
2024年12月、75年ぶりに大麻取締法が改正されました。具体的にどんな変更があったのでしょうか?そして、大麻由来のウェルネス成分CBD(カンナビジオール)の使用に影響はあるのでしょうか? 最新の規制内容と注意すべきポイントを解説します。
そもそも大麻取締法とは?
大麻取締法は、日本における大麻の栽培・所持・譲渡・使用などを規制する法律です。1948年、大麻の不正使用や乱用を防ぐ目的で戦後の日本を統治していたGHQ(連合国軍総司令部)の要請によって制定されました。
この法律の主なルールは、
大麻の所持・栽培・譲渡・輸入・輸出の禁止
例外として、産業用大麻(ヘンプ)の栽培には「大麻栽培者免許」が必要
というものです。
どこが変わったの?
では75年ぶりの改正によって、取締法はどのように変わったのでしょうか。大きく分けると3つになります。
- 大麻使用罪の新設
これまでの法律では、大麻の 所持や譲渡は違法 でしたが、使用自体には罰則がありませんでした。これは大麻栽培農家が作業中に大麻成分に触れることで、不当に「大麻を使用した」と判断されるのを防ぐためだったといわれています。
しかし現在では大麻栽培者が意図せず成分を摂取する可能性が極めて低いことが分かっており、今回の改正で大麻の使用も違法となりました。違反した場合は7年以下の懲役が科せられます。 - 医療用大麻の規制緩和
これまでは大麻草そのものが規制されていましたが、改正後は成分ごとに規制する方向に変わりました。その結果、医療用として使用可能な成分が明確化され、大麻草由来の医薬品が使用可能 になりました。
特に、難治性てんかんやがんの患者、その他の難病を抱え医療用大麻を切望する人にとって、この改正は大きな前進です。 - 栽培免許の区分
大麻の栽培は引き続き 許可制ですが、今回の改正で2種類の栽培免許が設けられました。
第一種栽培免許:大麻草を 製品の原材料 とする場合
第二種栽培免許:大麻草を 医薬品の原料 とする場合
また、精神作用を引き起こすTHC(テトラヒドロカンナビノール)の濃度が基準値を超える大麻草は、より厳格な管理下で栽培する必要があります。
大麻草は品種改良によってさまざまな種類が生まれており、種類によって成分の含有量は大きく異なります。

「部位規制」から「成分規制」へ
これまで日本の大麻取締法では、大麻草の特定の部分(花や葉など)の使用を規制する「部位規制」という方法がとられていました。しかし近年は、大麻草に含まれるそれぞれの成分が体にどんな影響を与えるのかが詳しく分かってきたことや、医学にも役立つこと、そして海外での規制の流れが大きく変わってきたことから、国内でも法律の見直しが議論されるようになりました。
改正後大きく変わったのは、大麻の規制方式が「部位規制」から「成分規制」になったことです。成分規制とは、大麻草(ヘンプ)に含まれる成分のうち、特に精神作用を引き起こすTHCの含有量によって規制を行う方法のこと。これにより、THCの含有量が一定基準を超える場合に厳しく規制されるようになりました。医療や研究目的での使用は認められる一方で、娯楽目的での使用は禁止されたままです。
- THCの含有量が基準値を超える場合 → 厳しく規制
- 医療・研究目的での使用 → 許可
- 娯楽目的での使用 → 引き続き禁止
CBDサプリメントへの影響は?
最近話題のウェルネス成分CBD(カンナビジオール)は、大麻から抽出される成分の一つですが、同じく大麻に含まれるTHCのように精神を高揚させる作用がありません。そのためWHO(世界保健機関)もCBDには乱用や依存のリスクがないと認めており、日本でも合法的に使用・販売されています。
法改正による影響が気になるところですが、今回の改正でもCBD自体は規制の対象外です。このためCBDについてかつては禁じられていた花穂などの部分から抽出されたものも「THCを含まない場合に限り」流通できるようになる一方で、THCの残留限度値がきびしく定められ、この基準を超える場合には麻薬として扱われることとなります。CBD自体は違法ではないものの、THCの残留基準が厳しくなったため、流通にはより厳格な検査が求められます。
CBDにはどんな効果があるの?
CBDは、大麻草(ヘンプ)に含まれる数百種類の成分のうちの一つで、医療にもふだんの私たちの生活にも役立つ成分です。CBDは1960年代に大麻草からの分離に成功して以来研究が進み、現在では難治性てんかんや多発性硬化症、がん治療に伴う吐き気の軽減などに医薬品として使われるケースも増えました(海外のケース)。さらに、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経性疼痛、社会不安、うつ、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病の合併症など、さまざまな病気への効果が期待され、世界中で研究が進められています。治療の場面では、CBD単体だけでなく、精神作用の副作用はあるものの優れた医療効果を持つTHCを併用することもあります。
またCBDがよく知られているのは、心と体のバランスを整える働きです。ストレスや不安を和らげてリラックスさせたり、不眠を改善したりする効果があります。さらに、炎症を抑える作用があるため、筋肉痛や関節炎による痛みの軽減、肌トラブルのケアにも活用されています。こちらは医師の処方は必要がないため、サプリメントとして気軽に使うことができます。

安全にCBD製品を選ぶためのコツ
日本で手に入るほとんどの製品は日本でのユーザー向けにCBDのみを使用した製品が大部分ですが、CBD製品を作る過程で、ごくわずかですがTHC(テトラヒドロカンナビノール)が混ざってしまう可能性はゼロではありません。これからは購入の際にTHCの含有量が基準値以下であることを確認することが大切になります。CBD製品はオイル、カプセル、グミ、バームなど様々な種類があります。初心者の方はまず使いやすいオイルやカプセルから試してみるのがおすすめです。
<新規制のもとで、安全なCBD製品を選ぶためのポイント4つ>
ラベルや成分表を確認する:日本国内で販売されるCBD製品はTHCが検出されないことが求められるため、『THCフリー』や『THC未検出』の表記があるものを選びましょう。
信頼できるメーカーを選ぶ:日本国内で規制を遵守している企業の製品を選ぶ
COA(分析証明書)を発行している信頼できる製品を選ぶ
口コミやレビューを活用:実際のユーザーの評価も確認して購入を検討
まとめ
今回は、大麻取締法の改正についてご紹介しました。この改正により、医療用大麻成分を含む医薬品の使用が可能となり、重要な一歩が踏み出されました。また、CBDに関心のある方は、その使い方や作用をしっかり理解し、正しく活用することが大切です。この記事を参考に安全で高品質なCBD製品を選び、より良いCBDライフを楽しんでください。