人気ドラマや映画にも登場し、世界的に人気の高いNYのベーカリーが、大麻入りのケーキを発売し話題となっています。
テレビで世界的大人気になった人気店
「マグノリア・ベーカリー」は、その歴史と美味しさ、ビジュアルの美しさからから米ニューヨークを代表するベーカリーとして多くのファンに愛されています。
ニューヨーク市は2021年に娯楽用大麻の使用や所持が合法化され、様々なサービスが生まれています。これに伴いマグノリア・ベーカリーも人気メニュー2種のフレーバーをアレンジし、2023年11月より大麻成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)を 配合したチョコレート バーを開発したのです。
ニューヨークのウエスト・ヴィレッジ地区から始まったこのベーカリーはカップケーキで有名です。ニューヨーク市民だけでなく世界で有名になったのは、テレビドラマや映画でロケ地として紹介されたのがきっかけ。一大ブームとなったドラマ「セックス・アンド・ザ・シティーSex and the City」や根強い人気のエンターテインメント番組「サタデー・ナイト・ライブ」に登場したことが、マグノリア・ベーカリーの人気を不動なものにしたと言われています。現在は22店舗を展開中。「セックス・アンド・ザ・シティー」で主人公キャリーが店頭でカップケーキをぱくつくシーンがオンラインで多く拡散されました。
夢のカップリングが実現したチョコバー
マグノリア・ベーカリーでは、大麻エディブル(食用)製品で知られる「グリーン・サム・インダストリーズ」と協力して、新しい美味しさを楽しむメニューを開発しました。
グリーン・サム・インダストリーズ(Green Thumb Industries)は医療用大麻や大麻由来製品を製造・販売する米国企業。競争の激しい業界において、 2019 年の 2 億 1,600 万ドルから 2022 年には 10 億ドルへと 4 倍に収益を増やしている注目企業です。
大麻メニューの1つ目はベーカリーの人気メニュー、バニラプディングのフレーバーを組み合わせたクッキーとフリーズドライのバナナをブレンドしたチョコバーで、1つにつき10mgのTHCが含まれています。もう一つは同じくベーカリーの人気メニュー「レッドベルベット・ケーキ」にインスパイアされたチョコバーで、クリーミーなチーズフロスティングと贅沢なチョコレートが楽しめる至福の一品。10本入りのバーには、1本につき10mgのTHCと10mgのCBDの両方が含まれています。
見た目も美味しそうで、ニューヨーカーの期待も高まっているのですが、残念ながらまだ本家ニューヨークではまだ認可が下りてないためイリノイ州、ネバダ州、マサチューセッツ州のディスペンサリーのみの販売に限られています。
なぜ本家ニューヨークで販売できないのか。それには、ニューヨーク行政の大麻合法化をめぐる複雑な事情が影響しているようです。
ニューヨークの大麻事情
2021年3月以降、アメリカ合衆国のニューヨーク州では、成人が嗜好用の大麻を合法的に使用することができるようになりました。目的は人種差別の廃止、新たなビジネス機会の拡大、そして税収増です。
大麻の所持に関する逮捕が、主に黒人やヒスパニックなどの少数派に偏っていたことが長いあいだ問題視されてきました。
また大麻の合法化により、合法的に売買できるようになり、犯罪組織への資金供給を断つという狙いもあります。また同時に、大麻の販売から課税される州税や市税により、税収の増加も大切な要素です。これによって州や市への財政的な貢献が見込まれ、地域経済が活気づくことも期待されます。
しかし一方で、市による売買ライセンス発行の遅れが目立ち、合法化が行われたのにもかかわらず非合法のまま大麻製品の販売が行われるケースが増えてしまい、品質や保存状況の基準ラインを下回るものも市場に多く出回っています。ブームに便乗し路上販売する違法の大麻ディーラー、違法な店舗で扱われる大麻製品には衛生管理や成分管理が徹底しておらず、健康を脅かす雑菌が付着しているケースが多いこともわかりました。
大麻の合法化には踏み切りましたが、行政による合法ライセンスの付与には長い時間がかかり、その結果「合法になったけれど、合法的に売買することは難しい」といった状態が長期間続いています。この状況が続く中で、違法な大麻店舗が急増してしまったのです。
美味しく安全に楽しむには
CBDやTHCなどの大麻成分カンナビノイドをブレンドした大麻エディブルは、手軽に美味しく摂取できることがメリットです。ポピュラーなのはチョコレートとグミで、炭酸飲料やコーヒーなどにブレンドされた製品もあります。消化器官を経由して吸収されるため、摂取後30分~2時間ほどでその効果を感じることができます。ただし美味しく食べることができてしまうので、摂り過ぎには要注意です。各商品には推奨摂取量が設定されており、例えば「1日に何個まで」など、指定された量を守って楽しむことを心がけましょう。
また日本ではCBDは合法ですが、THCは現在も規制されています。法に触れないようにするためには、エディブルを購入する正しい知識を身につけ、製品の成分をよく確かめることが大切です。
まとめ
大麻成分をブレンドした伝説的ベーカリーのお菓子は、ニューヨークのファンの期待に応えて生まれました。現在はライセンス待ちの状態ですが、これらの美味しいお菓子はまもなく彼らの手に届き、新たなニューヨーク名物が生まれることでしょう。
<参考資料>
https://ny.eater.com/2023/11/2/23941690/magnolia-bakery-weed-edibles