
日々研究が進む大麻成分カンナビノイド。今年10月に入り科学者チームが新たなカンナビノイドが発見しました。新成分はどのような可能性を秘めているのでしょうか?
新成分カンナビゼトールの発見
1960年代から続く大麻草の研究は、今や医療・健康分野での注目ジャンルのひとつです。
古くは薬草や農作物、あるいは嗜好品として人々に親しまれてきた大麻草ですが、その成分やメカニズムの化学的な解明が進むにつれ、人間の体にさまざまな有益な働きをもつことが明らかになってきました。
1960年代から現在までに100種類以上のカンナビノイドが特定されていますが、専門家の間では「まだ未知のカンナビノイドが多数存在する」と考えられています。
そんな中、Journal of Natural Productsに、イタリア人とスイス人科学者による研究チームが新たカンナビノイド「カンナビゼトール(CBGD)」を発見したという論文を発表しました。
CBGDの2つのチカラ

研究チームによると、CBGDは2つのカンナビノイド分子が特別な形で結びついた「二量体カンナビノイド」という珍しいグループに属しています。そして注目されているのが、CBGDの持つ2つの優れた作用です。
- 強力な抗酸化作用
CBGDは体の細胞を老化させる原因となる活性酸素(フリーラジカル)を抑える働きが非常に高い可能性があるとされています。
この抗酸化作用は、肌のハリや健康を保つうえで欠かせないポイント。
そのため、今後は美容やエイジングケア分野での応用が期待されています。 - 皮膚を守る抗炎症作用
CBGDは皮膚の炎症反応をやわらげるという可能性も示されました。
この働きが実証されれば、敏感肌や炎症を起こしやすい肌に対する新しいケア成分として注目されるかもしれません。
現在は基礎研究の段階ではありますが、まだまだ広がる大麻成分の可能性に医療・ヘルスケア分野からの関心も高まりそうです。
肌とバランス調整システムECSの関係
CBGDの発見は、カンナビノイドがままだまだ計り知れない可能性が秘められていることを示しています。
では、私たちがすでに利用しているCBDを含め、なぜカンナビノイドは肌のコンディション維持に役立つとされているのでしょうか?
そのカギを握るのが、私たちの体に備わっているECS(エンドカンナビノイド・システム)です。
ECSは人間の体に本来備わっている自己調整システムのことを指します。このECSは体内で作られる内因性カンナビノイドと連携し、体温、睡眠、免疫反応など、私たちの体を常にベストなバランスに保つために働いています。この仕組みが、心身の調和を保つための見えない司令塔となっているのです。
そして私たちの肌にもこのECSが深く関わっています。
特に表皮細胞や免疫細胞には、ECSの受容体(とくにCB2受容体)が多く存在しており、外的刺激やストレスから肌を守る働きをサポートしています。
CBDで叶える、肌本来のバランスケア
現在、ウェルネス成分として世界的に注目を集めているカンナビノイドの一種・CBD(カンナビジオール)もスキンケアに重宝されているカンナビノイドです。発見されたばかりのCBGDとは異なり、CBDは長年にわたる研究によってその安全性と作用メカニズムが詳しく解明されている成分。化学薬品のような強い副作用がほとんどなく、自然のちからで健康や美容をやさしくサポートする成分として、高い関心を集めています。
CBDが優れているのは、不安や不眠の緩和、リラックス効果や炎症の緩和作用など。心身のバランスをやさしく整える作用に優れています。 そして乾燥や外的刺激によって肌のバリア機能が弱まったときには、肌が自ら回復する力をサポートし、健やかな状態へ導いてくれるのです。
ビタミンのように肌に何かを与えるというより、肌が自ら整う力をサポートするのがCBD。ここでは、CBDを使った基本のスキンケア方法を3つご紹介します。
- オイルやクリームでバリア機能をサポート
季節の変わり目は、肌のバリア機能がゆらぎやすい時期。
夜のスキンケアの仕上げに、高純度のCBDオイルやCBDバームを薄くのばしてみましょう。
特に乾燥しやすい部分には重ね付けを。
CBDのコンディショニング作用が肌をなめらかに整え、外的刺激から守るサポートをします。 - 化粧水・美容液で水分補給とバランスケア
CBD配合の化粧水や美容液に取り入れるのもおすすめです。
洗顔後すぐにCBD配合の化粧水を使うことで、乾燥によるザラつきをケアし、肌の水分と油分のバランスを整えます。 継続して使うことで、透明感やハリのある肌へ導くサポートが期待できます。 - 敏感な部分にはスポットケアを
マスクの摩擦や急な肌荒れでデリケートになった箇所には、CBD配合のバームで刺激から肌を守りましょう。優しくなじませることで、肌のゆらぎを落ち着かせ、健やかな状態へ導きます。 乾燥しやすい目元や口元の集中ケアにも役立ちます。
自然のパワーでバランスを取り戻すルーティンを、毎日のスキンケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。

保湿成分との相乗効果でさらに「ととのう」肌へ
CBDは単体でも十分に肌のコンディショニングをサポートしてくれますが、ヒアルロン酸やセラミド、ビタミンEなどの保湿・バリア機能強化成分と一緒に配合された製品を選ぶと、多方面からの相乗効果でより効果的です。
肌の悩みや肌質に合わせて、最適な成分の組み合わせを見つけることが、健やかで美しい肌への近道といえるでしょう。
大麻研究は新たなフェーズへ
カンナビノイドとECSの関係には、まだ多くの未知の領域が残されています。
CBGDのような新しい成分の発見は、スキンケアやウェルネスの未来を広げるヒントになるでしょう。
2018年のアメリカにおける産業用大麻の解禁をきっかけに、カンナビノイド研究は急速に加速。CBDが注目を集めた時期を経て、今、新たなフェーズへと突入しています。
カンナビノイドの多様な可能性が、これからどのように私たちの生活を豊かにし、健やかさや美しさに貢献していくのか期待が高まります。
<参考資料>

