元NFL選手カルビン・ジョンソンJrが、米ボストンの大麻薬局のオーナーに就任というニュースが報じられました。
「メガトロン」こと元NFL選手が大麻に込める思いとは?
元NFL選手のカルビン・ジョンソン・ジュニア氏が、米国ボストンのウォーターフロント地区にオープン予定の大麻薬局「Primitiv Boston(プリミティブ・ボストン)」のオーナーに就任したことが報じられました。同社はウェルネスとスポーツ負傷にフォーカス。大麻植物から抽出される抗炎症や鎮痛効果の高いCBDを使った製品をメインに、大麻の花やオイル、食品、飲料、アクセサリーなどが提供する予定で、大麻に関する教育活動にも取り組んでいくと報じられています。
カルビン・ジョンソン・ジュニア(Calvin Johnson Jr.)氏は、NFLで活躍しプロフットボールの殿堂入りを達成した人気選手。現役時代はトランスフォーマーのキャラクター「メガトロン(Megatron)」の愛称で親しまれ、デトロイト・ライオンズで、2007年から2015年までの間ワイドレシーバーとして活躍しました。
彼は現役引退後、スポーツ医療をメインに据えた大麻事業に参入し、大麻成分が心身にとって重要であるとの経験から、人々が正しい情報を得られるよう大麻への誤解を解消し、そのメリットを広めることをミッションに活動しています。
大麻は使い方によっては健康メリットが大きいものですが、偏見もまだ大きく、誤情報が広がることで社会問題になることもあります。プリミティブではジョンソン氏のプロフットボールの現役時代に多くのケガや痛みを抱えた経験から、スポーツ負傷を含めた大麻の医療効果にフォーカスにしていると語っています。
チームメイトとタッグを組む
プリミティブは、ジョンソン氏と元NFLチームメイトのロブ・シムズ、そして地元ボストンカレッジ卒業生のゴスダー・シェリルスというメンバーによって設立された大麻スタートアップです。同社はハーバード大学の国際植物医学および医療大麻研究所ほかとパートナーシップを結び、慢性疼痛、CTE(慢性外傷性脳症)、がん治療などの分野における大麻の医療効果に関する研究に投資しています。
2023年3月にはニューイングランド州で行われるカナビス・コンベンション (NECANN) ボストンの一部として、大麻栽培用の高性能 LED植物育成ライトの大手メーカーFohse とともにブースを出展しています。この展示会ではCBDを中心とした製品ライン Primitiv Performance(プリミティブ・パフォーマンス) の宣伝や今後の新プロジェクトについて話し合いが行われました。
鎮痛剤をめぐるスポーツ選手の闇
アメリカンフットボールのような激しく肉体を使うスポーツでは、怪我や故障はつきものです。痛みを薬で抑えながらプレーを続ける選手も多く、彼らの多くは痛み止めのために副作用が大きい強力なオピオイド系製剤を処方されるケースが多く、依存症や吐き気や発疹などの副作用に苦しむ場合も多く見られます。
大麻成分の研究が進むにつれ、大麻に含まれるCBD(カンナビジオール )と呼ばれる成分には効果的な鎮痛効果に加えて筋肉の炎症を緩和する効果があることが明らかになってきました。依存性や中毒性などの副作用などもないため、これまでの化学薬品の代わりにCBDを使ったケアをするプロ選手も増えています。
CBDを利用することで痛み緩和や筋肉ケアの他にも、試合のプレッシャーでストレスを抱えるアスリートの緊張や不安状態を和らげる効果もあります。
プリミティブの主力商品はCBD製品ラインであるスポーツドリンクの「Primitiv Performance(プリミティブ・パフォーマンス)」。ナノテクノロジーを用い吸収率とバイオアベイラビリティを最大限に引き上げています。
電解質、ビタミン、および複数のカンナビノイド (CBD、CBG、CBC、 CBN) が配合され、トレーニング前、トレーニングの最中、トレーニング後の水分補給、疲労回復、痛みケア、免疫システムなどをサポート。プロスポーツ界ではドーピング対象となっているカンナビノイドTHCを含まないため、安心して使用することができます。また2023年後半にはさらに画期的なラインが発表されると報じられています。
東海岸で初めて合法化。ボストンの大麻事情とは
ボストンはマサチューセッツ州の中心都市であり、2018年に東海岸で初めて嗜好(しこう)目的の大麻の販売と購入を解禁しました。ハーバード大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)など世界トップの教育機関を持ち、ビジネスも盛んなサチューセッツ州では21歳以上の人による娯楽用大麻/マリファナの購入と使用が許可されており、個人使用のため1オンス(約28グラム)までの大麻を所有することができます。大麻や関連商品の購入者は政府発行の ID を提示する必要があり、公共の場で大麻を使用することは禁止されています。
大麻産業はマサチューセッツ州全体で急速に成長しており、がん治療や痛み緩和など医療目的で大麻成分を利用する人が増えています。また合法化を機にお酒のようにリラクゼーションの目的で大麻を楽しむ人も増えています。
合法化によって逮捕や投獄数が減少し、警察や司法制度の負担が軽減され、財源がより重要な犯罪に注がれることが期待されていますが、その一方でいくつかの問題も指摘されています。中でも子どもや未成年者が大麻を使用するケースが増えるのではないか、大麻を使用して車や機械を運転・操作する人が増えるのではないかという懸念は、州を問わず共通しています。
合法化の進む米国の州ではそれぞれ独自の政策がとられていますが、マサチューセッツ州においても、経済的・健康上のメリットと安全性のデメリットのバランスが今後問われていくでしょう。
まとめ
アメリカのプロスポーツ選手たちがCBDブランドと提携していることから、CBDが健康維持やスポーツ後のケアに重要な役割を果たしていることがわかります。CBDに関する研究が進むにつれ、デメリットを解消する方法も開かれており、安心して大麻製品を楽しみ、日々の生活に役立てることができるようになるでしょう。
<参考資料>