
最新の研究で、CBDが腸内細菌を整えることでマウスの持久力と筋力を高めることがわかりました。これは運動パフォーマンス向上の新たな可能性を示す発見です。
プロも愛用。CBDがスポーツ界で支持される理由
健康や美容に良いと注目されている「CBD」。最近ではスポーツの世界でも使われることが増えており、プロスポーツ選手やオリンピック選手の間でも愛用者が増えています。これは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の「禁止リスト」から除外されたことがきっかけ。これによりスポーツ選手も安心して使用できるようになり、リカバリーやコンディショニングの分野でも注目されるようになったのでした。
CBDには炎症を抑える効果や痛みを和らげる作用があり、筋肉の炎症からくる筋肉痛を軽くしたり、ケガや手術後の回復をサポートしたりするのに役立つとされています。また、リラックス効果があるため、メンタルの管理にも使われることがあります。
これまでの研究では、CBDにはてんかんの発作を抑える作用や糖尿病の予防、精神を安定させる働き、神経を守る効果、炎症を抑える効果など、さまざまな可能性があることが報告されています。
アメリカのFDA(食品医薬品局)が認めたCBD医薬品「エピディオレックス」は、てんかん患者の発作を抑える薬としても使われています。
そして、韓国で行われた最新の研究では、CBDが運動能力や持久力を向上させる可能性があることも明らかになってきました。
CBDの基礎知識
CBDは、大麻草(ヘンプ)に含まれる数百種類の成分の一つで、ほとんど副作用がなく、リラックスや不安の軽減、安眠を助ける効果があります。また、炎症を和らげる効果や、がん治療による副作用を緩和する効果、さらにはてんかんの治療にも注目されています。かつて大麻は精神を高揚させる成分があるため危険な麻薬と恐れられていましたが、現在では、欧米を中心に、古代から薬草として使われてきたヘンプの成分を科学的に解明し、医学に活用しようとする研究が進んでいます。
マウス実験で判明、CBDが体に与える変化
研究チームはマウスにCBDを投与して、運動パフォーマンスにどんな影響があるかを調べました。その結果、CBDはマウスのトレッドミルでの走行パフォーマンスを大きく向上させ、筋肉細胞内の酸化反応を高めました。CBDはまた「細胞の発電所」と呼ばれるミトコンドリアの生成を促進し、エネルギーを生み出すPGC-1αやCREB、AMPKといった関連遺伝子の発現を増加させました。これらの遺伝子の働きが増えると、体内でより多くのエネルギーを作り出すことができ、運動パフォーマンスが向上すると考えられています。さらに興味深いことには、CBDは腸内細菌の組成を変化させる持久力を向上させる動きもみられたとのことです。そして抗生物質を投与すると、この働きは低下する結果となりました。

腸内環境とスポーツ能力の関係
健康のために腸内環境を整えることが重要であることは、広く知られています。腸と体調、メンタルは密接に関連しており、腸は「第二の脳」と呼ばれるほどです。腸内におよそ1,000種類、そして100兆から~1000兆個いるとされる腸内細菌は、食物繊維などを分解して短鎖脂肪酸を生成します。この短鎖脂肪酸は、運動時のエネルギー源となるだけでなく、筋肉の疲労回復にも役立つことが示唆されています。
また、個人の腸内環境の差が「運動したい」という気持ち=モチベーションを左右しているらしいこともわかってきました。
研究チームでは、マウスにCBDを与えた際に増加した細菌「ビフィドバクテリウム・アニマリス(B. animalis)」を分離し、これをKBP-1と名付けました。マウスにKBP-1を投与したところ、走行パフォーマンスが改善されました。全ゲノム解析の結果、この細菌は運動時の筋肉でエネルギー源になる分岐鎖アミノ酸の合成や乳酸の代謝に関わる遺伝子を高く発現していることがわかりました。
つまり、今回の研究でCBDによって腸内で増えたKBP-1が持久力を向上させる可能性のある成分であることがわかったのです。

リカバリーと持久力に欠かせない睡眠
持久力には質の高い睡眠も大切です。睡眠は疲労を回復させるだけでなく、日中のパフォーマンスや持久力向上にも役立ちます。寝ている間、私たちの体の中では成長ホルモンが分泌され、筋肉や細胞の修復、脳の疲労回復が行われています。特に深い睡眠は、免疫機能の向上やストレス軽減に効果的です。また内臓を休ませ、機能を整えることで、便通改善や栄養吸収をスムーズにします。一方、睡眠不足が続くとは腸内環境までもが乱れ、体調不良や免疫力低下の原因となることも。睡眠の質を高めることは、体のリカバリーと腸の健康を同時にサポートすることに繋がります。CBDは、安眠サポートとしてすでに高い評価を得ているため、体のリカバリーだけでなく、トータルなケアも期待できそうです。
今日から試せる、CBDでパフォーマンスを高めるポイント
CBDと運動を組み合わせるには、以下のような方法があります。
<オイルやカプセルで摂取>
CBDオイルやカプセルは吸収率が高く、体内での効果を実感しやすいのが特徴です。手軽に摂取できるため、毎日の習慣として取り入れやすい方法です。
<プロテインやスムージーに混ぜる>
トレーニング後のリカバリーを重視するなら、プロテインシェイクやスムージーにCBDを加えるのもおすすめ。筋肉の回復をサポートし、運動後の疲労感を和らげる効果が期待できます。
<クリームやバームを使用>
局所的なケアをしたい場合は、CBD配合のクリームやバームを塗るのも◎。筋肉の炎症を抑え、疲労回復をサポートしてくれます。
どの方法が最適かはライフスタイルや目的によって異なります。まずは少量から試して、自分に合った摂取方法を見つけてみましょう。
まとめ
現段階ではマウス実験の結果ですが、アスリートに広く利用されているCBDに持久力向上の効果が認められれば、スポーツやトレーニングにおけるパフォーマンスアップを目的としたCBDの活用が、今後さらに広がる可能性があります。またスポーツシーンだけでなく、日常生活に取り入れることでトータルな健康サポートにも役立ってくれそうです。今後の研究が注目されます。
参考資料