CBDがドーピング禁止物質リストから削除されて以来、多くのアスリートがハードなトレーニング生活のサポートにCBDオイルを愛用しています。本稿ではスポーツ分野におけるCBDの効果やCBDを愛用している著名アスリートを紹介するほか、私たちのワークアウトへの取り入れ方についてもご紹介します。
ストレスや不眠、体の炎症を緩和してくれるCBD
健康や美容、そしてスポーツをする人にさまざまなメリットを与えてくれると話題のCBD(カンナビジオール)。CBDは大麻草(学名:カンナビス・サティバ・エル)から抽出される生理活性物質カンナビノイドの一種で、THC(テトラヒドロカンナビノール)と並んで100種類以上あるカンナビノイドの中でもっとも研究が進んでいる成分です。
大麻成分とはいっても幻覚などの麻薬的な作用はなく、依存性もありません。「緊張状態や不安、ストレス状態の緩和、不眠の解消」といった作用を持ち、体内の炎症を抑える働きがあるため、関節炎や筋肉の痛みを緩和してくれます。また精神疾患の治療などに有効といわれており、現在さまざまな研究が進んでいます。
多くの人が大麻と聞いてイメージする精神を高揚させる効果はCBDとは別の物質、THCによって引き起こされます。悪者扱いされがちな大麻ですが、これらの成分が組み合わさることで従来の医薬品では対応しきれない難病の症状、痛みやけいれん、吐き気などを抑える効果を発揮し、医療界でも期待が高まっているのです。
スポーツ好きにも嬉しい効果がいっぱい
スポーツ界では、CBDの持つ炎症緩和効果がとくに注目されています。アスリートは日常的にハードやトレーニングや試合に臨むため、一般人の数倍も筋肉を酷使します。このためたとえ強じんな体に恵まれていても筋肉痛や肉離れ、骨折などの故障を経験することが人一倍多いものです。
筋肉痛は運動で傷ついた筋線維を修復する過程で炎症が起き、筋膜が刺激されて起こると考えられています。CBDの炎症緩和効果は単なに痛みを麻痺させるのではなく、炎症を抑えることによって痛みを軽減するため筋肉のリカバリー(回復)を早めてくれる効果があるのです。
2018年にWADA(世界アンチドーピング機構)の禁止物質のリストからCBDが除外されて以来、プロアスリートやスポーツ好きに利用者が一気に増えたのは、このリカバリー促進効果に注目が集まったからです。そしてCBDの持つストレス緩和効果も、試合前のメンタルを整えパフォーマンスを最大限にしたい選手たちの心強い味方となってくれます。
ちなみに2021年に開催された東京オリンピックはCBDが使用禁止薬物リストから外れて初めての五輪大会になり増田。メダル獲得を目指し、多くのアスリートが激しいトレーニングにCBDを組み合わせて競技に臨んでいたといいます。
CBD愛用派のプロアスリートたち
以下では実際にCBDを愛用しているアスリートの中から7名をご紹介していきましょう。
<デリック・モーガン>
テネシー・タイタンズで活躍してきた元NFLプレーヤーのデリック・モーガンは、大麻成分の持つ神経保護効果を実感し、ケガがつきもののNFLプレーヤーの脳損傷や病気治療と予防に役立つと現役時代から公言していました。選手引退後は大麻を利用した痛み管理の研究団体「NFLプレーヤー・アソシエーション」の設立メンバーとなりました。
<タイガー・ウッズ ><リッキー・ファウラー>
プロゴルファーのタイガー・ウッズは、事故による怪我を克服するためCBDオイルを使用し、回復後も高いレベルでゴルフを続けられるようになりました。また試合中にCBDガムを愛用しているという報道もあります。ウッズ氏は怪我の回復にCBDは「間違いなく役立った」と発言しています。モトクロスレーサーからプロゴルフに転身したリッキー・ファウラー選手もCBDファンとして知られています。
<ミーガン・ラピノー>
アメリカ女子サッカー界のスター選手で女子代表チームのキャプテン、五輪金メダリストでもあるミーガン・ラピノー選手は、怪我の鎮痛薬そしてリカバリーにCBDを愛用しその効果を積極的にアピールしてきました。彼女は妹のレイチェル・ラピノー選手が設立した「Mendi」社の製品を使いトレーニングにCBDを取り入れています。2021年の東京五輪にも出場を果たしました。
<マイク・タイソン>
世界的に有名な元プロボクサー、マイク・タイソン氏は現役時代に対戦相手の耳を食いちぎるなどさまざまな驚きエピソードを残した暴れ者。生活に大麻を取り入れたことで自身の攻撃性が和らぎ、精神も安定したとコメントしています。
2021年には米国内でディスペンサリー(大麻薬局)と栽培・製造施設を運営しているコロンビア・ケア社とパートナーシップを結び、自身の大麻ブランド「 Tyson 2.0」 も立ち上げています。
<ルイス・フィーゴ>
ポルトガルのフットボール界の往年の大スター、ルイス・フィーゴも、自身のブランド LF CBDを立ち上げています。フィーゴ氏はクリスティアーノ ロナウドに次ぎ、ポルトガル代表として 2 番目に出場回数が多い選手でした。元イングランド代表のデビッド・ベッカムもCBD会社の株主であることが報じられています。
<ネイト・ディアス>
総合格闘技MMAで活躍する格闘家ネイト・ディアスも試合後の記者会見中にCBDベイプを吸う姿が報道されるなど熱心なCBDファンとして知られています。彼は試合後の筋肉の炎症や痛みの回復にCBDが安全で効果的とコメント、試合後によくCBDベイプ喫煙しているのは昂った気持ちをリラックスさせるためであると公言しています。
CBD愛用派の著名アスリートは、ほかにもNFLプレーヤーのロブ・グロンコウスキー、NBAプレーヤーのクレイ・トンプソン、ヘビー級ボクサーのシャノン・ブリッグスなどがいます。
英国の有名フットボールクラブの1つ、バーミンガム・シティは、CBDブランドとスポンサー契約を結び、チームメンバーにCBDグッズとドリンクを提供しています。
アクティブ派が上手にCBDを取り入れる方法
スポーツ向けCBD製品は、激しい運動の後にリラックスしたり、筋肉のけいれんや炎症を抑え、痛みを和らげるのに適しています。オイルにブレンドされたものや携帯に便利なカプセル型、おやつにもなるグミ、マッサージ用のクリームや軟膏などさまざまな形があり、目的によって使い分けることができます。
多くのプロアスリートがトレーニングや試合後の体の痛みを抑えるため筋肉マッサージやストレッチを取り入れ、温浴や氷浴といった温熱・冷温療法を取り入れています。
ここにオイルやグミ、マッサージバームの形でCBDをと取り入れることで、この回復作用を加速することができ一石二鳥の効果を得ることができます。また毎日のルーティンとして、朝食スムージーなどにCBDオイルをブレンドする人も多いようです。またリラックス効果を利用して、試合前のストレス対策や安眠サポートのためにCBDを取り入れる人もいます。もちろん、怪我の回復や痛み止めにも役立ちます。
使う前に1つ注意しなくてはいけないのが、製品の成分表です。プロスポーツ界ではCBD製品を選ぶ際、法定に沿ったTHCレベルを厳守する必要があります。ドーピング対象となっているTHCがCBD製品に含まれているケースがあるからです。
スポーツ向けCBD製品に含まれるTHCはごく少量です。しかし安全を期するために、様々なカンナビノイドが含まれた「フルスペクトラム」「ブロードスペクトラム」タイプよりも、純粋なCBDだけを含む「アイソレート」タイプを選択するとよいでしょう。もちろん汚染物質などを含まない高品質な商品を選んで取り入れることも大切です。
まとめ
「結果が命」のプロアスリートたちも使っていることで、信頼感がグンと増しポピュラーになったCBD。CBD企業のアンバサダーになるスポーツ選手も増えています。
パフォーマンス向上に取り入れる場合は、ラボテストなどを公開している透明性の高いメーカーを選びましょう。また怪我の治療やリハビリに取り組んでいる場合は、投薬との相性も含め、医師のアドバイスを得た上で導入するなど安全第一でベストプレーに役立てていきましょう。
<参考資料>
https://www.sportingferret.com/2023/01/10/6-celeb-athletes-who-use-cbd/