カンナビス・アンド・カンナビノイド研究誌に掲載された新しいリサーチで、11~15歳の青少年の約3%が市販のCBD製品を使用していることが明らかになっています。
アメリカでは、健康や美容に良いとされる大麻成分CBDの注目度が高まり、市場が急成長しています。さらに規制が緩和されたことも、この成長を後押ししています。
CBDが広く受け入れられているわけ
大麻由来のCBD(カンナビジオール)が普及している背景には、以下の理由があります。
健康効果への期待: CBDは痛みや炎症の緩和、不安や不眠の改善など、さまざまな健康効果が期待されています。研究が進むにつれて、これらの効果が科学的に証明されつつあり、サプリメントとしてだけでなく、重度のてんかんや一部のがん、多発性硬化症(MS)などの難病治療にも使用されています。
安全性が高い: CBDは大麻の成分の一つですが、精神作用を引き起こすTHCとは異なり、精神を高揚させる効果はなく依存性もありません。世界保健機関(WHO)も、CBDを安全性の高い物質として評価しています。
規制緩和: 多くの国でCBDに関する規制が緩和され、製品の開発や販売が容易になりました。その結果、CBD製品の種類が増え、人々の選択肢が広がりました。アメリカでは2018年に産業用大麻の合法栽培が認められ、急速に普及が進んでいます。これを機に、多くの州でCBDだけでなく、医療用や嗜好用の大麻も解禁されるようになりました。また世界ドーピング協会もCBDを薬物規制対象外から外しており、プロアスリートの痛みケアやコンディション管理のために利用されるようになっています。
認知度の向上: 有名人やインフルエンサーがCBD製品を使用し、メディアで取り上げられることが増えたため、CBDに対する社会的な認知度が上がっています。これにより、CBDは特別なものではなく、身近な存在となりつつあります。また、大麻草へのネガティブイメージも徐々に払拭されています。
これらの要因が相まって、CBDは現代社会で健康維持や美容向上を目指す人々から支持される存在となっています。
カリフォルニア大の新研究が示す、11〜15歳のCBD利用実態に迫る
カリフォルニア大学サンディエゴ校の医学部では、大麻の合法化が進む中で、CBDの利用について大規模な研究を行いました。この研究の結果、11〜15歳の健康な青少年の約3%が、医療や健康の目的で市販のCBD製品を使っていることがわかりました。
特に多いのは、不安やストレス、睡眠の問題に対処するためにCBDを選ぶケースです。これらの青少年は、主に健康のためにCBDを利用しており、これがよく見られるのは、1996年から2012年に生まれたZ世代の中でも年少グループです。
思春期は、心と体が大きく変化する時期です。成長と共に自分自身への意識が変わり、将来に対する不安や友人関係、恋愛、学業の悩みなどが増えることがあります。これらの要因が複雑に絡み合い、心のバランスが揺れることもあります。さらに、大人や同世代との比較やSNSからの情報が多すぎると、自分に自信が持てなくなったり、孤独や焦りを感じることもあります。また、ホルモンバランスの変化によって感情が不安定になることもあり、ちょっとしたことで喜んだり、落ち込んだりすることがあります。
そして、幼少期に新型コロナウィルスによるロックダウンを経験し、不安や不眠を体験した子どもたちも少なくなかったでしょう。こういった要素とCBDの普及が重なり、子どものためにCBDを買い与える親が多かったようです。
親の知識不足が浮き彫りに
CBD製品を使用する子どもの中には、てんかんの症状を抑えるといった医療的な理由だけでなく、不安やストレス、睡眠障害など、現代の若者が直面している問題への解決策として(親が)CBDを選ぶ傾向があることもわかりました。
また調査では10代の若者の約3%がCBDを使用していると報告されていますが、実際にはもっと多くの人が使っている可能性が高いと研究チームではコメントしています。これは親が子どもをケアためにCBDを与えているにもかかわらず、それを公表したがらないケースが多いためです。
また、成分を検出するために毛髪検査を行った結果、CBD製品を使っている子どものうち、23%の毛髪にTHCが含まれていることがわかりました。THCとは、テトラヒドロカンナビノールの略で、大麻に含まれる主要な精神活性成分です。脳の受容体に結びつき、気分を高揚させたり、認知機能を低下させる働きがあります。いわゆる「ハイ」状態を引き起こすのがTHCです。この結果は、一部の親が知らないうちに、THCを含むCBD製品を子どもに与えている可能性があることを示しています。
この研究結果を受けて、研究チームはより広範囲なオンライン調査を始めました。この調査では、親がなぜ子どもにCBDを与えているのか、CBDが子どもの病気の治療に効果があるのか、そして医師と相談してから使用しているのか、などの要因について調べます。
CBDが、心身ともに成長過程にある若者にどのように効果を及ぼし、どのくらいの量を摂取すれば良いのかについてはまだデータがありません。
子どもにCBDを与える親がきちんと知識を持っているか、購入時に成分表などで安全性を確認しているか、医師と相談しているかどうかの3つの点は安全な使用の上で非常に重要なポイントとなります。
まとめ
近年、欧米ではCBD製品が広く普及し、ドラッグストアなどでも手軽に入手できるようになりました。このため、若者を含む多くの人々がCBDを利用するようになっています。しかし、CBD製品の安全性や効果については、まだ十分に解明されていない部分も多く、安易な利用は避けなければなりません。
CBD製品を使うときは、品質にこだわり、医師や専門家への相談も忘れずに。自分や子どもの健康を守るために、賢くCBDと付き合っていきましょう。
<参考資料>