世界では様々なフェスティバルが行われていますが、世界のヘンプ業者が自社製品の品質を競う「カンナビス ・カップ」もそのうちの一つ。今回はカンナビス ・カップの成り立ちと、米ミシガン州で開催された2023年大会から、消費者チョイスによって選ばれたユニークなヘンプ製品の数々をご紹介します。
世界のヘンプ業者が集結する祭典
カンナビス・カップは1988年にオランダのアムステルダムでスタートした大麻の国際イベントです。アメリカの大麻雑誌「ハイ・タイムズ」の編集者スティーブ・ヘイガーの活動によって生まれ、現在でも大麻合法化を求める活動家や団体・会社などから広く支持されています。
このイベントでは大麻関連製品の品質や種類を競い合うコンテストが行なわれます。ジャンルは大麻の品種や大麻エッセンス(オイル、ワックスなど)、食品、ドリンク、関連グッズなどさまざまで、業界の専門家や愛好家による講演、パネルディスカッション、展示会などが行われます。大麻の合法化が進んだ現在では、このイベントは世界各地でおこなわれるようになり、大麻生産者や製造業者、愛好家が集まるフェスティバル兼見本市として進化しています。
今回は医療用、嗜好用ともに大麻合法化を行った米中西部のミシガン州で行われたばかりの「カンナビス・カップ・ミシガン:ピープルズ・チョイス・エディション2023」についてご紹介します。
ユーザーに選ばれたヘンプの傑作アイテムとは?
「カンナビス・カップ・ミシガン:ピープルズ・チョイス・エディション」は、ミシガン州のさまざまな大麻製品の品質を消費者にアピールし、コンテストを通じてフィードバックを得ることを目的とした人気イベントで、今年で4回目を迎えました。
一般の人々も気軽に参加でき、来場者にはたくさんの試供品が提供されるため、参加者にとってもどんなグッズに出会えるのかと期待が高まります。
今年の大会は、なんと21カテゴリからそれぞれ勝者が選ばれました。以下でその一部をご紹介しましょう。
<メディカル部門>
医療用食品部門で1位に選ばれたのは、ドリームエディブルズのダークチョコレートでコーティングされたTHC入りの塩キャラメル。全て天然素材にこだわっており、ウェブサイトも高級スイーツ店のようなプレミアム感が感じられます。
https://www.dreamediblesmi.com/
2位はCovert CupsのTHC配合ピーナッツバターカップ。アメリカ人の大好きなチョコレートと香ばしいピーナツの組み合わせが魅力的。他にもバナナやストロベリー入り、マシュマロやプレッツェルが入ったバージョンなど、豊富な品揃えがも魅力的です。
https://covertcups.com/
また医療用濃縮タイプの1位「Element x Kai Cannabisのブラックチェリーパンチライブレジン」はリラックスや鎮痛・沈静に併せて、フルーティなフレーバーを楽しむことができます。
医療用のプレロール(タバコのように大麻草を巻いたもの)にも、医療に役立つTHCやCBDといった大麻成分だけでなく、クッキーやミント風味など美味しく治療に役立てる工夫が凝らされています。
<エディブル部門>
また大麻成分をカジュアルにおやつとして楽しむ「エディブル」部門では、チュロス風味をプラスしたKiva(キヴァ)チョコレート・バー、Dope Cakes(ドープ・ケイクス)社のピーナツバター、ピンクレモネード味のグミなど、思わず味見みたくなるラインナップがハイスコアを獲得しました。
また医療用・嗜好用ともに大麻が合法化されているミシガンでは、大麻の有効成分が凝縮されている「バッズ」と呼ばれる花穂の部分の競争もたくさん行われます。サティバ系、インディカ系など品種と効果によって競うもの、それらを掛け合わせたハイブリッド系、ベイプ用のリキッド部門などが競い合いました。
なんでこんなに大麻成分が人気なの?
大麻草は古代から重要な作物として世界各地で栽培されてきており、その丈夫な繊維を利用したり、その不思議な薬効成分のため薬草としても使われてきました。
しかし大麻といえば危険な麻薬というイメージがまだ強い日本では、大麻についてフラットに語られる機会がなかなかないのが現状です。
科学の進歩により、大麻の持つ不思議な作用はカンナビノイドと呼ばれる生理活性成分の作用であることがわかってきました。大麻の中に100種類以上もあるこのカンナビノイドはそれぞれが生き物に備わったバランス調整機能の受容体に働きかけて、その効果を発揮します。
現在最も注目されているのは、鎮痛や鎮静効果が高く、難病の治療にも有効とされるTHC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール )です。目立った副作用がほとんどないCBDと比較して、THCは服用した人が多幸感を覚えたり、酩酊状態となってしまうこともあります。使用にはもちろん知識と注意が必要ですが、使い方によってこれまでの医薬品では実現しにくかった効果を得ることができます。
まとめ
大麻には様々なメリットがあり、それを利用した医療やビジネスの可能性が浮かんでいます。
社会的なメリットが知られるようになったことで、北米では州ごとに大麻の合法化が進行中です。またカナダでアルコールやタバコと同じような規制があるものの、成人であれば合法的に大麻を使用することが許可されています。
大麻を厳しく禁止しても闇マーケットに流れることが多く、非合法な状態では犯罪組織に資金源を提供してしまいます。犯罪防止や治安の観点から国によって意見が分かれるものの、合法化して国が管理し税収を得たり、闇ルートの資金源を断つことが良いと考える人が増えているようです。
合法化により、今よりも健全な製品管理が期待できます。また新たな病気治療法やビジネスチャンスも生まれるでしょう。
カンナビス・カップは業者や愛好者のフェスティバルであると同時に、大麻の利用可能性を広め、社会的なメリットを強調することができる大きなチャンスなのです。
<参考資料>