【エコ時代へ】ヘンプが地球のためにしてくれること

人類は古代から麻を大いに活用してきました。日本では飛鳥時代にラミー(苧麻・ちょま)が衣料に使われている記述が残っているほか、神道でも麻の強い生命力は清浄で神聖なものと見なされています。エジプトのミイラも麻布で包まれていることが分かっています。人類は麻とともに生き続けて来た長い歴史を持っているのです。

この数十年で麻薬のイメージが先行するようになった麻ですが、嗜好用に使われるマリファナと産業用ヘンプはどちらも元は同じというアサ科アサ属の植物。そして産業用ヘンプは、環境への負担が非常に少ないエコで持続可能性に富んだ作物として再び再評価されています。

ヘンプの素晴らしさとはどこにあるのでしょうか。今回はヘンプが地球のために役立ってくれる理由についてご紹介します。

●ヘンプのすごい特性

地球環境へのダメージが少ない、サステナブルな産業植物として再評価されているヘンプですが、いったいどんな特長があるのでしょうか。以下にヘンプの6つのすごい特徴を挙げました。

特長どんな土地でも育つ

農作物を耕作するのに適さない痩せた土地でもすくすくと育つヘンプは、ほとんど肥料を与える必要がありません。極端な寒冷地・湿地帯以外では世界どこでも栽培できるたくましい植物です。

特長化学薬品いらず

害虫や雑草に強いヘンプは殺虫剤や除草剤を散布する必要がなく、雨水のみでも充分に育ちます。つまり土壌を汚染しない地球に優しい農作物。

大量の水と必要とし、農薬の空中散布なしでは育てにくいコットン(綿花)に比べると土壌へのダメージが非常に少なくなります。

特長成長スピードが早い

ヘンプは100日から120日で採取が可能になるほど、成長がとても早いことで知られています。忍者が毎日、麻の上を飛び越えてジャンプのトレーニンングをしていたという言い伝えもあるほど。収穫時期までが短いので、ほかの農作物と合わせての輪作も可能です。同じ土地で他の植物を育てることで、モノカルチャー(=特定の作物だけを作り続ける農業の形態)による土壌や環境への負荷を減らすことができます。

特長土壌を改善する

麻は痩せた土地を改善させるためにも植えられます。あっという間に成長した麻は地下にくまなく根を張り巡らせ、土自体を柔らかくしてくれます。そして収穫時に切り落とされた不要部分は土壌に戻され肥料となり、土壌をさらに豊かにしてくれるのです。

特長安心して使える

化学薬品をほとんど使わずとも元気に育つヘンプは、オーガニックコットンと同じく汚染が少なく、安心して身につけたり食べたりすることができます。つまり従来の商品の代わりにヘンプ製品を利用することで環境改善のサポートができるのです。

特長多目的に使えて無駄がない

食品や衣類に医薬品にサプリメント、そして代替プラスチックの原材料やバイオ燃料にも活用されている万能選手のヘンプ。種や穂から葉や茎、根っこにいたるまで、全てくまなく有効利用できるので無駄がありません。

●麻にはどんな種類がある?

麻の種類はたくさんありますが、よく利用されているものは以下の4つです。

ラミー「苧麻・ちょま」
リネン「亜麻・あま」
ヘンプ 「大麻・たいま」
ジュート 「黄麻・こうま」

現在日本国内で衣料用繊維として流通しているのは、亜麻(リネン)か苧麻(ラミー)が主流です。とくに、強度が高く吸水性や発散性に優れており使い込むうちに風合いが増すリネンは人気者。画材用品のキャンバスも、リネンが材料となっているものが多くあります。

ロープなどに使われる麻類としてはマニラ麻、サイザル麻、ジュート、ヘンプなども活躍しています。

また神社のしめ縄、参拝の際に鈴を鳴らす時に引く鈴縄などの神具も、かつては麻の繊維から作られていました。麻は丈夫なだけでなく厄よけや結界の役割を持つ、神聖な植物でもあったのです。横綱の土俵入りで見る、ずっしりとした化粧まわしも、麻から作られています。

日本では麻の葉の形をモチーフにした幾何学模様は古くから和服の模様として親しまれており「麻の葉つなぎ」と呼ばれることもあります。手をかけなくても育ち、邪気を払う力があると考えられていたことから、赤ちゃんの産着の生地に麻の葉模様が用いられることも多かったようです。すくすくと健康に大きく育ってほしいといった思いが込められていたのでしょう。

●ヘンプの活用法とは?

ヘンプの万能ぶりには驚くばかりです。

穂の部分は現在、医薬品などに利用されているほか、かつては神道の儀式にも使われていました。

種はヘンプシードとして食用に。良質なタンパク質やミネラルを含むことから人気急上昇中のスーパーフードとして注目されています。日本の七味唐辛子に入っている粒=麻の実もヘンプシードです。オメガ6系脂肪酸(リノール酸など)とオメガ3系脂肪酸(リノレン酸)のバランスが取れた良質の油分を含んでいるため、ヘンプシードから植物油を精製したり、代替ミルクのヘンプ・ミルク、チーズやバターも生産されています。

現在では化粧品、油性塗料の原料、印刷インク、ベジタリアン用のプロテイン・パウダーの原材料にも使用されるようになり、今後さらに利用範囲が広まっていきそうです。

麻の葉は肥料や家畜飼料に利用されます。茎の部分は繊維を利用して糸やロープ、織物などに利用。根の部分は土壌改良を促進してくれるほか、刈り取った後、肥料として土に還元されますエコ時代のヘンプ利用法

エコ時代のヘンプ利用法

知れば知るほどその素晴らしい可能性に驚くヘンプですが、現在では最先端分野でもヘンプの利用が進んでいます。


以下にヘンプを使った新素材の例ご紹介します。

エコ時代の救世主「ヘンププラスチック」

麻の繊維と標準的なプラスチックをミックスしたものから、100%ヘンプで作られたヘンププラスチックまでたくさんの素材が開発されています。リサイクルが可能であり、生物分解性素材でもあることから、脱プラスチック時代の救世主となっています。

新建材「ヘンプクリート」

オガラと呼ばれるヘンプの茎の部分をコンクリートや石灰をミックスして作られるヘンプクリートは、新しいサステナブルな建材として注目を詰めています。室外と室内の温度や湿度のバランスを保ち、冷暖房に使うエネルギーも大幅に削減してくれるというすばらしい利点も。

ほかにもオガラを利用した建材ボードは抗菌性、断熱性に優れた新しい天然建材として注目を集めています。

「家」だって建てられる

イスラエルの建築家グループTav Groupは、地中海をのぞむイスラエル北部のアーティスト村Ein Hod に地元の石材と麻を使った美しい家を設計、美しいエコハウスを建て話題を呼びました。土壁よりも強度の高い麻と石灰を配合した壁材を使った建物はナチュラル感いっぱいです

参考画像リンク:Tav Group のサイト をご参照ください。(同送写真もあり)

バイオ燃料にも

ヘンプは化石燃料に代わるバイオ燃料の原材料としても注目されています。ヘンプオイルから作られる「ヘンプバイオディーゼル」、そして茎を発酵させて作る「ヘンプエタノール」は、燃料を作る際のエネルギーを減少させていくという課題がクリアされれば、毒性の低い再生可能なエネルギー資源としてサトウキビやトウモロコシの仲間入りを果たせます。

ほかにもオガラを発酵させてガスを発生させ、天然ガスの代用とする研究も進んでおり、これからも有益な使い道が見つかりそうです。

まとめ

このようにヘンプは農産物でありながら、食品や繊維利用のほかに、建材やプラスチック素材などの先端エネルギー技術にまで生かされている可能性豊かな素材です。
化石燃料原発の一歩ともなるスーパー作物としても、今後もますます関心が高まっていくことでしょう。

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引用元

ヘンプの家
Tav Group
https://www.dezeen.com/2017/07/06/ein-hod-tav-group-israel-house-canabis-artists-house/

プラスチック
https://hashmuseum.com/en/the-plant/industrial-hemp/hemp-based-plastic

バイオ燃料

https://canex.co.uk/the-environmental-benefits-of-hemp-fuel/

コンクリート
https://urbannext.net/hemp-concrete/

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