はじめに
大麻由来の成分CBD(カンナビジオール)が病気治療に大きな効果を上げていることや、様々な健康効果があることが知られるようになるにつれ、CBDを健康補助サプリメントとして利用する人々が増えています。
美容やスポーツの世界でも、化粧品やリカバリー用サプリ、ペット用品まで幅広いバラエティの商品が見られるようになりました。
今回はこのような流れを受け、人気のCBD市場に英国の人気サプリメント・メーカーが参入し、CBD製品がより身近になったエピソードについてご紹介します。
大手メーカーも動き出したCBD市場
美容や健康に素晴らしい効果が期待できると注目のヘンプ由来のカンナビノイド「CBD(カンナビジオール)」。体内にある身体調節機能エンド・カンナビノイド・システムに働きかけ、心身のバランスを整えてくれる作用に着目した、さまざまなサプリメントが発売されています。
海外では大麻由来の医薬製剤が認可を受けていることや、CBDマーケットの拡大が新たなビジネスや雇用を生み、こういった様子を「グリーン・ラッシュ(大麻特需)」として報じる欧米メディアも増えました。その活気はまるでIT革命に湧いた90年代の米西海岸シリコンバレーを見るようです。
しかし一般向けサプリメントについては様々なメーカーやブランドが乱立しており、それぞれの品質はまちまち。品質規制もまだ行き届いているとはいえないためマーケットは玉石混淆であるのが現状です。
そんな中、製薬会社をバックに持つ英国の人気自然派サプリのメーカーがCBD市場に参入、安心できる製品を求める消費者の注目を集めています。
英国人が支持する自然派ブランド
英国のネイチャーズエイド社(Nature’s Aid)はハーブやスパイスなどナチュラルな素材を使った栄養補助食品や自然派レメディの老舗メーカー。アロマセラピーの本場であり、ガーデニングで様々なハーブを栽培し料理や健康管理に利用するなど、ナチュラル・レメディが日常的に使われている英国で非常に信頼を集めているブランドです。
ネイチャーズエイド社の商品例は以下の通り。
- 各種ビタミン・サプリメント
- 月見草オイル配合サプリメント
- MCT(中鎖脂肪酸)オイル
- 小児用のビタミン配合免疫力向上サプリ
- 免疫を高めるハーブ、エキナセアを使用した風邪薬
- 眠りのハーブ、バレリアンを使った睡眠前レメディ
- 古くから肝障害の治療に使われるマリアアザミを使った胃腸薬
- 西洋医学でも利用される植物デビルスクロー使用の関節炎の緩和剤…など。
扱う商品の例を見ても分かる通り、子どもから老人向けまで幅広い顧客に支持されていることが分かります。また同社ではヴィーガン向け素材を使った完全プラントベースの栄養補助食品も扱っています。
製薬会社グループ入りからCBD市場参入へ
ネイチャーズ・エイド社(以下NA社)は、2016年にドイツの製薬会社スタダ・アルツナイミッテル傘下に入りました。英国のほかにもキプロス、アイスランド、東ヨーロッパ、中東で人気の高いNA社ですが、イタリア、スペイン、フランス、ドイツなどのヨーロッパの主要国ではまだそれほど知られておらず、スタダ・グループ入りを機に欧州圏そしてアジアへの進出を視野に入れています。
またNA社はこのスタダ・グループ入りをきっかけにブランド認知を拡大、そしてCBD市場にも参入することになりました。2020年に入り、品質基準管理のためのCBD Novel Food Application申請もすでに済ませています(※)。
NAブランドに新しく仲間入りしたCBDオイルは化学薬品を使用せず、厳しい品質試験を合格したオーガニック栽培のヘンプのみを使用。用途に合わせてCBD濃度を選ぶことができ、便利なスプレーボトルやジェル、小袋入りなど様々なタイプが揃っているのが特徴です。40年以上にわたって築き上げてきたブランドならではの信頼感があり、「CBDは気になっていたが不安で手が出せなかった」という層からも好意的に受け入れられています。
※<CBD Novel Food Application とは>
2020年より、品質規制のため英国ではCBD商品の製造業者は販売前に英国でCBD新規食品申請書を提出する必要があります。 すでに市場に出まわっているCBD食品および栄養補助食品に関しても、2021年3月末までに新たに申請が義務づけられるようになっています。
CBDビジネスの未来
今回は英ネイチャーズ・エイドの例をご紹介しましたが、CBD人気は海外でとどまることを知らず、病院や薬局、飲食店、コンビニやエステサロンなどにも様々な場所にも進出しています。
これは大麻製品=麻薬=悪と、ひとまとめにして切り捨てず、危険性とともに利点についても研究・理解し、ビジネスまでを含めて包括的に人々の生活の向上に役立てていくという姿勢から生まれたもの。
米国でも大手飲料メーカーのアリゾナや消費材メーカーのコルゲート社などがCBD市場に参入し、アイスティーや歯磨き粉などユニークな製品が続々と登場しています。ネイチャーズエイド社の例だけでなく、CBD市場はまだ大きな伸びしろが期待できる分野であり、今後も目が離せません。
大麻イコール麻薬という先入観を持つ人もいまだに多いですが、麻自体はもともと薬用や繊維の材料として古代から親しまれてきた植物。その利点に改めてスポットが当たり、新しい形で生かされていくことは素晴らしいことです。
グリーンラッシュ(大麻特需)の動きを受け、麻という植物について生物学や科学的見地から学ぶ研究カリキュラムを提供する大学も増えています。学問やビジネスとして大麻の可能性を学ぶ学生が増えることで、将来CBD市場はさらなる進化を遂げていくのではないでしょうか。
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引用元
Nature’s Aidサイト
https://www.naturesaid.co.uk/
独Stada 傘下へ
https://www.stada.com/blog/posts/2016/november/stada-acquires-uk-branded-product-company-natures-aid
独Stada Arzneimittel 製薬会社 スタダ・アルツナイミッテルのサイト
https://www.stada.com/
スタダ×Nature’s Aid商品リスト
https://www.stada.com/products/consumer-health-products/vitamins-minerals/natures-aid
CBD Novel Food Applicationリンク
大麻研究・大学
https://www.leafly.com/news/industry/want-to-get-a-degree-in-cannabis-heres-where-to-start
Stada’s Nature’s Aid Submits CBD Novel Food Application