タレントやスポーツ選手などがCBDの愛用を公言し、CBDという単語をテレビや雑誌、ニュースなどメディアで目や耳にする機会が多くなりました。海外諸国でCBDの研究が進むにつれ、多くの疾患に薬効が認められたという論文が相次いで発表されている事実がCBD流行を加速させていると推測できます。
CBDは今、どういう局面にあるのか。そしてこれからどういう未来へ向かっていくのかを考察します。
CBDの「いま」
CBDは現在、さまざまな国で医療大麻として研究され、実用化が進められています。それを象徴する出来事が2020年4月に起こりました。イギリスのバイオ医薬品企業の大手であるGWファーマシューティカルズの医療大麻医薬品であり主力商品でもあるサティベックス(Sativex)とエピディオレックス(Epidiolex)の2商品に対する麻薬指定が、米国で完全に解除されたのです。この事実は、これら医療大麻の安全性が認められたということでもありました。
我々日本人からすると、CBDはある時から突然メディアと市場に現れ、今まさに一過性の流行を作っているように見えます。しかし実はこの現象には深い歴史があり、とくに米国ではCBDの効果や作用にそれこそワラにもすがる思いで一縷(いちる)の希望を託す患者が数多くいるのです。
さらに重要なのは、CBDは難病に苦しむ人たちの症状を劇的に緩和してきた実績があるということ。米国民であれば、まるで奇跡のようなこれらのドラマをメディアやニュースを通して見ることができますが、我々日本人の目や耳にまで入ってきません。
代表的な例として、2013年にアメリカ最大のケーブルテレビCNNで放送された「WEED」という番組があげられます。この番組では難治性癇癪であるドラベ症候群を患った幼い子が、CBDで劇的に回復する様子が放送されました。もともと大麻カルチャーに反感を抱いていたまじめで誠実な両親が、我が子のためにと最後の希望をCBDに託したのです。結果、症状が劇的に改善され家族に笑顔が戻ったのでした。
もちろんこの放送は大反響を呼び、米国全土の発作を持つ子の親が血相を変えてCBDを求め始めました。これはCBDが米国で市民権を得る理由となった一つの大きなきっかけです。
こうした小さな奇跡の数々を、メディアを通して目撃してきた米国民がCBDを迎合し新しい潮流を生み出そうとするのは自然の成り行きなのでしょう。
CBDの「これから」
CBDが利用されるシーンは現在もどんどん拡大しています。医療大麻としての活用はもちろん、健康や美容のためのサプリとしての利用、あるいは菓子類やケーキなど嗜好品として利用されるケースも増えてきました。最近ではCBDを添加したビールなど、アルコール飲料や電子タバコとのコラボレーションも進んでいます。米国をはじめCBDが人類に有益なものであることが世界中に認知されれば、CBD活躍の舞台はいっそう広がっていくでしょう。
一方でCBDの薬効や心身への影響がまだ完全に解明されていないことから、健康リスクを指摘する声もあります。研究者の中にはCBDの積極的利用は時期尚早であると警鐘を鳴らす声も。
脳神経への影響が完全に解明されていない以上、過剰な摂取を控えるべきだとする見方が正しいでしょう。
言い方を変えれば、CBDの人体への影響がいっそう明らかになれば、医療大麻としてあるいは嗜好品としてますます迎合される可能性が高いということでもあります。
日本人とCBD
日本では戦後の大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法の制定以来、大麻を神経質なまでに忌み嫌ってきた歴史と国民的気質があります。大麻と聞くだけで条件反射的に「危険ドラッグ」を連想してしまう人も多いでしょう。こうした先入観や思い込み、イメージから脱却できないのは、大麻に関する正しい情報が少ないことに加え、薬物にかんする未熟な教育、さらに大麻研究すらも実質的に禁じられてきた制度そのものに原因があります。
医療大麻によって救われる患者はこれから世界でますます増加するでしょう。そうした中、「日本に住んでいるから」という理由だけで難病の苦しみに耐え続けなければならない人たち、医療大麻によって軽減できるはずの苦しみに身を投じなければならない人たちの人権はどうなるのでしょうか。
CBDを含む医療大麻はすでに、法律論や慣習などでなく人権というトピックで語られるべきステージにまでやってきているのです。
まとめ
これからさらなる可能性が期待されているCBD。医療大麻推進の世界的風潮に、日本が取り残されている構図が浮き彫りになりました。
しかし日本の体質はともかく、CBDなど医療大麻が実際に有効な医薬品として各国で活用され、多くの人の救いになっているのは事実です。まだまだ過渡期にあるコンテンツですが、今後の研究の進歩と文化の発達によりさらに洗練された使い方が提唱されるでしょう。
日本人がその恩恵を受けるには、そして病に苦しむ人たちの苦痛に歪む顔に少しでも多くの笑顔を取り戻すためには、私たち一人ひとりが医療大麻とその有用性と可能性を正しく理解する必要があります。
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引用元
(参考文献、URL、URKページ タイトル記載)
https://vapemania.tokyo/