はじめに
近年、美容や健康の分野で目にする機会が増えてきた「CBDオイル」という言葉。その効能から「体にいい成分」「リラックス成分」と認識する人が一方、主に大麻を原料とする成分だと知り驚かれる人も多いのではないでしょうか。
本項ではCBDが人体にどういう作用や利益をもたらし、社会的にどのように位置づけられる成分であるかを、客観的な資料に基づいてご紹介します。
そもそもCBDオイルってなに?
一般的にCBDオイルは、大麻草の有効成分であるCBDを高濃度で抽出したオイルです。
(日本国内に流通する製品は法律の関係でCBDを麻から分離した後に、MCTオイルやオリーブオイルなどに含有して製品化されている製品が一般的です)イメージとしては「オリーブの実からオリーブオイルが精製される」のと同様、CBDオイルは大麻草から精製されます。国内では法的な規制などからCBDオイルの精製が困難ですが、海外諸国では既にCBDオイルの有用性や可能性について議論・研究されており、高品質なオイルを製造するメーカーや大麻農家が多数誕生しています。
CBDオイルはマウスを用いた臨床実験において、てんかん発作などに対する抗けいれん薬として有効であることがわかっており、小児てんかんなどの対症療法に利用されています。2007年にはイギリスの製薬会社であるGW社が販売する、大麻草の有効成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)を主成分とした医薬品「サティベックス」の米国内における独占的なライセンス契約を、日本大手製薬会社である大塚製薬が獲得しています。
てんかんのほかさまざまな症状を改善する医療薬としての可能性にも期待されていますが、現在日本国内に流通しているCBDオイルは主に医薬部外品(健康食品)としてリラックス効果など健康・美容におけるセルフケアを目的とするものが大半です。
WHO(世界保健機関)などによる臨床試験においてCBDオイルの有意な作用はまだ定義されていませんが、民間ではリラックスやストレスの緩和など官能的な効果があるとされ、嗜好品として広く利用されるようになってきました。
カンナビノイドの専門的な研究に取り組んでいる日本臨床カンナビノイド学会によると、CBDオイルはヒトのエンド・カンナビノイド・システム(ECS)に作用し、心身の健康維持に寄与することがわかっています。
エンド・カンナビノイド・システムとは
エンドカンナビノイドとは脳内物質の一種で、中枢神経系において神経伝達の調節を司っています。端的には自律神経やストレスなど心的状態に影響し、ヒトの幸福感や恒常性(基本的身体機能)に寄与するシステムです。一方でエンド・カンナビノイド・システムがうまくはたらかない状態が続くと、さまざまな疾患リスクが高まることも明らかになってきました。
CBDオイルに含まれる植物性カンナビノイドであるカンナビジオールは、エンド・カンナビノイド・システムに直接的にはたらきかけるため、心身の調節や健康維持に有効だといわれています。その因果関係は医学的にはまだ解明されていませんが様々な論文が提出され研究が加速しています、このような事から思い込みや先入観などプラセボによる作用も含め、CBDオイルが心身機能の維持や改善に有効だと感じる人が世界的に増えています。
CDBオイルは違法薬物?
日本国内では一般的にCBDオイルが違法かどうかは、含有される成分で決まります。
CBDオイルを法律的観点から見ると、要点は大麻草の主成分であるTHCを取り締まる「麻薬および向精神薬取締法」と、茎や種子などを除く大麻草そのものを取り締まる「大麻取締法」の二点です。
仮にCBDオイルにほんの僅かでもTHCが混入していたり、規制対象となる部位や大麻の樹脂などを利用して精製されたオイルを所持していたりすると、日本の法律に抵触することになります。
これらの条件をクリアして流通するCBDオイルは、健康リスクをはじめ法的なリスクもありません。昨今では大麻草の茎などから高品質なCBDを独自に抽出する海外メーカーも増えてきました。一方でこうしたリスクを鑑みず、粗悪な商品を販売する業者が一部に存在するのも事実です。消費者は、メーカーや輸入業者、流通業者、小売業者がどの程度の良心をもってビジネスに取り組んでいるのかをよく見極める必要があります。
まとめ
CBDオイルは日本国内で取り締まり対象となっている大麻草が原料であることから、商品そのものの特性が誤解されることも珍しくありません。
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