ビートルズの元メンバーであるスーパースター、ポール・マッカートニーは、自身の所有するサセックスの農園でヘンプ(産業用大麻)を栽培していることを明かしました。彼は60年代から大麻と親しみオーガニック農法にも熱心なことで知られています。
麦もビールも手作りオーガニック
元ビートルズのメンバー、ポール・マッカートニー氏はインタビューで自身の農場で大麻を栽培していることを明らかにしました。彼は80歳になっても現役のスーパースターであり、プライベートではオーガニック農業に精を出しています。
彼はイングランドの美しい街ライの近くに大きな農園を所有しており、20年にわたって農薬や化学肥料を使わないオーガニック農業を行ってきました。作物はスペルト小麦、ライ麦、エンドウ豆など多岐にわたり、この地方の特産品であるホップを育て自家製のエールも作っています。彼は散歩中に見つけたキノコにちなんで名付けられた「Old Stinkhorn(オールド・スティンクホーン)」というオリジナル・ビールを、ミュージシャン仲間であるギタリストのキース・リチャーズなどのセレブの友人たちに振る舞っていることも報じられています。(※スティンクホーン=スッポンタケのこと。)
80年代からベジタリアン主義と地球環境問題をアピールするなど先見の明があり、妻と共にカントリーライフを基本にした暮らしを始めた彼ですが、購入した土地は昆虫が生息できないほど農薬や化学肥料で荒れていることを知ったのがオーガニックに目覚める大きなきっかけになったといわれています。
大麻との関係が長いマッカートニー氏
ビートルズとして人気が爆発した1964年に、マッカートニー氏はニューヨークのホテルでミュージシャン仲間のボブ・ディランと初めて大麻を体験し、それ以来大麻を愛好してきました。ビートルズの曲の中には明らかに大麻やその他のドラッグの影響を受けているものも見られます。1980年の来日時にはマリファナ所持の現行犯で逮捕され、日本の留置所で9日間を過ごし強制送還されたエピソードも有名です。
マッカートニー氏は近年になり英国人シェフ、ルーシー・ロジャースがホストを務めるポッドキャスト「River Cafe Table 4」に出演した際、大麻栽培にも取り組んでいることについて初めて明かし、地元の若者たちが敷地に入り込み盗まないように注意深く管理していると語りました。
イギリスではライセンスを申請・取得すれば合法的に大麻を栽培することができます。栽培しできるのは産業用ヘンプと呼ばれる種類で、植物に含まれるすぐれた繊維や油脂を利用して布地、化粧品、ロープ、印刷用インク、木材保存料、洗剤、石鹸、バイオ燃料など、さまざまな製品を作るために使用されます。
また産業用ヘンプに含まれる成分CBD(カンナビジオール )は、鎮痛や炎症緩和、リラックス効果が高く、副作用がほとんど見られないため現在の健康ブームに乗って人気が非常に高まっています。このCBDはてんかんの発作やがんの疼痛管理、多発性硬化症の症状緩和などにも効果を発揮し、医療界でも注目を集めています。サプリメントとして使用する場合も、ストレスや不眠が和らいだ、肌のトラブルが収まった、スポーツや加齢による関節の痛みが緩和されたといった様々な効果が報告されています。
麻薬目的で使われる品種とは異なり、産業用ヘンプは精神を活性させる成分テトラヒドロカンナビノール(THC)の含有量が非常に低いのですが、それでも生産や管理には様々なルールが伴います。
大麻事業に進出するセレブたち
マイケル・ジャクソンなど大物アーティストのミュージックビデオを数多く手がけてきた、英国出身の映画監督スティーブ・バロン氏も英国で大麻農園をスタートし、現在はサステイナブルな建材作りの事業に乗り出しています。彼はヘンプ建材で自宅を建て、持続可能なバイオマスボイラーと家庭用風力発電、ソーラーパネルで電力を賄うというエコ生活を実現しました。
歌姫ビヨンセもツアーの過酷スケジュールよって生じる体の痛みや不眠を和らげるためにCBDを愛用したのがきっかけとなり大麻農場を経営し、大麻から抽出された健康成分CBDをブレンドしたはちみつを生産しています。「天使にラブ・ソングを…」などで知られるハリウッド女優ウーピー・ゴールドバーグも医療用大麻ブランドを運営していたことがあります。プロボクサーのアンソニー・ジョシュアも大手CBDブランドのアンバサダーとして活躍。ジェイZやスヌープ・ドッグ、ジョン・レジェンドなど大麻関連事業に乗り出したセレブやスポーツ選手は年々増えるばかりです。
マッカートニー氏のヘンプも、将来的には彼のオリジナル・ビールのように商品化される日が来るのかもしれません。
まとめ
今回は有名スター、ポール・マッカートニーの大麻農園やセレブたちの大麻関連ビジネス参入についてご紹介しました。
セレブたちの活動によって大麻の素晴らしい特性が注目され、これまで人々が抱いていたネガティブなイメージが変化しつつあります。彼らの活動は大麻の持つメリットを広め、多くの人々にその健康やサステイナブル効果について情報を提供するだけでなく、大麻へのイメージを刷新し、可能性を広げる役割を果たしているといえるでしょう。
<参考資料>