大麻合法化が進むアメリカで増えているディスペンサリー(大麻販売所)。2023年にはついにコンビニと合体したディスペンサリーが登場します。
ディスペンサリーってどんなところ?
州ごとに大麻合法化が進んでいるアメリカ。成人の大麻利用が合法化されている州では「ディスペンサリー(Dispensary)」と呼ばれる大麻販売所で医療用や嗜好用の大麻を合法的に購入することができるようになっています。
これらの大麻ショップでは、スタッフがお客の好みを聞いてどの品種がいいかをアドバイスする店もあれば、薬剤師や医師の処方箋にしたがって購入する処方箋薬局の形式をとっていることもあり、州ごとの規制によってかなり異なります。
ニューヨークのような都市部では、思い立ったらすぐに注文できるウーバーイーツのような大麻デリバリー・サービスも人気です。
ユニークで便利なビジネスモデル
米国各地でディペンサリーを経営するグリーンサム社は2022年10月、コンビニチェーン「サークル K」 と契約し、フロリダ州での医療大麻マーケットを拡大する計画を発表しました。 グリーンサムは2014 年にイリノイ州シカゴで設立、17の 製造施設をもち77 のディペンサリーを運営するなど米国市場で事業を展開している大手です。
2023年からスタートするサークルK 店舗と合体した「ライズ・エクスプレス」ディペンサリーはまず10店舗がオープン予定。車社会のアメリカで「サークルK」はガソリンスタンドに併設されていることが多いため、「ライズ・エクスプレス」も必然的にガソリンスタンド併設になると予測されています。米国では7,000 を超えるサークルK店舗が展開されており、フロリダにある支店は約600店舗と発表されています。グリーンサム社ではフロリダでの10店舗のテスト運営を行った後、本格的な拡大を行う予定です。
フロリダでは2022年現在、医療大麻のみが合法となっており、医療用マリファナのカード所有者だけがディスペンサリーで大麻を購入できるシステムになっています。
フロリダ州の医療用大麻は
ガン
てんかん
緑内障
HIV/AIDS
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
クローン病
慢性痙攣
パーキンソン病
多発性硬化症
慢性痛
などを持つ患者に処方されており、自宅栽培は禁止されています。
「ライズ・エクスプレス」のような、ディペンサリーを併設したコンビニは世界初。しかし未成年者を保護のためにもサークル Kとは別の入り口を設け、コンビニ内から直接入ることはできない設計になっています。ディペンサリーでは「ライズ」ブランドのプレミアム フラワー、タバコのように大麻が巻かれたプレロール、食用グミ、電子タバコなど、さまざまなタイプの大麻製品が販売されます。
フロリダの大麻事情
米国では現在、約3分の1の州で大麻が合法化されています。すでに34の州で医療目的の使用が認められていて、10州は嗜好品としての大麻が認められています。
そしてフロリダでは2022年現在、医療用大麻のみが合法とされ嗜好用大麻は禁止されています。20グラム未満の大麻所持で1年間の懲役と罰金、20グラム以上の場合は5年間の懲役が課せられます。しかし現在フロリダ州法の改正が求められているなど、娯楽用大麻の合法化の動きは着々と進んでおり、修正案では「21 歳以上の成人は、理由の如何を問わず、2.5 オンス(=70グラム)までのマリファナおよびマリファナの付属品を個人使用のために所有、使用、購入、展示、輸送することが認められる」と記されています。
嗜好大麻の合法化はすでに秒読み段階、グリーンサムはフロリダでのビジネス展開に先手を打ったと言えるでしょう。
米国で大麻が解禁されている州は?
米国では1996年にカリフォルニア州で初めて医療用大麻が合法化されて以来、アラスカ州、オレゴン州、ワシントン州などを筆頭に次々とほかの州も医療用大麻の解禁に踏み切りました。そして2012年11月には、ワシントン州とコロラド州が娯楽目的の嗜好用大麻を全米で初めて合法化します。
2022年現在、医療用・娯楽用大麻が合法化されている州は
・アラスカ州
・アリゾナ州
・カリフォルニア州
・コロラド州
・コネチカット州
・イリノイ州
・メイン州
・マサチューセッツ州
・ミシガン州
・モンタナ州
・ネバダ州
・ニュージャージー州
・ニューメキシコ州
・ニューヨーク州
・オレゴン州
・バーモント州
・バージニア州
・ワシントン州
の18州とコロンビア特別区(首都ワシントン)に拡大しています。
州によって規定は違いますが、21歳以上であればディスペンサリーで大麻を合法的に購入でき、所持したり使用しても罪に問われることはありません。カリフォルニア州のように個人での大麻栽培も条件付きで許可されている地域もあります。
まとめ
もしフロリダ州法が改正されればディペンサリーでの大麻購入が近所のコンビニや駅前でお菓子を買うのと同じぐらい身近な存在になる可能性があります。
大麻治療を受けている人、そして大麻愛好家には嬉しい状況ですが、観光客の多いフロリダではディスペンサリーと知らず入店した幼い子供が可愛いパッケージに入った食用大麻グミをうっかり食べ病院に運ばれるといったケースも非常に増えています。今後はディスペンサリー普及と同時に十分な安全対策も必要になってくるでしょう。
<参考資料>