海外ではCBDの成分でリラックスし、自分をケアするトレンドが広がりつつあります。今回は英国ロンドンにある人気デパートを取材し、CBDがどのような受け入れられ方をしているかをのぞいてみます。
新しい都会のオアシス
海外では、北米やヨーロッパを中心に医療大麻や嗜好用大麻の解禁が大きく進んでいます。
特に大麻成分の中でも安心して使用でき人気の高いCBD(カンナビジオール)は、副作用がほとんどなく安心して使用できることから、ストレスを抱える人々の間でセルフケアの一環として親しまれるようになっています。
大麻のアンダーグラウンドなイメージに魅力を感じている人よりも、体に優しく心身をケアしてくれる新・ウェルネス成分として捉える若い人が多いのが注目すべき点です。
本稿では英国ロンドンにある人気デパート、「セルフリッジズ」を訪れ、CBDがどのような受け入れられ方をしているかを見学しました。
トレンド感の高い人気デパート
ロンドンの目抜き通り、オックスフォードストリートに佇む人気デパート「セルフリッジズ」。1909年にこの地に誕生したネオバロック様式のデパートは現在もファッショナブルな人々を魅了し続けています。
ロンドンといえば王室御用達のデパート、ハロッズが有名ですが、セルフリッジズはよりトレンド感のある品揃えが特徴的。ショーウィンドーの美しさやデザインでもよく知られ、中に足を踏み入れると、最新のファッション、美容、ジュエリー、家庭用品など、多岐にわたるブランドが贅沢な空間が広がっています。
最新のテクノロジーを駆使したショッピング体験やポップアップショップ、ファッションショー、アートイベントが盛んなのも特徴で、訪れるたびに新たな発見が待っています。
フードホールに誕生したウェルネスコーナー
CBDが特集されているのは、多くの買い物客が訪れる1階フロアです。ここには有名ブランドのファッションや貴金属だけでなく、日本のデパ地下の高級グルメコーナーに似た雰囲気のデリコーナーもあり、CBDを扱うコーナーは各種スイーツやグルメが陳列されたエリアに位置しています。
2018年に医療用大麻が合法化されたことで、人々のイメージもかなり変わりました。現在ではCBDはデパートの他にも、英国では専門店やオンラインショップなど様々なタイプの店舗が増えています。
このデパートでCBDが扱われている場所は、フードホールにある「ヘルス&ウェルビーイングバー」と、飲食が可能なカフェの2つ。「ヘルス&ウェルビーイングバー」は国内外のCBDブランドの製品を幅広く取り揃え、セレクトショップのような雰囲気が漂っています。オイルやグミ、サプリメントが中心で、CBDだけでなく、現在人気のあるアダプトゲンやストレス耐性を高めるお茶のエキスなども配合された商品が揃っています。
名称に使われている「ウェルビーイング」とは、「よい(Well)」と「状態(Being)」が融合した言葉であり、心身ともに充実し、満足感を感じている状態を指しています。
一部の商品は店内で試すことができるのも嬉しい点です。筆者も日中のリラックス向けCBDオイルを勧められ、その場で味見させてもらいました。甘みのない上質なカカオの風味が広がるCBDオイルは特に印象的。CBD入りのグミは無料サンプルの提供されていませんが、個数の少ないお試しパックがあり、手軽にCBDのメリットを体験できるようになっています。試したオイルはエディブルよりも早く効果が現れるため、混雑した店内での買い物中にもストレスを感じることなくゆったりと買い物を楽しむことができた実感があります。
スタッフの解説によると、ウェルネスバーでは全て高品質なものを取り揃えているけれど、成分のブレンド具合から効果の感じ方は商品によってそれぞれ違うとのこと。
よく眠りたい、ストレス状態を緩和したいといった目的に合わせて選ぶと満足度がさらに上がりそうです。
休憩に立ち寄りたいCBDカフェ
ウェルネスバーを訪れた後は、フードコーナーのグルメ商品に目移りしながら、デリコーナーにあるCBDカフェを訪れました。途中のドリンクコーナーにも大手ブランドの炭酸飲料やスポーツドリンクとともにCBDドリンクが並んでいます(写真下)。
ここは普通のカフェチェーンのようにカウンターでドリンクやフードをオーダーし、イートインまたはテイクアウトすることができます。
コーヒーを中心に抹茶ラテなどいくつかドリンクメニューがあり、CBD入り・CBDなしを選ぶことができます。またカウンターで選ぶことができるクッキーやデニッシュ類にもCBDが使用されています。アレルギー情報やカロリーとともに、CBD含有量も表示してあるので安心できます。
カフェの方では抹茶ラテをチョイス。ロンドンで抹茶は大ブームになっていますが、お茶の味が薄く甘いだけの製品が多く残念に思っていたのですが、このカフェでは抹茶の味をしっかり生かしたおいしいラテを楽しみました。こちらではワンドリンクにつき5〜7ポンドでCXBD入りドリンクを頼むことができます。(1ポンド=約187円、2023年11月現在)
こちらではCBD配合のコーヒー豆も購入できます。
楽しさはそのままに、二日酔いゼロが魅力?
飲酒文化が根付いているイギリスでは、年末には飲みすぎたり、体調を崩してしまう人が少なくありません。しかし最近では健康ブームの高まりとともに、アルコールの代わりにノンアルコール・スピリッツのカクテルを楽しむ人が増えています。イギリスはノンアルスピリッツの発祥の地で、そのバリエーションの豊富さもこうした傾向が広がっている一因です。
特に若い世代ではお酒の代わりにCBD配合飲料などアルコール以外のドリンクでパーティを楽しみ、翌朝すっきり目覚めたいというニーズも高まっています。2023年1月には、英国でCBD入り単品の売り上げが通常の8倍に達したとの報道もあり、CBDがお酒の代替手段としても人気を集めていることが分かります。
現在、生活の楽しみはお酒だけでなく、動画視聴やSNS、ストリートイベントなど多岐にわたり、飲酒が唯一の楽しみではなくなっていることも大きな要因です。健康的で、バラエティある選択肢という傾向が、このデパートのCBD売り場にも反映されているように感じられました。