ジャマイカや米カリフォルニアと同じくらい大麻で知られている南アフリカ共和国。パンデミックによる経済ダメージからの回復にも役立っているという、ミレニアル世代向けの大麻ツーリズムについて紹介します。
好奇心旺盛なエコ・トラベラーに
2010年FIFAワールドカップの開催で日本人にも認知度が上がってきた南アフリカ。歴史的な観光スポットとして知られる喜望峰やアフリカらしいサファリ体験、世界三大瀑布ビクトリアフォールズなど、冒険心あふれる旅行者にぴったりの旅行先です。
2018年には憲法裁判所によって、大麻の個人使用目的の栽培と使用が非犯罪化されたことをきかっけに「大麻ツーリズム」が人気となっています。
大麻ツーリズムとは、医療大麻や嗜好用大麻の使用が犯罪とならない国やエリアに観光客を誘致する観光業のことです。大麻ショップや農園へのツアーが組まれ、観光名所めぐりと組み合わせてた体験ができます。また、フェスティバルなどのイベントに参加するタイプの団体ツアーも企画されています。
例えば、大麻ツーリズムの盛んな米コロラド州やカリフォルニア州では、ワイナリーめぐりと大麻ツアーを組み合わせたユニークな旅行企画が人気です。また大麻にはエコな側面もあり、環境問題に興味をもつ人々が、大麻を使ったエコビジネスを学ぶコースなども提供されます。
米国では州によって大麻規制が異なるため、隣の州から大麻を吸いに旅行に来る人なども多いようです。米国カリフォルニア州の大麻ツアーでは日本人参加者も徐々に増えていると報じられています。このような旅は、ある程度旅行慣れしてそろそろ一味違った体験をしたい好奇心旺盛な人々にアピールしているようです。
南アフリカでアクティブ&リラックス滞在を
南アフリカはインド洋と大西洋に囲まれたビーチリゾートで豊かな自然にも囲まれています。このためトレッキングなどアクティブに観光した後に大麻農園を訪れてゆったりリラックスするというメリハリのある体験が受けているようです。
ある旅行会社では、21歳以上の旅行者を対象に「ケープタウン>オウツフールン>セジフィールド>ナイズナ>プレッテンバーグベイ>モーセルベイ」をめぐる5日間の大麻ツアーを企画しています。
ツアーでは大麻文化を学びに自家栽培者をサポートする地元の大麻社交クラブを訪れ、栽培者や専門家に会います。またラスタファリアン・コミュニティを訪問し、マリファナが彼らの文化で果たす役割について学びます。もちろん参加者も現地名産の大麻を嗜みます。
またアクティビティとしては
有名なカンゴー鍾乳洞ツアー
地元のファーマーズマーケットでの朝食
息を呑むほど美しい自然保護区でのハイキング
など土地の魅力を楽しむ企画も満載です。乗馬やサイクリングなども組み合わせたツアーもあります。
食事タイムには大麻の種ヘンプシードなどを使った美味しくヘルシーな料理を味わったり、ホームメイドのレシピを習うこともできます。ツアーによっては大麻成分が入ったワインやビール、エナジードリンクなどを楽しむこともできるようです。
エコ志向を謳うツアーが多く、参加費用の一部は植林や地元コミュニティのために使われることが多いのも特徴です。知らない土地で大麻に関わることは不安が伴うものですが、経験豊かなガイドの元で安心して楽しむことができるようデザインされているのが人気の秘訣のようです。
南アフリカではアフリカ最大の大麻エキスポが開催され、会場では大麻サービス、教育、新製品、新ビジネスについて知ることができます。
活動的なツアーばかりでなく、癒しやリラクゼーションを目的にしたツアー、ヨガを学ぶリトリートやパーソナルコーチになるための訓練ツアーなども企画され、人生を見つめ直したりキャリアチェンジの一端として訪れる人も多いようです。
ミレニアル世代にアピールする理由
大麻観光業は170億ドル産業に成長し、40代を迎えるミレニアル世代が中心になっていると報じられています。彼らは上の世代ほど大麻への抵抗がなく、経済的にも豊かな世代です。またナチュラル・レメディや健康改善や維持を目的としたウェルネス・トレンドにも敏感です。仕事や子育てで忙しく、体やメンタルの悩みを抱え始める世代でもあります。
グローバ・ルウェルネス・インスティテュートによると、ウェルネスを目的とした観光はは平均的な国際観光客よりも約50%多く支出しています。日本の温泉旅行も体を癒しリラックスするというウェルネス観光の1つですが、合法化が進む中で大麻で癒されたい、リラックスしたいと望む人が世界中で増えているのでしょう。
フォーブスに取り上げられた記事によると、米国では年収5万ドル(約673万円)の成人旅行者のうち62%が、旅行での大麻体験に興味を持っているといいます。大麻旅行協会インターナショナルの創設者であるブライアン・アップルガースは、高齢化するミレニアル世代が今後の大麻観光をリードするとコメントしています。
まとめ
大麻観光国というのは日本ではまだ馴染めない考えかもしれませんが、2022年に入り、これまで大麻に対し非常に厳しい規制を敷いていたタイ王国が医療大麻をメインにしたウェルネス・ツーリズムに乗り出しています。大麻ツーリズムの裏には、コロナ禍で打撃を受けた観光業会を盛り上げたいという意図もあるのでしょう。
<参考資料>