
近年、CBD(カンナビジオール)はリラックスやフィットネス効果、健康サポートの成分として広く知られるようになりました。しかし、産業用ヘンプ=大麻草にはCBD以外にも、私たちのウェルネスをサポートする可能性を秘めた魅力的な成分が数多く存在します。
カンナビノイドとはどんなもの?
CBD(カンナビジオール)は、近年注目を集めている成分ですが、これは産業用ヘンプ=大麻草に含まれる100種類以上もの成分の総称であるカンナビノイドの一つ。これらのカンナビノイドは、それぞれが異なる特性を持っています。
そして人間や動物の体内には、エンドカンナビノイドシステム(ECS)と呼ばれる身体調節機能が備わっています。これは、食欲、痛み、免疫、感情、睡眠など、私たちの心身のバランス(ホメオスタシス)を保つために欠かせないシステムです。
ふだんは身体の中で作られる内因性カンナビノイドとECSがお互いに作用し合い、体内バランスを調節しています。CBDをはじめとするカンナビノイドは内因性カンナビノイドと似たような構造を持っており、このECSに働きかけることで、様々な効果をもたらします。近年非常にポピュラーになっているCBDは、このECSをサポートすることで、リラックスやストレス緩和、抗炎症作用など、健康維持に役立つと考えられています。

組み合わせることのメリット
ヘンプの中かからは100種類を超えるカンナビノイドを抽出することができます。いちばんポピュラーなCBD製品には、純粋なCBDのみを含む「アイソレート」・タイプの他に、複数のカンナビノイドやテルペン(植物に含まれる香り成分)を含む「ブロードスペクトラム」や「フルスペクトラム」・タイプと呼ばれるものがあります。
複数の成分を一緒に摂取することで、それぞれの成分が単体で働く以上の相乗効果が生まれると考えられており、これをアントラージュ効果と呼びます。
多様なカンナビノイドやその他の成分が協力し合うことで、より深いウェルネス効果が期待できるとされています。
CBD以外の注目成分を知ろう

カンナビノイド成分は、それぞれがユニークな働きを持ち、私たちの心身に良い影響をもたらすと言われています。100種類以上ある中から、CBD以外に知られているカンナビノイド成分の代表例をご紹介しましょう。
- THC(テトラヒドロカンナビノール)
THCは最もよく知られているカンナビノイドの1つです。精神活性作用を持つことで知られています。この作用により、いわゆる「ハイ」な状態を引き起こします。
主な特徴
精神活性作用: 脳内のカンナビノイド受容体(CB1)に強く結合することで、多幸感や感覚の変化をもたらします。
鎮痛・食欲増進作用: 医療分野では、がん患者の化学療法による吐き気の軽減や、食欲不振の改善、慢性的な痛みの緩和などに用いられることがあります。
注意点: THCは、日本では大麻取締法により違法薬物に指定されており、その使用は厳しく制限されています。 - CBN(カンナビノール)
CBNは、大麻草に含まれる希少な成分の一つです。THC(テトラヒドロカンナビノール)が酸化・分解されることで生成されます。その希少性から「レアカンナビノイド」とも呼ばれています。
主な特徴
鎮静作用: CBNは特に鎮静作用や睡眠補助の働きが強いと言われています。リラックス効果を高めたい時や、就寝前の使用に適しているとされています。眠気を誘発する可能性があるため、車の運転や集中力が必要な作業の前には使用を控えるべきです。 - CBG(カンナビゲロール)
CBGは、他の多くのカンナビノイドの「前駆体」となる非常に重要な成分です。成熟した大麻草にはごくわずかしか含まれていないため、CBD同様に希少な成分として知られています。
主な特徴
抗炎症作用: 肌の炎症やニキビの改善、関節炎などの炎症性疾患の緩和に役立つ可能性が研究されています。
精神的なサポート: 不安やうつ病の緩和にも効果が期待されています。 - CBC(カンナビクロメン)
CBCは、CBDやTHCに次いで大麻草に比較的多く含まれる成分です。精神活性作用はありません。
主な特徴と研究状況
抗炎症・鎮痛作用: 他のカンナビノイドと組み合わせることで、より強い効果(アントラージュ効果)が期待されています。
抗うつ作用: 不安やうつ状態を緩和する効果が研究で示唆されています。
脳細胞への影響: 神経幹細胞の生存に良い影響を与える可能性が示唆されており、今後の研究が期待されており、アルツハイマー病などの神経変性疾患の予防や改善のための研究が行われています。 - THCV(テトラヒドロカンナビバリン)
THCVは、THCと似た分子構造を持つカンナビノイドです。しかし、THCとは異なるユニークな特性を持つことから、研究者たちに注目されています。
主な特徴と研究状況
食欲抑制作用: THCが食欲を増進させるのに対し、THCVは食欲を抑制する効果がある可能性が示唆されています。ダイエットや糖尿病の研究で期待されています。
精神活性作用: 高用量で摂取するとTHCと同様の精神活性作用を持つことがありますが、低用量では精神活性作用はないとされています。
抗けいれん作用: てんかんの症状を和らげる可能性が研究されています。
他にも存在を忘れられていたものの、近年にわかに研究対象になっているTHCJD(テトラヒドロカンナビジオール)など、様々な種類が存在します。
初心者にはどれがおすすめ?
カンナビノイドはそれぞれ単体でも効果が期待できますが、複数が組み合わさることでお互いの働きを補ってより優れた作用を発揮する可能性があります。そして数あるカンナビノイドの中でも、初めて試す人に使いやすいのはやはりCBDです。精神を高揚させる作用がないため安心して利用でき、日常生活に支障をきたす心配もほとんどありません。さらに、日本を含む多くの国で合法的に流通しており、オイルやグミ、カプセル、電子タバコなど、身近で手に入れやすい形で販売されています。その意味でも、もっとも始めやすいカンナビノイドと言えるでしょう。
また、CBDはリラックスや不安の軽減、睡眠の質の向上など、さまざまな場面で役立つとされています。初めて取り入れるカンナビノイドとして、多くの人に選ばれている理由もここにあります。
まとめ
今回は、さまざまな種類のカンナビノイドについてご紹介しました。研究はまだ始まったばかりで、今後も新たな成分の発見や、組み合わせによる効果の可能性が広がっていくことでしょう。これからも医療の未来に、期待せずにはいられません。

