大麻の主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)は、人々の健康をサポートする有効な成分であることが近年わかってきました。
このうち特にCBDは精神的な変容をもたらさず(いわゆるハイにならない)に健康や美容の補助に有用だとし、健康補助食品などさまざまな形で国際的に広く流通しています。
今回はこれら有効成分、いわゆるカンナビノイドの研究における最先端情報をお届けします。
ようやく土壌が整備されてきた大麻研究
世界的に見ると、大麻に寛容な国は決して少なくありません。しかし大麻が実際に医療などにおいて有効であることがはっきりわかってきたのは、実はそう昔のことでもないのです。
ワシントン州とコロラド州はアメリカ国内で初めて大麻を合法化した州ですが、大麻カルチャーの最先端をいくアメリカにおいても、両州が合法化に踏み切ったのは2012年11月のこと。実はそれほど昔のことではありません。
それから数年の間で、大麻の有用性や可能性に研究者や医療関係者、政治家やビジネスマンなどが大きく注目するようになりました。アメリカやその他の国で医療大麻が続々と解禁されているのも、ここ数年で人類がようやく大麻の有用性に気づいたからではないでしょうか。
こうした現状のため、カンナビノイドにかんする研究はまだまだ始まったばかりといったところです。カンナビノイド研究は古くから行われていましたが、近年ほど熱を帯び、著しく発展したことはないでしょう。
ここにきてカンナビノイドが人や動物の体にどういう影響を及ぼし、どういう作用や効果をもたらすのかということがいっそうわかってきましたが、そのメカニズムやカンナビノイドの隠された可能性などについては、まだまだ研究中といったところ。それらを解明するための研究土壌が、国際的にようやく整備されつつある──というのが現状です。
日本でのカンナビノイド研究
日本ではいまだ大麻取締法により、大麻の栽培や所持などが厳しく規制されています。たとえ研究目的であっても、実質的に大麻を扱った研究や実験を行えないのが現状です。そのため、日本のカンナビノイド研究は、世界的に大きく後れをとっています。
とはいえ、政府や大衆などがこうした国際的な動きに鈍感である一方、医療大麻の有用性や人々の健康への寄与などを目的とし、カンナビノイド研究を推進する動きがまったくないわけではありません。日本国内の医療従事者で構成される“日本臨床カンナビノイド学会”もその一つです。
こちらでは地域医療の再生と科学の発展を目的に、大麻やカンナビノイドの研究を推進しています。2018年には日本国内の研究者の育成や能力向上のために、医師や歯科医師、薬剤師、看護師など国家資格を有する医療従事者や研究者を対象に、カンナビノイドにかんする研究費の支援を行っています。さらに2019年11月には国際会議の参加者支援だけでなく、学術論文投稿支援も開始しました。
カンナビノイド医学に焦点をあて、研究支援や情報の広いシェアを実践している日本臨床カンナビノイド学会は、日本国内においてカンナビノイド研究の最先端をいく数少ない組織の一つといえます。
カンナビノイドの研究状況
カンナビノイドのうち、特にCBDは巨大マーケットを生み出し世界経済に大きく寄与することから、医療従事者や研究者だけでなくビジネスマンなどにも大きく注目されています。そのため、CBDにかんする研究や試験情報、論文などが比較的多く、参照しやすいという背景があります。
現在のCBD研究では、CBDが持つ効能が明らかになってきており、多数の研究論文が発表されています。CBDが有効だと思われる疾患は実に50以上にのぼり、このすべてのケースで研究が行われ、複数の論文が発表されているのです。
とはいえ、現在はあくまでCBDの臨床結果に即した形で運用されているのが実態であり、CBDと人の脳神経の相関やメカニズムまで、つまり脳神経科学的にCBDやカンナビノイドの作用や影響が完全に明らかになったわけではありません。現在、日本国内で医療従事者などが臨床知見を広くシェアしているのは、カンナビノイドの実用化にいち早くアプローチするためでしょう。科学的に解明するべき課題はあるにしろ、さまざまな病などで苦しむ患者を眼前に、医療大麻という恩恵を無視しない良識ある専門家達の今後の活動に期待したいところです。
まとめ
大麻にかんする研究が、これからますますさかんになっていくことは容易に想像できます。ビジネスだけでなく、医療を含む科学的な場においても、これから大麻が国際的な場で広く議論される機会は増えるでしょう。
大麻研究にかんして世界的に大きく遅れている日本ですが、病の克服や健康的で幸せな人生の実現のため、私たち一人ひとりが大麻の有用性、可能性、そして正しい知識について学んでいかなければなりません。
もしあなたの大切な人がいつか病の苦しみで顔を歪めたとき、医療大麻だけが唯一苦悶の表情に笑顔を取り戻し、健やかな人生を取り戻すことができるかもしれないのです。
幸せのための手段を、私たちはいつまでも見過ごし続けてはいけません。
合わせて読みたい記事はこちら↓
情報引用元(参考文献、URL、URKページ タイトル記載)