はじめに
大麻は数カ国を覗いたほとんどの国で禁止されています。
大麻を経験できるということで話題になるオランダも、決して合法化されているわけではないのです。しかし、禁止されているにも関わらず「あの国では大麻を経験できるらしい」と言われるのは、”合法化”と”緩和化”に違いがあります。
大麻は日本のように非常に厳しく罰せられる国もあれば、禁止してはいるものの、罰金程度で済むという国もあるのです。
海外の国で大麻はどのように規制されているのでしょうか。正しい知識を身につけるために本記事では、”合法化”と”緩和化”の違いを説明すると共に、アメリカ・カナダ・オランダでの大麻事情に軽く触れ理解を深めていきましょう。
大麻の”合法化”に関する考え方
大麻は嗜好品としての利用が合法化されている国・医療大麻限定で合法化されている国があると共に、オランダのように規制が緩いのでその国で大麻を経験するのは難しくないという国もあります。
しかし、禁止されているにも関わらず「ここでは大麻が利用できるよ」と言われるのは何故なのでしょうか。
その違いは、合法化されているか、緩和化されているだけなのかにあります。
合法化と緩和化
「利用や所持オッケー、でもちゃんとルールは守ってね」
といういわゆる”合法化されている” – 英語ではLegalizedといわれ、日本でいうとお酒を飲むことが許可されているのと同じです。
しかし、連邦政府に認められていないにも関わらず、”刑罰が緩和されている”国もあります。こちらはDecriminalizedといわれ、「所持していても犯罪履歴は残らないけど、禁止は禁止。罰金などのペナルティーは発生しますよ」とうケース。
日本ではとにかく「ダメ。ゼッタイ。」なのでピンとこないかもしれません。
もし日本で大麻に関する罰則が罰金程度に緩和されたとしたら、大麻を吸う人が増えるかもしれませんよね。
それを他国から「日本は大麻が吸えるらしい」という見方をされたとしたらどうでしょう。
日本人が「オランダは大麻が吸える国だ」と思うのは、合法化と緩和化の違いをよく理解していないことにあります。
「この国は大麻が吸えるらしい」という見方ではなく、「法律でどのように規制されているか」を理解しましょう。
大麻を”合法化”(嗜好品)している国は3カ国
大麻を合法化している国は、カナダ・ウルグアイ・南アフリカ共和国です。
アメリカ合衆国は11の州限定で合法化されていますが、連邦政府に認められているわけではありませんので、国としてはまだ合法化されているとは言えません。
中には所持に関しての罪が軽く済む国もあるのでもっと多く感じるかもしれませんが、実際は3カ国と少ないのです。
スペインでも個人的な利用などは合法化されていますが、まだ商業利用などは禁止されており、売買することで刑務所に入れられることもあります。
この国では吸えるんじゃないの?と思っていた国は「刑罰が緩和されている」だけというケースがほとんどでしょう。
医療大麻が認められている国
医療大麻が認められているのは以下の国です
アルゼンチン・オーストラリア・バミューダ・チリ・コロンビア・クロアチア・キプロス・チェコ・デンマーク・エストニア・フィンランド・ドイツ・ギリシャ・アイルランド・イスラエル・イタリア・ジャマイカ・リトアニア・ルクセンブルク・マルタ・メキシコ・オランダ・ニュージーランド・ノルウェイ・ペルー・ポーランド・ポルトガル・ルーマニア・サンマリノ・韓国・スリランカ・タイ・トルコ・ジンバブエ
中でもヨーロッパでは特に医療大麻が急速に成長しています。
ドイツでは142,000件近く処方され、60,000以上の患者さんを助けています。
日本でも医師が医療大麻についた本を出版するなど、見えないところで医療大麻の効果について広めようという活動が見られています。
国別大麻事情
「大麻を経験できる国(合法化されている国)」と「緩和化されている国」の具体例として、アメリカ合衆国・カナダ・オランダが挙げられます。
アメリカの州別大麻事情
緑- 合法化されている州
青- 医療大麻のみ合法化されている州
水色- 医療大麻が許可されているが、THCの含有量が制限されている
グレー- 禁止
お馴染みのアメリカ合衆国では、現在ワシントンDCを含んだ11州で合法化されています。
医療大麻は、22の州で合法化されています。
全体の中でさらに”緩和化”されている州が存在・そしてインディアン居留地では法律が変わってくるなど、なかなか複雑です。
1996年にカリフォルニア州で医療大麻が認可され、2014年にコロラド州で嗜好品としての大麻が初めて合法化されました。
最近ではニューヨーク州でも大麻合法化の動きが見られています。
大麻が合法化されている州名
・アラスカ州
・カリフォルニア州
・コロラド州
・コロンビア州
・イリノイ州
・メイン州
・マサチューセッツ州
・ミシガン州
・ネバダ州
・オレゴン州
・バーモント州
・ワシントン州
医療大麻が合法化されている州
・アリゾナ州
・アーカンザス州
・コネチカット州
・デラウェア州
・フロリダ州
・ハワイ州
・ルイジアナ州
・メリーランド州
・ミネソタ州
・ニューハンプシャー州
・ニュージャージー州
・ニューメキシコ州
・ニューヨーク州
・ノースダコタ州
・オハイオ州
・オクラホマ州
・ペンシルベニア州
・ロードアイランド州
・ユタ州
・ウエストバージニア州
嗜好品として合法化されている州でも、ルールが決められています。
州によって多少の違いがありますが、どの州も「21歳以上であること」という年齢制限が設けられており、持ち歩いていい量も厳しく指定されています。
カナダの大麻事情
カナダでは2018年に嗜好品での大麻合が法化され話題となりました。
医療大麻は2001年に合法化されているため、その後17年かかったということになります。
カナダでの主なルールは以下の通りです。
州または領土の制限に従い、18歳以上の成人は法的に以下の行為が許されています:
・公共の場で最大30グラムの合法大麻を乾燥または非乾燥状態で保有
・最大30グラムの合法大麻を他の成人と共有する
・州で認可された小売業者から乾燥または加工前の大麻と大麻油を購入する
-規制された小売りの枠組みのない州や準州では、個人が連邦認可の生産者からオンラインで大麻を購入できる
・認可された種子または苗木から、個人使用のために住居ごとに最大4つの大麻植物を育てる
・濃縮製品の製造に有機溶剤を使用しない限り、食品や飲料などの大麻製品を自宅で作る
(引用元:”Cannabis Laws and Regulations” Department of Justice)
大麻は加工前や加工後、種の状態によって所有して良い量が決まっていたりするなど細かいルールも存在しています。
オランダの大麻事情
オランダで大麻は違法です。”緩和化”されているとすら言えず、現地の人からすれば”目を瞑られている”と言った方が合っているんだとか。
よくテレビなどの情報で勘違いされる方もいらっしゃるかもしれませんが、免許を所持したコーヒーショップでの利用・販売が許可されているというだけなのです。
そして、その大麻の仕入れのルートも闇に包まれています。
オランダはドラッグに対し日本とは全く違うアプローチをとっています。
ドラッグを「ソフトドラッグ」と「ハードドラッグ」に2分しているのです。
大麻はこの「ソフトドラッグ」にカテゴライズされ、違法所持(5グラム以上の所持)・商業以外での違法栽培に関しての罰則は軽いものとなっています。
これはアムステルダムの貿易量の関係で薬物の出入りが非常に活発であるため、規制することによってソフトドラッグ使用者がハードドラッグの使用の機会を増やしてしまうという考えだとしています。(参考:”オランダの薬物政策” Wikipedia)
オランダの大麻事情は歴史と深く関係しており、調べてみると非常に興味深い内容となっています。
コーヒーショップなどで大麻を気軽に楽しめるというイメージがあるかもしれませんが、実際は一人のお客さんに売っていい量や在庫の量などにも規定があり、「自由に大麻を吸引できる」というイメージは間違っているのです。
今年2020年にはそのコーヒーショップでの大麻取り扱いも禁止する動きが見られており、今後さらに厳しくなる可能性があります。
まとめ
大麻はまだ海外でも規制が厳しく、「大麻を経験できるらしい」という見方を改め、”合法化”と”緩和化”の違いを理解しましょう
合法化されている国でもルールは厳しく定められているため、日本で飲酒をするような軽い気持ちで扱ってはいけないということがわかります。
今後も様々な国で大麻合法化が実現するかもしれませんが、国別の歴史と共に大麻事情を調べていくと、面白いことが学べるかもしれません。
合わせて読みたい記事はこちら↓