健康・美容に様々なメリットがあるとトレンドの大麻関連商品ですが、最近「ヘンプフラワー」という名前の商品を耳にするようになりました。どんな風に楽しむのでしょうか?そしてどんな効果が期待できるのでしょうか?
マルチに活躍する産業用ヘンプ
ヘンプというのは麻科の植物の一種で、近年では産業作物として注目されています。丈夫な繊維は衣類や紙、プラスチックや建材などの原料になったり、植物自体から抽出される薬理成分カンナビノイドを医薬品やサプリメントとして使用し健康に役立てたり、種を食用にしたり、油分を利用するなど様々な用途があるのです。人類との歴史も長く、世界文明発祥のチグリス・ユーフラテス川地域や古代エジプトではすでに麻の栽培が行われていたといいます。水や肥料、農薬が少なくても丈夫に育ち生育スピードも早いことから、近年ではエコでサステナブルな植物として再び注目を集めています。
麻の種類はとても多く、リネン(亜麻、フラックスとも呼ばれる)のようにファッション界では定番素材となっている麻もあれば、麻薬として利用される品種もあり、栽培や使用が違法になっている品種もあります。
現在、海外で盛んなヘンプ産業では、向精神作用成分が非常に少ない品種が主に栽培されており、嗜好用の大麻と区別をつけるために「産業用ヘンプ」と呼ばれています。産業用ヘンプは基本的に茎や種を使用するので、茎が上に伸びるように密生した状態で育てます。規制薬物である大麻(薬物ヘンプ)と育て方が違うので、産業用と偽って違法ヘンプを栽培することは難しいといわれています。
ヘンプの花=ヘンプフラワーとは限らない
ヘンプを利用した商品で「ヘンプフラワー」と表記される商品には実は2タイプあります。カタカナ表記では「フラワー」ですが、1つは粉で、もう一つは花を指しています。
ヘンプの種を粉にしたHemp Flour
ヘンプの種であるヘンプシードを粉に挽いて小麦粉のようした「ヘンプ粉」もヘンプ・フラワー(Hemp Flour )と呼ばれます。欧米では栄養価に優れたスーパーフードとして知られ、スーパーなどでも手軽に入手できます。オメガ3、6、9の必須脂肪がバランスよく含まれ、繊維質も豊富なためスムージーに加えたり植物性プロテインパウダーとしてスポーツ後にドリンクにして飲んだり、スープやサラダに加えたり、焼き菓子などに小麦粉のようにして使うことができます。クセや臭みもなく水とブレンドすることで手軽にヘンプミルクを作ることもできます。
ヘンプの花を乾燥させたHemp Flower
嗜好品として喫煙されるマリファナの花の部分は「バッズ(雌花の花穂)」と呼ばれ、精神高揚を引き起こす成分THC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)が高濃度で含まれています。
バッズは味と質を保存するためにキュアリングと呼ばれる乾燥工程を経ることになっていますが、THCが少なく、健康効果が高く副作用の少ないCBD(カンナビジオール)含有量が多い産業用ヘンプの花に同様の加工を行なった商品が「ヘンプフラワー」と呼ばれています。
見た目はよく似ていますが、嗜好用大麻の「バッズ」と区別をつけるために「フラワー」と呼ばれているようです。見た目は茎上部のが花に覆われ、ふわふわとした綿毛のような突起(トライコーム)に包まれ密集状態になっています。有効成分の詰まった湿り気のあるクリスタルに覆われているのが理想的とされています。
以下ではヘンプの花を乾燥させたヘンプ・フラワーについてご紹介していきます。
どんなふうに楽しむ?
ヘンプの花穂には麻の有効成分であるカンナビノイド類が豊富に含まれています。中でも産業用ヘンプの花には様々な健康効果が期待できるカンナビジオール(CBD)の含有量が非常に高く、効率よく成分を摂取できるのが利点です。大麻特有の成分カンナビノイドのブレンド具合や含有テルペン類の違いから品種によって香りや味わいがことなり、タバコやお茶のようにその違いを楽しむ通な人も多いのだとか。
一般的には砕いてパイプで喫煙したり、煙を肺に入れたくない場合はドライハーブベイプまたは卓上気化器に詰めて蒸気を吸引します。他にもお茶にしたり焼き菓子に混ぜたり、オイル抽出して手作りのヘンプフラワーオイルを作り料理に使ったり、肌用クリームを手作りすることもあります。調理する場合は油分と合わせ、熱を加えるのが成分を吸収しやすい最も有効な摂り方。産業用ヘンプにはTHCが殆ど含まれていないため、いわゆる「ハイ」の状態にならなくてもヘンプの健康効果を享受できるので安心です。ただし人によって感じ方・効果は様々ですので、まずは少量から試して自分にとっての適量をみきわめることが大切です。
多くの人は、リラックスした気分になり不安や不眠の状態が改善したり、関節などの痛みが軽減するなどポジティブな効果を体感することができます。その他にも体内の炎症を抑えたり、吐き気を抑制、神経保護作用などのメリットが報告されています。
これは麻に含まれる100種類以上もあるカンナビノイド類の作用によるもので、中でもCBD(カンナビジオール)は、ストレス軽減や安眠、てんかんや関節リウマチなどの治療に利用され、世界中で注目されています。
※産業用ヘンプの花は多くの国で「THC含有量0.3%未満の大麻サティバの花」と規定されています。
※日本ではTHCが含まれていない、茎などから抽出された製品のみ法律で認められています。大麻草の成熟した茎又は種子以外の部位(葉、花穂、枝、根等)から抽出・製造されたCBD 製品は大麻として規制されています。
ヘンプフラワーのメリット
麻の花に存在する100種類を超えるカンナビノイドやテルペン類は、それらを一緒に吸収することで相乗効果が生まれるといわれています。この効果はアントラージュ効果(側近)効と呼ばれ「個々のカンナビノイドが持つ以上の効果を発揮する」という、精神薬理学研究者でGWファーマシューティカルズの元シニア医療アドバイザー、イーサン・ルッソ博士ほかによる研究も報告されています。
麻はフルサイズに成長するまで約4週間かかり、開花するまでにさらに8〜9週間を要します。花穂に含まれる有効成分が最もピークに達した頃を見計らって収穫され、出荷のために乾燥や冷凍加工されます。品種によって差はありますが、ピーク時のCBD含有量は約20%にも上るといわれています。
市販されている多くの麻製品は、特定のカンナビノイドを除去したり分離しておりアントラージュ効果が得られない場合も多いのですが、ヘンプフラワーを摂取することで、麻の持つ総合的なメリットを自然な形で得ることができるのです。
タイプ別に効果は変わる
ヘンプの品種を選ぶことで体験する効果をある程度調整することができます。麻の品種改良が進み様々な種類が生まれているのですが大きく分類すると
「精神的なリラックス感を与えてくれるもの」
「肉体的な活力を与えてくれるもの」
「両者のハイブリッド」
の3つに分かれています。
詳しい情報は購入時にスタッフに相談したり、大麻治療を行う機関で専門家のアドバイスを受けたりメーカー成分表を調べることで、自分にあったタイプを選ぶことができます。また海外では「大麻ソムリエ」なる人も登場しています。ただし日本では麻の花や葉に関して一般の栽培や所持は禁止されていることをご留意ください。
まとめ
ヘンプ栽培の盛んな米国やカナダなどではオーガクニック農法といった栽培プロセス、味や香り、得られる効果、成分のバランス、トレーサビリティ、カスタマーサービス、パッケージのエコ度など様々な観点から選ばれた「ベスト・ヘンプフラワー・ブランド」のランキングが毎年発表されています。加工プロセスが少ないぶん素材で勝負のヘンプフラワーですが、驚くべきスピードで進化を遂げているようです。
<参考資料>
https://secretnaturecbd.com/blogs/cbd/benefits-of-smoking-cbd-flower