコスメ、ドリンクなど様々な商品が誕生しています。
またカンナビノイドの効能は、研究が進むにつれてどんどん新しい事実が見つかります。例えば医療的効果が高いとされてきたCBDは、一般に麻薬成分として知られるTHCや、他のカンナビノイドと一緒に服用することで、その効能をより発揮できることもわかっており、その働きは「アントラージュ効果」という名前で知られています。
こんな症状を抱える人に
ファースト・ネセシティ社がリリース予定のCBD経皮パッチは、目的別に3つのタイプがあります。このパッチはよく知られたCBDに加えて、同じく大麻由来成分でヒーリング効果が高いとされる微量カンナビノイドCBG(カンナビゲロール)がブレンドされているのが特徴です。CBGは、CBDと同じように痛みや炎症の緩和に役立つほかにも抗生物質として機能する可能性もあるとされ、これから注目の成分の一つでもあります。
以下が、ファースト・ネセシティ社が発表したパッチの3タイプです。
①Me Patch:女性の抱える不快感のために処方されたパッチ。気になる症状を和らげる主体成分となるCBDと、CBGをブレンド。
②Calm Core:コア関連の不快感の緩和のために、CBDよりCBGを多めに配合したブレンド。
③Victory Patch:アスリートやアクティブな人々の回復や、体の不快感向けに処方されたパッチ。CBDとCBGを1:1で配合。
ここでは「女性の抱える不快感」「コア関連の不快感」「アスリートたちの回復」と曖昧な表現が使われているのは、現在の連邦規制当局のガイダンスに反することのないよう、注意深く配慮された結果です。日本の厚生労働省に似た役割を持つ米国のFDA(アメリカ食品医薬品局※)の承認があるまでは自社製品の薬効・目的をユーザーに直接的に宣伝することができないためです。
期待できる効果をわかりやすく翻訳するならば
Me Patch>女性特有の体の不快感を改善
Calm Core>不安などメンタル面のサポート
Victory Patch>筋肉疲労や関節の痛み緩和
といった内容になるのではないでしょうか。
パッチは皮膚と接触したままなので、CBDがゆっくりと体内に放出され全身を巡ります。オイルやサプリメントはうっかり飲み忘れることがありますが、パッチなら心配いらず。また軽量でボトルのように割れてしまう危険がないため、持ち運びにも便利です。
※FDA=アメリカ食品医薬品局=Food and Drug Administration=食品などを取り締まる米国の政府機関のこと。
「痛い・辛い」の悩みをサポート
医療用マリファナ業界のビジネスを代表する弁護士であり、ファースト・ネセシティ社の役員であるジム・アイクスと、同じく法律分野出身のビジネスパートナー、チャド・ザムカーは、現在クリーブランドに2,500平方フィートの専用施設を建設しCBDパッチ生産の準備に取り掛かっています。
上記のメリット紹介でも取り上げましたが、経皮パッチは体内への吸収率にも優れています。有効成分が体内を循環するバイオアベイラビティが高く、舌下投与よりも有効な投薬方法。
若い人から高齢者向けまで様々な悩みをカバーしてくれるCBDに使いやすいパッチ型が普及することで、今後、辛い症状に悩む人々の心強いサポーターになってくれるのではないでしょうか。
<参考資料>
経皮パッチのメリット
https://med.toaeiyo.co.jp/contents/tape-manual/tape-manual01.html