
ニュージーランドで、犬の関節痛に対するCBDの効果を検証する臨床試験が始動。愛犬の体調不良に悩む飼い主にとって朗報です。
関節痛に悩む犬は少なくない
「CBDが愛犬にも効くかもしれない」──そんな期待を込めた臨床試験が、ニュージーランドで始まりました。怪我や加齢、肥満によって軟骨がすり減ることで起こる変形性関節症に悩む犬100匹を対象にCBDを投与し、その効果や安全性を科学的に検証するという大型プロジェクトです。人間用としては健康サポートやリラクセーション用にすでに広まりつつあるCBDが、ついにペット医療の領域へ。大切な家族であるペットの健康を気づかう私たちにとって、見逃せない研究が進んでいます。
年齢を重ねたり、大型犬の中には、歩くたびに痛みを感じている犬も少なくありません。ジャンプや階段を避けるようになった、動きが鈍くなった……そんな様子に心を痛めたことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
これまで犬の関節痛の主な対処法は、鎮痛剤の投与や手術が中心でした。しかし、これらの方法には、副作用のリスクや高額な費用といった課題が伴います。
そこで近年、自然由来で比較的リスクが少ないとして注目されているのがCBD(カンナビジオール)です。CBDには、体内の炎症を抑え、それに伴う痛みを和らげる働きがあることが知られており、関節炎に悩む人々やアスリートの間でも、その効果を実感する声が増えています。
「私たち人間と同じように、ペットにもCBDが役立つのか?」「適正な量はどれくらいなのか?」といった疑問を飼い主が持つのは当然のことでしょう。残念ながらペットにおけるCBDの具体的な効果や最適な摂取量に関する十分なデータは、現時点ではまだ確立されていません。
世界ではすでに広がっているペット用CBD
今回の臨床試験では、関節痛に苦しむ犬たちにCBDを一定期間与え、その後の動きや痛みの程度、生活の質にどんな変化があるかを詳しく観察します。偽薬(プラセボ)と比較することで、CBDが本当に効いているのかをしっかり見極める仕組みです。これまでも「効いている気がする」という声は多くありましたが、やはり科学的な裏づけがあると安心です。結果次第では、ペットケアの考え方が大きく変わるかもしれません。
アメリカやカナダでは、犬用のCBD製品はすでに広く流通しています。オイルやおやつの形で販売され、口コミでも「歩きやすくなったようだ」「落ち着いた」「よく眠れるようになった」といった声が多く聞かれます。このためCBDはペットにも優しく使える可能性がある──そんなイメージが広がる中で、日本でも少しずつ関心が高まりつつあります。とはいえ、まだ「本当に安全なの?」「ちゃんと効くの?」という不安も残るのが正直なところ。だからこそ、今回の研究に注目が集まっているのです。

「自然にケアしたい」という飼い主の声に応える
CBDとはカンナビジオールの略で、大麻草に数百種含まれている生理活性成分の一つです。名前に大麻が入っていると不安になる人もいるかもしれませんが、CBDには精神を高揚させる作用(いわゆる「ハイ」になる成分)はなく安心して使用できます。
すでに人間の健康分野では、不安の緩和や痛みの軽減、睡眠の質の向上などの効果が期待されており、サプリメントやコスメなど幅広い製品が登場しています。またがん治療やてんかん、難病の緩和ケアの分野でも注目を浴びており、その可能性がペットにも広がろうとしているのです。
薬はできるだけ使いたくない。できることなら、副作用の少ない自然な方法でケアしてあげたい、そんな想いを持つペットオーナーの中でも関心が高まっているのは当然のこと。
そして体の痛みだけでなく、犬もストレスや不安に悩むことがあります。言葉にはできないものの、引越しや飼い主の不在、環境の変化などで不安を覚えてストレス状態になってしまうペットは少なくありません。CBDはそうしたペットの症状に優しく寄り添う手段としても注目されています。
日本でもCBDそのものは合法で、健康食品やコスメなどにも使われていますが、ペット用のCBDはまだ一般的ではありません。ですが今回のような信頼性の高い研究結果が出れば、動物病院や獣医師の間でもCBDを使ったケアが受けられる日が来るかもしれません。
特に高齢だったり、慢性的な痛みに悩むペットにとって、新しい選択肢になる可能性は十分にありそうです。
飼い主として気をつけること
もし愛犬にCBDを試してみたいと考えているなら、いくつかの重要なポイントがあります。
まず何よりも大切なのはできる限り「ペット専用に設計されたCBD製品」を選ぶことです。ペットは人間よりも体が小さく、薬物はもちろん、人間用のCBD製品に含まれる香料などの添加物にも敏感に反応することがあります。人間用のものをそのまま使ったり、どんな成分が入っているか分からない製品を選んだりすることは避けましょう。
そしてCBDの使用を始める前に、かかりつけの獣医師に相談することを強くおすすめします。愛犬の健康状態や、現在服用している薬との相互作用について、専門家のアドバイスをもらいましょう。
実際に使い始める際は、「少量からスタートし、愛犬の様子をよく観察しながら徐々に量を調整する」のが基本です。

まとめ
今回のニュージーランドでの臨床試験は、CBDが愛犬の関節痛にどこまで効果を発揮するのかを科学的に明らかにしていくための、大切な第一歩です。
犬だけでなく、世界の動物園でもCBDを試験的に導入しているケースがいくつも奉公されています。例えばコロンビアのカリ動物園にいるトラ、メキシコの動物園ではゾウが大麻由来成分CBDを使った治療や症状緩和のケアを受けており、痛みが軽減され、食欲が増し、病気で減少した体重が増えるなど、良い結果がすでに報告されています。
私たちの大切な家族である犬たちが、もっと快適に、そして元気に毎日を過ごせる未来。そのために、CBDという自然の力が大きな可能性を秘めているのかもしれません。これからの研究成果に、期待が高まります。
<参考資料>